女性にとって、人生でたったひとり王子様になる人がいます。
性を介さず、自分を全力で守ってくれる唯一の男性。
誰だと思いますか?
そう、
父親です。
でも、その父親さえも自分を性的な目で見ていると知ったら…?
小さなお姫様は慰み者に成り代わります。
しかも、悪いことに
下劣な山賊である父親を責めずに、自分を責めてしまうのです。
私が女の子だからだ。
私が刺激してしまうからだ。
私がいやらしいからだ。
私が汚れているからだ。
そして、
『私は汚れている。』
そんな自己イメージ通りに自分を貶めていきます。
私が夜の仕事をしていた時、お店の女の子のひとりにお父さんが風俗通いをしていたという女の子がいました。
私もそうですが、その女の子の見た目は至ってフツー。
夜の仕事をしているようには見えない雰囲気の女の子でした。
でも、その女の子はセクキャバの前はピンサロで働いていたそうです。
そして、たまたま待機室で一緒の時その子は語り出しました。
「私、父親がずっと風俗通ってたから。
全然私に隠さないんだよね。普通に風俗行ってきたとか言う。」
なんともない風でその子は話していましたが、その女の子の心が、本当は深く傷ついていることが伝わってきました。
風俗に行ってきたことを娘に話す父親など普通ではありません。
娘が受け止めるには相応しくない、生々し過ぎる話です。
愛する父親が下劣な山賊だと思い知らされた娘は、どうすればいいでしょう。
その下劣な人間にすら愛されようと娼婦になるのです。
娘は、そこまでして父親に愛されようとします。
しかし、父親の愛など手に入りません。
不倫や性風俗、援助交際など、父親と同じ年代のキモオヤジにサービスし続ける人生を歩み続けます。
性を売るという点では、私もその女の子と同じ。
わずか3歳から、大人に「色っぽい」という言葉をかけられ、『無邪気な女の子らしさ』を失いました。
大人が「どうせ子どもにはわからない」と思って発する
からかいや冗談。
自分の子どもだから何を言っても許されるという甘えと人格無視。
色っぽいという言葉は、幼児にかける言葉ではありません。
私は幼いながらに、大人にそう思わせる私は
いけない子
恥ずかしい子
そう感じていました。
子どもの性的興味は禁じながら、子どもを性の対象にする大人達。
歪んだ父性愛は愛ではなくただの身勝手なおぞましい性欲です。
王子様などこの世にはいない。そして私はお姫様ではなく娼婦なんだ。
それが父親の中にある汚いもの(性欲)を見た女の子の、父親から受け取るメッセージです。
しかし、それでも私は自分を救うため思い付きました。
お姫様にはなれなかったけど、
私は聖母なんだと。
穢れを包み、ゆるし、汚れない。
山賊のような人間をも受け入れ愛そうとした結果に過ぎないのだと。
そしてこれからは受け入れる人間を選んでもいいし、受け入れなくてもいい。
何より、自分が女であることを受け入れていけたらと思う。