旅の道づれ | ”Stratoblue”  航空写真家 野口克也 Blog

”Stratoblue”  航空写真家 野口克也 Blog

空から蒼を切り取る航空写真家 野口克也のオフィシャルブログ

2月9日

朝、8時出発。この場所ともお別れ。
仕事柄、趣味柄いろんな所に行くのだけれど、いつも感じていることは、

「もうこないかもしれない」

って思いながらすごしていることかな?
普段の生活圏から何日も離れた距離にあるこの場所は、
もうこない可能性が大きいね。人とのつながりもそう。
仕事柄のせいもあるのかもしれないけれど、
「今逢うこのときが最後かも」っていつも思いながら人と逢っている。
実際最後だった人もいるし、自分が逢える状況にならなくなる可能性も高い。
去年、保育園に送っていった息子を抱きしめて、

「これが最後かもしれない」

と思いながら抱きしめた思いが、一瞬頭をかすめる。
次逢えるのはいつだろうか?。
最後にはしたくないし、するつもりも無いけれども、
人間なんて、どこでいつ死ぬかわからないから。
逢いたい人に逢えるチャンスがあるときは絶対逃がしたくない。
そんな思いをアンナプルナBCに残しながら、山を降りはじめる。
後ろ髪引かれる思いを残しながら・・・

MBCまで40分で駆け下りる。Brakeなしで先を急ぐ。
快調なペースを維持して歩きつづけてきたけれど、
調子に乗りすぎたのか軽く右足首をひねったらしい。
ヒマラヤホテルにつくころは結構痛くなってきた。
でも、体は調子がいい。ヒマラヤホテルでドバンまで降りることを決意。
ドバンにつくころはもう右足がかなり痛くなって来た。
とりあえずツインの部屋のシングルユースして、
部屋に転がり込む。シングルユースと言ってもツインの値段らしい・・

もう4時を過ぎたころ、外に日本人の男がいる。
「いかにもインド旅してきました。」って感じの汚い格好。
これからヒマラヤホテルまであがろうと言っている。
登りで2時間。
登れない時間じゃないけれど、もう遅いからやめといた方がいいってアドバイスすると、
ここに泊まるらしい。
部屋はいっぱい。
しゃーないなーここであったがなんかの縁ということで、いっしょの部屋に寝ることにする。
名前は誠二郎君。
岡山の24歳の青年である。
なんかこんな書き方するととっても爺くさいけれど、
なんかピュアなのである・・彼。
彼を見てると、5つしか年は変わらんけれど、(十分か?)なんか俺も汚れたな・・って感じるのである。
それにしても軽装なのである。
「Tシャツを一枚しか持ってこなかったあ!」と嘆いていたし、
パンツはネパールで売っている見た目はいいけれど絶対ゴアテックス(ゴアのタグはあるんだよ)じゃ無いオーバーパンツしかはいてない。
「それ、オーバーパンツだって・・・」と、突っ込みたくなったけれど・・・
宮崎で自然農をすることだとか、お互いの生い立ち、
つらかったこと、なんだか話が弾んでいつも早寝なんだけれど、
その日はなんだかいくらでも話すことがあった。
ここまでポカラから3日という驚異的なスピードで上がってきたらしい。
ABCまで行って、ゴラパニに抜けて、タトパニに降りてからジョムソンまで行くらしい。
5400mのトロンパスを抜けようかとも行っていたので、
それはさすがにとめた。
3日後に俺もプーンヒルにいる予定だけれど・・って言ったら、
それに間に合うように行きます!って・・
「これからあがるんでしょ?それはいくらなんでもキビしいんじゃ・・」
口には出さなかったけれど、そう思って寝ることにする。


”Stratoblue”  航空写真家 野口克也 Blog
”Stratoblue”  航空写真家 野口克也 Blog



2月10日

プーンヒルで逢えたらいいねと言い、誠二郎君上と下に分かれて歩き出す。今日はチョムロンまでもと来た道を戻る。右足の痛みは登るときよりも降りるときに深刻に痛み出す。正直つらい。
マレー人のシルビア達と一緒になりながらチョムロンの手前の谷まで降りきる。
そして、最後のスパートの階段。標高差で300m位あろうか?もう何も考えずに目の前の一歩一歩だけを見つめて登る。チョムロン15時着。足が痛い。