さらに、作業員が意識不明で発見されてから搬送されるまでの経緯は、福島第一の救急医療体制が不十分なことを物語っている。
東電によれば作業員が倒れていた厚生棟から医師のいる場所まで一・五キロメートルほどだが、今回は連絡から到着まで二〇分近くかかっている。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は、いろいろ準備をして出発したので「遅くなったとは思っていない」と説明。救命措置でAED(自動体外式除細動器)を使用したのが発見から一八分後だったことも「遅いとか早いとかの評価はしていない」とした上で、AEDの使い方を現場が知っていたかどうかについて「AEDを頻繁に使ったことがある人が珍しいと思う」と答えた。
救急救命では最初の数分間をきわめて重要視しており、消防庁は長年、事業所などに対する応急手当の普及啓発活動に力を入れている。一般に心停止から三分で五〇%が死亡するとされるためだ。松本氏の言葉は、東電の救急救命に対する意識の低さを浮き彫りにした。
福島第一は通常の現場とは明らかに違う。非常時の現場には非常時の対応が必要で、複数の医師の常駐や救命講習の徹底など、現場管理者としての東電になすべきことは多いはずだ。人命を重視しているなら、今すぐ手を打つべきではないだろうか。