はい好きです、と間髪なく答えます・・・・・が
好きなのには違いないのですけれどあまりに敷居が高い。
どう敷居が高いかというと、とにかく値段が高い。寄りつきがたい高所に居る相手なのです。
やはり普段においては気が置けないほうがよろしい、牛丼や立ち食いそばがよろしい。
うなぎが小林幸子さんとすれば牛丼は大和姫呂未さんです。
あ、これ単なる比喩ですからね。どちらが偉いとか一切言っていませんからね。
うなぎ一串(約120g)で成人に必要量の3日分にも相当するビタミンAを含んでいます。
ご飯などの炭水化物がエネルギーに変わる際に重要な働きをするビタミンB1を豊富に含んでいます。
夏バテ防止、スタミナ回復にピッタリです。
いつもの魚屋にあったチラシにこんな能書きが書かれていました。
この夏はDHAもEPAもぐるぐるぐるぐるグロコサミンも採っていません。
これからも基本的には魚肉ソーセージ、豆腐、さつまあげで暮らしていこうと思っていますが、3日分のビタミンA、ビタミンB1と聞き、そうだなあ、うなぎいってみるのもいいかもしれないなあ、と思ってしまったのです。
とりあえず身近なところでリハーサル、大手牛丼チェーン吉野家のうなぎ。
うなぎにリハーサルも何もないのですが、1軒屋のうなぎ屋に飛び込みで入るのはさすがにこわい。
けして貧乏なわけではないのですけれど、うなぎ屋を前にして躊躇するのは普通の感覚ではないでしょうか。
値段もわからない。昨今卸値の変動が激しいのでやむを得ないのですが、入るまで値段はわからないし、だからといってそのまま出てくるわけにはいきません。
そんな感じで客は店の前でウロウロするのです。
そこで敵はタレの焦げた匂いの強烈な煙を強烈換気扇で店外に吐き出してこちらの足を止めようとするのです。
そういう店が近所にないわけではなく、歩いて15分のところに専門店があるし、ちょっと離れた京成勝田台には客席の脇で炭火で焼くのでいつもやたら暑い店があります。
近くの日本蕎麦屋のメニューにもうな丼が載っているので、絶滅危惧種に係わらずその気になれば食べるところはいくらでもあるようです。
で、吉野家に突入。
反射的に「ぎゅ・・・ぎゅう・・・・・どん」と言いそうになります。
いつもなら気楽に入って気楽に牛丼を注文するのですが、今日はややこわばりつつ意を決しての突入。
鰻重二枚盛にセットのみそ汁とおしんこがちょびっと付いて1220円(鰻重単独で1150円)。
思えば吉野家で1000円以上の注文は初めてです。
吉野家には鰻重一枚盛、二枚盛、三枚盛がありまして、吉野家HD会長の安部氏によれば、一枚盛ではやや貧相だし三枚盛があるのだから二枚盛は「コスパ」的にもものすごく売れたという、人間心理を読んだメニュー揃えなんだと言う(日本経済新聞出版社『吉野家で経済入門』参照)。
これが鰻重二枚盛。
いつものみそ汁といつものおしんこ付き。
ではでは、牛丼、牛カルビ生姜焼き定食などの平民客をよそ目に当店の王者うなぎを頂きます。
うーんうまいのお、うなぎだぞー、産地はたぶん中国だろうけれどなにせほとんど食べないので味はよくわからない。
関東風のうなぎは焼いて蒸したほっくら系なのですが、吉野家風は箸で切ろうとしたら切れない。
そこで食いちぎろうとしたら全体つながってきてかなり歯ごたえ重視のうなぎのようです。
でも、こころおきなくうなぎが食べられるのはありがたいと思わなくてはなりません。
では、いよいよちゃんとしたうなぎ屋へ(吉野家がちゃんとしていないわけではありませんが)。
ここで大きな疑問が起きるのです。
値段は3000円を下らないと思います。
3000円あれば何が食べられるでしょうか。
普段の常食、吉野家の牛丼、てんやの天丼、日高屋の野菜たっぷりタンメン、全部足しても1000円代です。
これに富士そばの春菊天そばにかつ丼セットを加えても楽勝なのです。
これは考えどころです。
いくらビタミンAだビタミンB1だといったって、では富士そばの春菊天そば7杯ではダメなのか(そんなに食べられないけれどね)。
でも私には強い味方が居るのです。
デパート友の会商品券。
これがあれば3000円だろうと1万円だろうと全部タダなのです。
ほとんど使っていないので券は10万円以上になり持て余していたのですが、たまにはこんな使いかたもいいのかな、なにせ3000円のうなぎがタダになるのですから(もともと会費払っているのですけれどね)。
某日、船橋東武デパートに行き旭屋書店に行きキッチン用品売場でボウルやキッチントレーなんかを買い込んで時刻は13:30。
うなぎと川魚料理、和食の店M
1軒屋のうなぎ屋には値段がわからない店も多いのですが、デパートですからウィンドウに並んだサンプルをじっくり吟味することができます。
柳川定食、天ぷら定食、刺身定食とかありますがやはりうなぎですね。
うな重でいちばん廉価な「松」が3200円(税別、以下同)~ひゃー高い。
うな重上 3800円
うな重特上 4500円~ひゃーひゃー高い。
やっぱり吉野家かすき屋に行くべえか・・・・・
いやいや、商品券があるのです、タダなのです、と店に入りました。
結構混んでいるのですね。
1人客の私はひとつだけ空いていたテーブルに案内され熱いお茶を頂きます。
注文したのは、うな重「松」、鯉こく、お酒を冷やで1合。
うなぎを裂いて串打ちして白焼きして蒸してたれ焼きするまで4、50分かかるのがうなぎ屋での覚悟ですが、デパート内の店舗はそんなこといってられず10数分で「松」がいらっしゃいました。
山椒は本体だけでなくごはんの上にも大量に振りかけます。
バカなグルメリポーターに云わせれば、ふわっふわっでお箸で切れちゃってお口に入れたら溶けてしまいそう・・・・・
確かにうなぎは縦にでも横にでも自在に切れ、筋張ったところもない。ふわっふわっでお箸で切れちゃってお口に入れたら溶けてしまいそうなのです。
やはり3000円のうなぎはうまいのお、
いや3000円のうなぎがうまくないなんて言ったらバチがあたるというものです。
これは鯉こく。簡単にいえば鯉の味噌汁ですが子供の頃山国埼玉で鮒、どじょうと並んでよく食べたものでした。ただし鯉はそこらの川に居ませんので父親に連れられて食堂などで「鯉こくだぞうまいぞ食え」と云われたのを覚えています。
しかし、いささか骨が多い。というよりもう骨だらけで、一口口に含み骨を抽出するという作業に終始するばかりでこちらはふわっふわっジューシーとはいきませんでした。
これでビタミンAとビタミンB1の補給は万全、と思われたのですがうなぎへの憧憬止まらず、こんどはすき屋に行ってみようかなんて思いながらスーパーで宮崎産うなぎ長焼を買ってきてしまいました。
うなぎやはり好きですよ。