週に三日、四日。私にとっては、毎日のような感覚さえあった。母親に連れられて外出するのは当たり前だった。

行き着く先は、パチンコ屋。

学校から帰ってきて直ぐ、母は私を連れて行くのだ。
家に着くのはいつも、最終バスの時間。夜の二十三時。大人にならなんてことないこの時間だが。齢二桁にも満たない私にとっては、苦痛でしか無かった。

お店に入った途端鳴り響く、とてつもなく大きく感じる耳障りな音。その後母は、私にこう言う。

「その辺にいなさい」

お店から出ないでね。と、一言付け足し、スロットを始める母。

「・・・・・・」



最初の頃は、どう時間を過ごしてたのかはわからない。ただひたすらに、つまらなくて、時間が過ぎるのが長く感じていたのは覚えている。
そして、いつも母から見える、出入り口付近にあるベンチで寝て過ごすのが殆どだった。

いつからから、お店で働いているお兄さんに面倒見てもらうことが多くなった。それは、私にとっての唯一の楽しみでもあった。



母は機嫌が良い時、勝った、と言った時。私に買ってくれる。それは景品のお菓子であり、ヤクルトだったりする。
お腹が空いた。と言えば、マクドナルドに連れて行き、ポテトを買ってくれた。

私はその買ってもらったポテトを、お兄さんと一緒に食べるのが好きだった。

「はい、あげる!」

長いポテトを一つ掴み、お兄さんに向ける。

「ありがとう!」

にっこりと、満面の笑みを浮かべて食べてくれる。私はそれが嬉しかった。

誰も話せる人がいない中、たった一人、私の話し相手になってくれる。

もちろん、毎回いるわけではない。いない時は心底落ち込み、直ぐにお昼寝タイムだった。

最初の頃は仕事中だからと、ほんの少し話せるだけだった。



それを見ていた店長は、彼に言ったのだ。

「あの子は、あの女性の常連だから」

と。それからは、お兄さんは私に構う時間が増えた。あくまで仕事優先だけれど。



小さい私にでもよくわかった。
お兄さんの接客は、いつも丁寧で誰に対しても笑顔だった。そんなお兄さんを見ているのも好きだった。

今思えば、初恋の相手なのかもしれない。と、書いてて思った。



お兄さんは私の我儘をよく聞いてくれた。もちろん、限度はあるが。

抱っこして!と手を伸ばせば、

「そーれ高いたかーい」

きゃははっ、と甲高い声ではしゃいだのをよく覚えてる。





でも、お兄さんとのいい思い出ばかりではない。初めて嫌悪感を抱いたのも、この場所だった。