消費税の真実 Vol.006
 
 
この号の内容は、大企業にとっては余計なお世話だろうが、れいわ新選組が本気で「消費税廃止」を目指しているので手助けしてあげたいという思いで綴ろうと思う。
 
 
消費税 = 付加価値税
 
付加価値 = 利益 + 人件費
 
付加価値税 = ( 利益 + 人件費 ) × 税率
 
① 利益 × 税率 = A
② 人件費 × 税率 = B
③ A + B = 付加価値税(消費税)
 
 
法人税の減税 と 消費税の増税 は リンク しているが、どのような影響をもたらしているのか確認する。
一番左の図だが、消費税導入前の法人税の実効税率は約50%だったが、現在は、30.92%まで、引き下げられている。よって、法人税については、19.08%の減税効果が生じています。
 
つまり、国に入るお金が減るので、結果的に、経済で使えるお金が増えます。
よって、景気回復の手段として、法人税を減税することについては評価できます。
 
しかし、国は、同時に、法人税の減税分の穴埋めとして消費税を課税したことにより、経済で使えるお金の一部を取り戻したため、法人税の減税効果を減縮させています。
 
では、どの程度、減縮させているのか確認します。
 
 
消費税は、実質的に付加価値税なので、
 
① 利益に対して課税する部分
② 人件費に対して課税する部分
 
に分けて、確認する。
 
まず、①の利益に対して課税する部分は、法人税と同様に、利益に対して課税しているので、法人税の減税効果から現在の消費税率を差し引いた部分が、実質的な減税効果と評価できます。なお、国外への輸出分は消費税が免税されているので、法人税の減税効果が全額受けられます。
 
よって、実質的な減税効果は、上図の黄色の部分となります。
 
ただし、付加価値税の計算は、①利益に対する部分のほか、②人件費に対する部分にも課税する(緑色)ので、法人税の減税効果を確認するには、実質的な減税効果(黄色)と人件費に対する部分の税額(緑色)を比較し、有利不利を判定することとなります。
 
1 : 実質的な減税効果 > 人件費に対する部分の税額 ・・・ 法人税の減税効果あり
2 : 実質的な減税効果 = 人件費に対する部分の税額 ・・・ 法人税の減税効果なし
3 : 実質的な減税効果 < 人件費に対する部分の税額 ・・・ 単なる増税
 
ちなみに、赤字の法人は、法人税が課税されないので、減税効果そのものがありません。よって、単純に、人件費に対する部分だけ増税となります。
 
ちなみに、増税となるならば、経済で回すお金が減り、経済が活性するとは考えにくいです。
 
 
では、上図を数値化して確認します。
 
( 黄色の部分 )
① 法人税の減税効果 20% ( 50% - 30.92% 、端数省略 )
② 消費税 10%
③ 実質的な減税効果 ① - ② = 10%
④ 利益 × ③ = 実質的な減税効果
 
( 緑色の部分 )
人件費 × 10%
 
つまり、販売先が国内のみの法人の場合、 当期純利益×10% と 人件費×10% を比較するだけです。
 
もっと、単純化すれば、
 
当期純利益 と 人件費 を比較、
 
または、
 
売上高に対する 当期純利益"率" と 人件費"率" を比較するだけです。
 
 
では、実在する大企業で確認していきます。
個々の状況を把握し、積み上げていけば、全体像が把握できるかと思います。
 
 
まず、昨日、値上げを発表した吉野家さんで確認します。

↑ リンクして頂き、画面を下にスクロールしていくと、当期純利益が記載されています。

 

決算書 損益計算書(P/L)

決算年月日 : 2021年2月28日

当期純利益 : △7,503百万円

∴ 上記3に該当します。

 

コロナの影響を受け、赤字になっていますね。

このような状況の企業って、たくさんありますよね?

 

参考として、当期純利益の推移も紹介しておきますね。

 

単位は、百万円、カッコ書きは、売上高に対する当期純利益率。

2020年2月29日      713 ( 0.3% )

2019年2月28日   △6,000

2018年2月28日    1,492 ( 0.8% )

2017年2月28日    1,249 ( 0.7% )

 

当期純利益率の推移だけど、1%未満でしょ?

つまり、コロナの影響を受ける前から、法人税の減税効果があまり得られていない状況であったことが確認できます。

 

 

では、マクドナルドさんで確認しておきます。

 
単位は、百万円、カッコ書きは、売上高比
 
当期純利益の推移
2020年12月 20,186 ( 7.0% )
2019年12月 16,885 ( 6.0% )
2018年12月 21,939 ( 8.1% )
2017年12月 24,024 ( 9.5% )
2016年12月  5,366 ( 2.4% )
好調のようですね。当期純利益が5%超えてれば、優秀です。
 
人件費(労務費)の推移
2020年12月 55,732 ( 28.9% )
2019年12月 54,212 ( 27.5% )
2018年12月 52,351 ( 27.3% )
2017年12月 50,284 ( 27.9% )
2016年12月 47,084 ( 28.7% )
 
パッと見て、分かりますか?
判定は、 当期純利益 と 人件費 を比較するだけでOKです。
 
優秀な企業でも、上記3に該当するのです。
※2019年12月決算より前は、消費税10%になる前なので、単純比較はできません。
 
 
ところで、売上高に対する人件費率より、当期純利益率が高い企業ってありますか?
 
儲かってるなら、人件費に回すでしょ...ふつうは?
けど、日本の賃金は低いまま...ってことは、儲かってないのでしょ?
つまり、 当期純利益 < 人件費 の状態だと考えるのが自然ですよね。
 
 
現行の消費税率が10%の場合、法人税の減税の穴埋めの財源として消費税を充当するときは、
 
当期純利益率 > 人件費率 
 
でなければ、法人税の減税効果がないんです!
 
 
大企業の経営者は、この点、気づいているのでしょうか?
また、政治家たちも、この点、気づいているのでしょうか?
 
 
法人税の減税効果 と 消費税の増税効果 を比較、必要ではないでしょうか?