ちょっとずつ読んでいたけれど、船を作って脱出するところまで来ると物語の世界にズッポリ入り込んで、一気に最後まで読んでしまった。

 漂流記の面白さを考える。

 自分の体験できない世界。何もないところで生活をする。自分の力だけで生きていく。生きていくために知恵を総動員するというヒリヒリした感じが面白さの根源にあるのだろう。

 自分にはひとりで生きていきたい気持ちが自分の中にあって、それを体験することができるというのもある。鳥島に生息しているアホウドリが渡り鳥だと気づいて、飛び立つ前に干物にするなんて思いつくだろうか。自分は気づかず鳥がすべていなくなって食料が確保できず死んでいったと思う。

 主人公の長平はひとりだけだと生きていくのが精一杯だった。他にも流れてきた漂流者が集まって最後は14人で船を作り、島から脱出をしている。人が多くないと分業ができず、船も作れない。やはり自分ひとりだけだと何もできないことを理解する。

 他の人の協力がないと生きていけないけど、ひとりで生きていきたい。こんな矛盾を抱えながら、今を生きていかないといけない。