【最初にすることは、鏡の中の自分を直視すること。】
こんにちは!
今日は、踊りを始めるときに最も大事なことのひとつについてお話ししたいと思います。
それは、鏡の中の自分自身を直視すること、つまり自分の身体と真っ直ぐ向き合うことです。
これが簡単にできる方もいれば、実はとてもハードルが高いと感じる方もいます。
特にフラメンコの場合、まっすぐに立つことや、相手と正面から向き合う姿勢が求められるので、鏡の存在は欠かせません。
わたくしが教えているカルチャーセンターには、Mさんというとても熱心な方がいました。
どんなことがあってもお休みをすることはなく、本当に真面目に取り組んでいました。
ただ、鏡に向かって踊るとき、彼女の目はどこか遠くへと焦点が合わず、鏡の中の自分自身を見ることができなかったのです。
そこでわたくしは、『最初は目を見なくても大丈夫なのよ』と伝えました。自分の鼻だとか、額、あるいは顎など、自分の身体のどこかの部分を見ながら踊るように指示しました。
それでもなかなかうまくいかず、ついには彼女の推しの男性アーティストの写真を鏡に貼ってみることにしたのです。
そうして稽古を続けるうちに、Mさんはついにきちんと正面を見ながら踊ることができるようになり、ついに舞台に立つことができるようになりました!
この経験を通じて感じたのは、自己認識と自己受容のプロセスがどれほど重要であるかということでした。
鏡は単に姿を映し出すものではなく、わたくしたち自身を見つめ直すための強力なツールです。
鏡で自分を確認することは、技術面だけでなく、感情や表現力にも大きな影響を与えます。
特にフラメンコでは、内なる情熱や強さ、デリケートな感情が動きに反映されるため、自分の表情や姿勢を見逃さず理解することはとても大切です。
また、多くの方が他のダンサーと自分を比較してしまいがちですが、鏡を使うことは「他者との比較」ではなく、むしろ「自分自身との対話」の時間になるのです。
Mさんも、最初は他人に対する気持ちや緊張から解放されずにいましたが、自分を少しずつ解放して認識し自信をつけていく中で、他人と比べることの無意味さに気づいていったのです。
最終的に、Mさんが舞台に立つことができたのは、彼女が鏡を通して真の自分を受け入れ、自らを表現する力を育んだからです。
この過程で得た成長は、彼女にとって宝物であり、そして彼女の踊りは観客に感動と共鳴をもたらしました。
「鏡の中の自分を直視すること」は、一見簡単そうに思えるのですが、その裏には深い意味が隠れています。
踊りだけでなく、わたくしたちの人生においても、自分自身を理解し、受け入れるプロセスは非常に重要です。
Mさんのように、少しずつ自分と向き合う勇気を持つことで、わたくしたちもまた舞台に立つ準備ができるのかもしれません。
自分自身を見つめること、他者との違いを楽しむこと、そして舞台を共にする仲間との絆を大切にしながら、今後も踊りを通じて自分自身を発信し続けて行っていただきたいです!