↑前々作インカレ自走第1部だ!
↑前作インカレ自走第2部だ!
読んでない子はまずこっちを読もう!
前回までのあらすじ!
昔々あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました(省略)おじいさんがその桃を切ると、中から元気な西川慎悟が出てきました。西川慎悟は桃太郎と名付けられ、グングン大きくなりました。逞しく成長した慎悟は村を苦しめる鬼を退治するため、そして、道中香川県観音寺市で行われる日本学生トライアスロン選手権を観戦するため、犬(見友)、猿(松浦)、雉(谷本)、ホモ(御園生)、メカニック(荒関)を仲間にし、西を目指すのでした。
厚木を出発し、東海道を突き進む6人。神奈川は箱根峠、静岡バイパス地獄を超え、眠気やイライラと戦いながら、初日の目的地「名古屋」に到着する。二日目の道程は名古屋-神戸の約210km。9/3 01:00のフェリーがタイムリミットだ。果たしてフェリーに乗ることができるのか!?大阪で餃子は食べられるのか!?そもそもちゃんと6人出発できるのか!!?
がんばれ西川桃慎悟!!!
第三章 拉致
インカレ自走者の朝は早い…
9/2 08:40
寝坊である。
なんてことだ。初日の疲れからか、二日目の距離が短いからだろうか。
悠長に準備している暇はない。一刻も早く、此処を出るぞ!
9/2 09:00
小倉トーストが美味しい。(画像はイメージ)
セルフサービスで提供される小倉トーストに舌鼓を打つ6人。
優雅にブレックファストを楽しんでから出発しました。
荷物をまとめ、バイクジャージに袖を通し、宿をチェックアウト!
9/2 09:20
昨日きた信号地獄を迂回する5人。
待て、1人足りないぞ。
メカニックはどこだ。
振り返る5人。
荒関はジーパンを履いていた…
見友「オイ、どうした!いくら初日より距離短いからって、ジーパンで走れる道じゃねえぞ!」
御園生「レーパンがないなら、俺のを貸してやる!」
荒関「悪いなみんな、俺は今日、一緒に行けねえ」
荒関「見てくれ、このホイールを」
彼はおもむろに愛車のZONDAを掲げて見せた。
荒関「ほら、この部分だ」
松浦「……これは!…(分かってない)」
荒関「俺はこいつを治しに、大阪の『のむラボ』に行かなきゃならねえ。あとついでに暗峠も行きてえ。だから俺は、輪行する」
谷本「は?」
というワケで一足先に大阪へ向かうこととなったメカニック。
「大阪は〜やっぱりたこ焼き!食べないメリットがない!」
という新たな定型文を残し、去っていくのであった。
9/2 9:30
不本意にもメカニックを切り離したドドスコトレイン。信号地獄を別の道で回避し、
国道一号線復帰!
初日と違い、二日目は琵琶湖のあたりまで、ひたすら一号線を突き進むルートだ。
昨日と今日のQシートを見比べると、曲がる交差点の数が1/3ほどだ。
一同「今日は絶対迷わないわw楽勝」
と皆で言い合った瞬間に迷うと言う光速フラグ回収を済ませる。
マップを確認し、川沿いの道を用いてR1に復帰する。
今日も良い天気だ!風も気持ち良い!
風?
そういえば昨日は全く風を意識せずに走れていた。見友が「今日は追い風や!」と壊れたオモチャのように永延と繰り返すくらい、スムーズな追い風だったのだ。
現在風は左向き。
次の交差点は左折。あっ(察し)
今日は一日中この向かい風と付き合っていくことになりそうだ…
突風吹く木曽川流域の橋を超え
三重県に突入。
三重県には国道1号線第二の山場が存在する。
鈴鹿峠だ。
標高は357mと低いが、高低差が激しく「東海道有数の難所」と呼ばれている。
山道に入ったらしばらく休憩も補給もできないだろう、ということで、お昼ご飯を食べることに。
9/2 12:40
結構きつい坂の上に唯一あった采女(うねめ)食堂に入る。
お昼時だからか、中々お客さんが入っている。
メニューが豊富で、どれも500円前後ととてもリーズナブルだ。後で知ったが、割と有名な食堂だったらしい。
テーブル席に着くなり尿意に襲われる一行。トイレへと向かう。
その時、事件は起きた。
最初に異変に気付いたのは松浦だった。
トイレに向かっている筈だった御園生が、男子トイレをスルーしたのだ。
そして、あろう事か、
彼は当たり前のように
女子トイレに入っていった。
驚愕する見友、笑う松浦、踊るシンゴ。
谷本「ホモなのは知ってたけど、まさか女性願望があるなんて…」
すぐさまホモを連れ戻しに向かう。
女子トイレの扉をドドスコ・ノックすると困った顔の奴が現れた。
御園生「ねぇ、このトイレ小便器ないんだけど…」
当たり前だよなぁ…
采女食堂で僕はカレーうどんを食べました。ごちそうさま。
そして
9/2 13:40
鈴鹿峠登頂開始!
