長坂氏の独断専行はもちろんのこと、自らのこれまでの報道姿勢についてもその責任を有耶無耶にできる、という意味で大歓迎だった住民投票。それが無くなったことに対する中日新聞の恨み節が行間に滲んでいるような、そうでもないような・・・

 

 

画像は、1月7日の市長定例記者会見を受けての中日新聞紙面ですが、これは、長坂氏の“詐話的発言”をそのまま報じることで、あくまでも「議会の側に非がある」との印象を与えようとしている記事、だと私は思います。

 

 

(中日新聞1/8-13東三河版)

 

 

それほど長いわけでもないので全文引用、例によって私なりの感想(茶々)を加えていきましょう。

 

 

豊橋新アリーナ巡る条例改正

「市長権限抑える内容」

長坂市長 問題認識の普遍性強調

 

見出しに他者の言葉をそのまま使い、「自分が言っているわけじゃないよ」と言い訳しながら、其の実、そっち側に立っていることを示す所作でしょうか。

 

 

 豊橋市が契約解除への手続きに入った多目的屋内施設(新アリーナ)計画を巡り、市議会が可決した契約解除に議決を要する条例改正について、長坂尚登市長は7日、「市長の権限を抑える内容。他自治体でも同じような条例を作れてしまう」と述べ、問題認識の普遍性を強調した。定例記者会見で質問に答えた。
(坪井千隼)
 
リード部ですが、例によってミスリードがあります。契約解除の手続きには、未だ入って(入れて)おりません。ここ、猛烈重要なところですから。
 
あと、ここでも「市長の権限を抑える内容。他自治体でも同じような条例を作れてしまう」と、長坂氏の言葉をそのまま使っています。
 
ですが、その表現を可とするなら、長坂氏の独断専行気質について・・・
 
「議会の存在を無視する行為。他自治体でも同じような首長が続出してしまう」
 
・・・という反論も可能なわけで。
 
 

此度の条例改正については、長坂氏が、当選後初めて役所に赴いたその日に、議会での議論も説明もないまま「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業の事業者に対し、契約解除の申し入れを行い、契約解除に向けた協議を開始する旨の通知」をするよう指示した、それこそが、ことの発端。

 

いわば・・・

 

市長の先制攻撃に対して、議会が正当防衛に出たまで。

 

・・・のことです。

 
 
法的問題あれば再議要請へ
 
小見出しで「法的問題あれば」と来ました。
 
たまにある「問題あれかし」(問題あったら良いな)というヤツでしょう。
 
 
 市は地方自治法に基づく公布期限の15日までに法的な問題の有無を検討し、問題があると判断すれば市議会に再議を求める方針だ。
 
 条例改正は2024年12月26日の市議会定例会で議員提案により上程、可決された。公布日に施行される内容だが、市は「法的精査が必要」として公布を見合わせている。
 
 長坂市長は会見で「本来、議会の議決が必要ないことについて、独自で議決が必要な案件にしようということ。地方自治法の趣旨、条文に照らし合わせて適法なのか。解釈を含めて確認をしている」と説明した。
 
 同法によると、審議をやり直す再議でも市議会が可決した場合、市は県に対し、議決取り消しの裁定を求める審査を申し立てることができる。
 
だからね、議会の議決を必要とした契約の解除について、(明文化されていないことを以て)「本来、議会の議決が必要ないこと」と言い切っているところに、議会は反発しているわけで。
 
庶民感覚としては、素朴に・・・
 
「議決(議会の同意)を必要とした契約であれば、その解除だって議決(議会の同意)が必要でしょう」
 
・・・と思いますが、まあ「確認」でも「審査」でも、そこは好きにしてくれたら良いとも思います。
 
 
 市は長坂市長が就任した24年11月、新アリーナの整備運営事業者に契約解除に向けた協議を申し入れたが、協議は始まっていないという。
 
ここまで読むと、ようやく「協議を申し入れたが、協議は始まっていない」と書かれています。
 
文末を「という」という伝聞表現にして明言を避けている(不満を滲ませている)辺り、新聞記事としてよくあることながら、誠にイヤラシイのですが。
 
 
 長坂市長は「契約解除方針、協議の申し入れをやめますとか、そういうことは全くない」と主張。市多目的屋内施設整備推進室は協議について「準備を進めている。困難になったわけではない」と述べるにとどまり、具体的な見通しは示さなかった。
 
まあその・・・「契約解除方針、協議の申し入れをやめます」なんて言ったら、長坂氏は死んでしまうのでしょうから「それは全くない」以外の言葉は、そりゃ出てきませんわね。
 
 
にしても、
 
「多目的屋内施設整備推進室」という名称のまま契約解除の「準備を進めている」担当部署の方々が気の毒でなりません。
 
 
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以下、既に紹介したものではありますが、参考までに。
 
 
 

 

 

 

今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申(平成21年6月16日)

 

 

こちらは、上の資料を引用している拙記事。

 

 

「議決を必要とした契約であれば、解除するときにも議決が必要」という筋立ては、十分に合理的な範囲内。

 

「公約に掲げて当選した」という理由(その公約自体、実現可能性や費用等について、何の説明もないモノだった)のみで、首長が議会無視・独断専行している、という豊橋の「実情」に応じてもいます。

 

 

 
 
そしてこちらは、同じ記者会見を受けて書かれた東愛知新聞の記事。中日新聞との温度差、ありあり、です。
 
どちらが、より「公平・中立」に近いか、それぞれの判断で。
 
 
 
適法か慎重に対応
豊橋市の長坂市長 契約解除を議決要件とする条例改正
「計画中止とは別問題」会見で長坂豊橋市長
 

豊橋市の長坂尚登市長は7日に開いた定例記者会見で、12月の市議会で可決した市の契約解除を議決要件に盛り込む条例改正について、「適法かどうかの精査を進めている。前例がないので慎重に対応したい」との考えを示した。

【加藤広宣】

 

 

 市議会12月定例会では12月26日の最終日、自民や公明などが提案した市議会の議決に付すべき事件を定める条例案が可決された。審議では、市長が中止を掲げる多目的屋内施設(新アリーナ)と豊橋公園東側エリア整備運営事業の特定事業契約も適用対象に含まれることも分かった。

 

 今後は条例送付翌日から20日以内の法的精査で違法性などがなければ、今月15日までに公布される見通しだ。市によると現在、法曹資格を持つ複数の職員を中心に、地方自治法との法的な食い違いなどがないかをチェックしているという。

 

 この条例改正で、可決から10日以内に市長裁量でできる一般再議はなかった。法的精査を経た公布期限も、法令等や議会の権限を越える問題が確認されれば、市議会へ再議に付さなければならない義務規定がある。

 

 長坂市長は「契約解除を議決事項に加えることが適法かどうか判断することになる。地方自治法にも個別具体の文言がなく、あとは法解釈の余地しかない」と現状について説明した。

 

 その上で「新アリーナ計画の問題を超えた大きな判断を豊橋市議会がしたということ。今後の地方自治体に大きな影響を与える可能性もあり、重要な判断となるので慎重に対応したい」との考えを示した。

 

新アリーナ計画中止の意向は変わらず

 

 また、新アリーナ計画の契約を巡っては、長坂市長が就任直後、特定事業者「豊橋ネクストパーク」へ解約へ向けた協議を申し入れた。現在は市側の申し入れに対する同社からの郵送物が届いたままで、関係者との接触もないとした。

 

 市議会での条例改正を踏まえ、市長公約の計画中止へ向けた影響について問われると「条例改正への法的対応と、計画中止の方針とは別問題」とし、今後も事業者との協議を進める意思に変わりがないと強調した。