私の好きな場所、イファドン(梨花洞)。元はと言えば、ソウル勤務時代、ソウルジャパンクラブの歴史巡見で教えてもらったところ。
東大門から城壁沿いに、ナクサンコンウォン(駱山公園)に行く途中にあります。
イファドンは建物の壁画で知られるアートの街です。
ここに、観光振興に取り組むに当たり参考となる事例があります。
イファドンは、傾斜地の住宅街で、元々は観光客が集まる要素はありません。そこで、空き家をリノベーションしてお洒落なカフェにしたり、オブジェを置いたり、壁画を描いたり、アートでの街づくりに取り組みます。
写真映えするところができ、韓国ドラマのロケ地になったり、韓国人はもとより、韓流ブームに沸く中国からも団体客・個人客が押し寄せます。
下の写真は2014年10月のものです。
特に有名なのは、階段に書かれた鯉の絵。
日中は、とにかく写真を撮る観光客が多く、順番待ちの行列ができています。
こちらは花の絵です。もちろん、これらの階段は地域住民も普通に使っていますので、通行に支障がでます。それから、観光客が殺到しているので、一日中うるさい、民家の敷地内に入り込むという住民とのトラブルが多かったと聞きました。今で言う、オーバーツーリズムのはしりですね。
その結果、2019年9月の写真です。
絵(花の絵)は消されてます。そして、「静かにしてください」と看板が設置されています。鯉の絵もありません。
名残惜しいのか、民家の階段に鯉の絵。
イファドンの事例は、観光客が日常生活に入り込んでくるわけで、一定のルールやマナーが必要であることを示唆しています。
加えて、観光開発をしても、地域に対するメリットがなければ、地域住民の共感を得られないことがわかります。
2014年当時のイファドンには、地元の小さなお店と食堂しかありませんでした。観光客が来ても、うるさいだけという状況ですね。
観光客誘致と地元住民の生活を両立させることがとても重要であることがわかります。
日本も、新形コロナウイルス感染症の影響で、今年前半のインバウンドは激減すると思われますので、次のステップに進むために、考えていきたいと思います。
イファドンはこの辺り
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by aero-K