往診カバンと器具、シーツで背負い
東日本大震災では多くの病院が津波にのまれ、閉鎖を余儀なくされた。家と病院を失った医師たちは自らも被災者でありながら、聴診器が入った往診用カバン、縫合セットなどの器具を包んだシーツを背負い避難所に駆け付けた。体調不良で苦しむ避難者たちのために、避難所に診察スペースを作り、被災者たちの治療に力を尽くしている。
「先生、熱っぽいです」「そりゃ大変だ。風邪かな? 体温を測ってみよう」
約400人が避難する岩手県大槌町の高台にある弓道場。薄暗い場内で医師は山岳用のヘッドランプを点灯させながら被災者と向き合っていた。
海岸沿いにある医院と自宅が入る4階建ての建物は3階まで のまれ、家族や看護師ら18人と屋上に避難。
とっさに聴診器と血圧計が入った往診用カバンと自動体外式除細動器(AED)を手に取った。「これがないと患者さんを守れない」
看護師の心肺蘇生の仕方を見て周囲の人は皆 最低限心肺蘇生の方法や知識を再確認された。