ーーー灰色のアスファルト。
それが私の最初の記憶にある、映像だ。
いや、視界に入った、というべきだろうか。
私の右手は、誰かの手を握っていた。
女性の手だ。
そう、私はその女性の手を握り、自分の家ーーー社宅の前の道路を歩いていた。
そして、何故かふと、思った。
『この人…誰だろう…?』
口には出さなかったけど、私はそう思った。知らなかったのだ。その女性が誰なのか。そして、何故、一緒に歩いているのかを。
『この人、誰?何で一緒に歩いてるの?どこ行くの…?』
その事柄の記憶は、この部分しか覚えていない。思い出した時、何だか妙な気持ちになったのだけは、覚えてる。
それから、少しばかり驚いたことも。
…何故驚いたかって?
だって、私が手を握っていた女性は…
私の母親なのだからーーー。