前回の号外で案内させて頂いてた本案前判決で却下になった場合のことについて、綴ろうと思う↓。
 
僕が、日本年金機構を訴えた際の判決文の一部です↓。

お伝えしたいのは、「2 争点(2)(本件不改定措置の適法性)について」です。

 

 

まず、「本件各訴えのうち、本件各義務付けの訴えはいずれも不適法である。」で、却下が確定しているので、これ以降、審理する必要はありません。

 

 

ですが、「もっとも、審理の経過に鑑み、争点(2)についても判断を加えることとする。」として、判決理由が述べられていますが、ホント、好き勝手なことが書かれています。

 

 

冗談抜きで、殺意が芽生えます。笑

 

 

具体的に説明します。

 

 

↑で、争点(1)の最後の部分の画像もアップさせて頂いたのは、争点(1)の判決で、日本年金機構がした行為は、行政手続法の2条1項2号の「処分」に該当しないことが書かれています。

 

 

この判決を導き出した原告の「仮に、処分に該当するなら、不利益処分でしょ!」、「弁明の機会が付与されていないのだから、処分に該当するはずがないじゃないか!」の主張は、見事に判決文から省かれています。

 

 

民事訴訟の3つのルール

 

1.当事者が主張しない事実を判決の基礎としてはいけない

2.当事者に争いのない事実は、そのまま判決の基礎としなければいけない

3.当事者に争いのある事実を証拠によって認定する場合は、当事者が提出したものでなければならない

 

 

このルールを守っていれば、裁判官は自由に判決を書くことができます。

 

 

上記1のルールですが、当事者が主張しない事実を判決の基礎としてはいけないのであって、当事者が主張した事実を必ず判決文に書け!とは規定されていません。

 

 

もっと掘り下げると、ある争点について、原告の主張が不当なもので、これに対する被告の主張も不当なものだった場合、原告の主張のみ採用して、原告が不利になる判決を書くことも、上記1のルールに反しません。

 

 

ですので、裁判で道筋が決まってしまうと、当事者の主張を都合よく取捨選択して判決理由が述べられます。

 

 

 

ちなみに、↑の争点(1)の結論ですが、われわれ裁判官は、「日本年金機構の対応は違法行為であると判断しているが、その点について、原告は訴えを提起していないので、違法と判決することはできないんだ!」という趣旨のものです。

 

 

「不作為の違法確認の訴え」(行政事件訴訟法3条1項5号)です。

 

 

なので、控訴審で、訴えの変更をして、不作為の違法確認の訴えを追加しました。

 

すると、これです↓。

令和元年9月4日に提出したものを、令和3年3月31日付で処分してきたのです。

 

これで、不作為の状態が解消されるので、僕の敗訴が確定です。

 

で、不服申し立てをするにしても、本案は、第1審で示されてるので、それを理由に棄却されてしまいます。

 

 

とにかく、本案前のことが争点となった場合は、危険です。

本案前で却下判決を喰らうと、本案なんて、まともに審理されないと思っていた方がいいでしょう。

 

 

 

訴訟の取下げは、判決が下されるまでは、いつでも可能です。

 

相手の準備書面を見てからでも、充分対応可能です。

 

慎重な判断をされることをお勧めします。