ただでさえ登りな上に向かい風。
精神肉体ともに削られていく5人。
これはキツイ。しばらく登っていると後ろから声が聞こえた。
御園生「谷本遅れてるから待って〜」
後輩を気遣う御園生。(後で聞いた話だが、自分が休みたかっただけらしい)
ペースを落とし谷本が来るのを待つ。
涼しい顔がウリの凛ちゃんだったが、流石にきつそうだ。やっと一年生が一年生らしい一面を見せてくれた。
と、思いきや
合流するや否やブチ切れる谷本。
谷本「頭きた。ちょっとお前ら座れ(関西弁)」
いそいそとビンディングを外し正座する4人。
谷本「まず西川」
西川「はい」
谷本「ドドスコってなに?」
西川「知りません」
谷本「知りません、じゃないよ。君が言い出したんでしょ」
西川「違います」
谷本「ほんま嫌いやわ〜(関西弁)」
谷本「次、御園生」
御園生「はい」
谷本「お前本当にホモなの?」
御園生「いいえ、女の子大好きです」
谷本「ほんま嫌いやわ〜(関西弁)」
谷本「次、見友」
見友「はい」
谷本「あのメカニック何しにきたの?」
見友「なんで俺に聞くんですか?」
谷本「ほんま嫌いやわ〜(関西弁)」
谷本「次、松浦」
松浦「はい」
谷本「インカレ自走第二部から どれくらい経った?」
松浦「半年くらいです」
谷本「ほんま嫌いやわ〜(関西弁)」
小一時間、説教は続いた。
谷本の怒りも収まり、再び登頂を開始。
9/2 14:40
鈴鹿峠を越える。
(明確な頂上が表記されてなくて分かりにくかった)
相変わらず向かい風は強い。コンビニ休憩を挟みつつ、
9/2 17:20
滋賀県大津市到着。
と同時に渋滞に巻き込まれる。
車道狭いし進まんしマジ勘弁。
結構みんな疲れてたので、休憩も兼ねて歩道をゆっくり走る。
9/2 18:34
だらだら走って京都に到着。
ここで5人は時間があまりないことに気づく。そう、フェリー発の時刻は25:00。6時間半で残りの距離約80kmと夕食、フェリーの手続きなどをしなくてはいけない。
焦る一行、忍び寄る空腹の影。
だが、5人は足を止めなかった。
幸い、鈴鹿峠を下った際や渋滞時に十分な補給と休養を摂っていたので、まだ耐えられそうだったからだ。
なにより、「あと50kmで大阪」
その事実が5人を突き動かしていた。
ほとんど国道1号線を走るインカレ自走のルートにおいて、キャノボ終点大阪は、重要な地点である。
また、大阪といえば食い倒れの街。絶対美味しいものがあるに決まっている。
とりあえず、大阪までは頑張ろう。5人の意思が一つになった。
京都-大阪
道路は広いが暗い!交通量も多い!
恐怖に負けずにペダルを回す!各々が全力で牽く!!
…コスコ
…ドドスコスコ
シンゴか?否、この艶かしい声は__
___御園生だ!
この土壇場で御園生のドドスコ牽きが進化を遂げた!!御園生の真・ドドスコ牽き!速い!速いぞおおお!!!
あっという間に背中が遠のく!トレインとはなんだったのか!?
しかし!ここでシンゴも負けじと、ドドスコを進化させた!!
時が止まった世界では、シンゴのみ、動くことができる。
悠々と御園生を抜かすシンゴ。
3日間に渡って繰り広げられたドドスコ対決は、シンゴの勝利で幕を閉じた。
かのように見えた。
『世界(ド・ドースコ)』を解除するシンゴ。
だが、時は止まったままだった。
シンゴ「馬鹿な…!何故、時が動き出さない…!」
御園生のスタンド『ドドスコの白金(ドドスコ・プラチナ)』が覚醒。
シンゴを抜かし返し、瞬く間に速度を上げていく。誰も、彼を止めることはできなかった…
なんて茶番を繰り広げていたら…
9/2 21:00
(このモニュメント探してウロウロした)
そして!!待ってました!本日の夕飯!どこで食べようかな〜…ん?
呑み屋しか開いてない
そんな馬鹿な…たこ焼きは…餃子は…
松浦は大阪駅の地下街を亡霊のように彷徨った。彼は、食には妥協したくなかったのだ。
30分後…
哀しみのコンビニ飯っ…!
無駄に時間を使った挙句コンビニ飯っ…!
申し訳程度の大阪要素(餃子)っ…!!
ふと、一行は荒関のことを思い出した。
彼は一足先に大阪に着いているのだから、美味い物食ったんだろうな…
その瞬間、5人のケータイが鳴った。
見知らぬ人からの連絡だ。内容は…
なんということだ。
荒関が拉致されてしまった。
こうしてはいられない。一刻も早く、彼の監禁されている神戸へ行かなくては。
9/2 22:25
我々は大阪を出発した。
残り30km、国道2号線を突き進む。
途中、よくわからない自転車通行不可な橋に阻まれたりしたが、
9/3 00:08
神戸三宮フェリーターミナル到着!!!!
本日の行定が終了!喜ぶのもつかの間、我々は荒関を探した。
見当たらない…
彼は大阪湾に沈められてしまったのだろうか…
すると、けたたましいカンパのラチェット音が鳴り響いた。荒関だ!無事だったのか…
荒関「お疲れ様です。ここで朝飯買っちゃいますか?」
再開するや否や我々に自転車を預けコンビニに急ぐメカニック。イヤまだ俺ら飯買って無いんだけど…
この行動にイラついた御園生がドラム缶と生コンクリートを持ってきた時は身が震えた。
かくしてインカレ自走組は再び6人揃い、深夜発のジャンボフェリーに揺られながら、約束の地、香川を目指すのであった…
第3部、完。
9/2 09:20〜9/3 00:08
次回予告。
お願い、死なないで見友!アンタが今ここで落車したら、凛ちゃんやシンゴとの約束はどうなっちゃうの?香川県高松港から観音寺までは約50km。ここを耐えれば、インカレを観に行けるんだから!
次回、「見友死す」。デュエルスタンバイ!
おわび
作中でも触れましたが、インカレ自走第二部から約半年という歳月が経ってしまいました。もう2018年です。読者の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。完結作「インカレ自走・第4部『アルミニウムは砕けない』」は3月中に発表する予定です。
今後ともよろしくお願いします。
中央2年 松浦太一