週間税務通信 令和4年8月1日 No.3714 6頁

 

 

標準報酬月額のコロナ特例改定が、本年9月まで延長されたことを取り上げている。

 

 

取り上げるなら、きちんと法律の条文番号まで記載した方が、標準報酬月額の随時改定を理解するのに最適だと思うので、ブログで綴ろうと思う。

 

 

根拠となる規定は、健康保険法43条1項 及び 厚生年金保険法23条1項 です。

 

 

税務通信では、7月に改定があった場合で説明しているので、それに沿って説明します。

(以降、健康保険法のみで説明する。)

 

 

健康保険法43条1項

保険者等は、被保険者が現に使用される事業所において継続した三月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、十七日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を三で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。

 

 

 

この条文のうち、ポイントとなる部分のみを抜き出すと、以下のとおりです。

 

 

1.継続した3月間に受けた報酬の総額 ・・・ A

 

  通常改定:7月、8月、9月が対象

  今回特例:5月、6月、7月が対象

 

2.A と B を比し、著しく高低を生じた場合

  ※ その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額 ・・・ B

  ※ 「著しく」の文言が曖昧なため、通達によって、標準報酬月額が2等級以上変動する場合とされています。

 

3.必要があると認めるとき

  ※ この文言自体が曖昧なため、通達に沿った運用がなされています。

    通常、一定期間、増減が確認された後に改定することとされています(4か月目で改定)。

 

  → 今回の特例は、①令和4年4月から9月までの間で、②コロナで休業し、③報酬額が減少した場合にも、この要件を満たしますよ、とするものです。

 

 

 

上記の要件をすべて満たす場合に、随時改定規定が適用されます。

 

 

今回、特例改定と言っていますが、法律自体は何ら変更されたものではなく、単に、通達の運用を広げただけに過ぎません。

 

通達:保発第四号(昭和36年1月26日)、保発第7号(昭和36年1月26日)

 

 

 

ここで考えて欲しいのは、なぜ、通常の通達の取扱いにおいて、

 

1.「著しい」の解釈を、標準報酬月額が2等級以上変動する場合としたのか、

2.「必要があると認めるとき」の解釈を、3か月間経過後としたのか、

 

です。

 

 

実は、これらは、健康保険法に基づいて設定しているのです。

 

 

今回の特例改定についても、もし、大雨の被害により休業した場合には不該当とされます。

 

コロナでの休業は随時改定の対象となるのに、台風被害による休業では対象にならないって、変な取扱いだと思いませんか?

 

僕の感覚では、賃金の変動要因なんかどうでもよく、単純に、保険料負担能力に変動が生じた場合のみで判断すべき...というスタンスです。

 

 

 

僕が、日本年金機構を訴えようとしているのは、まさしく、この取扱いを変更させようとするものです。

 

ちなみに、現在、近畿厚生局に審査請求書を提出して2か月経過しましたが、ほったらかしにされています。

 

2か月経過したので、訴訟を提起してもOKなのですが、気長に待ってみようと思います。

 

ただ、じっと、待つ...ってのは、性格上、無理なので、少しづつ、カラクリをさらしていこうと思います。笑