八月二二日午前、東京電力福島第一原発で五〇代の作業員が心肺停止で病院に運ばれ、午後一時過ぎに死亡した。事故以降、亡くなった作業員は五人になった。東電はこれまで、作業員の死亡から発表まで数日から二週間程度もかけることがあった。今回も二二日夕方の会見では病院に搬送された後の情報が入っていないと説明。同日中にマスメディア各社は警察取材により死亡を確認したが、東電が死亡を発表したのは翌日だった。東電の発表だけでは、リアルタイムで知ることは困難だ。

 さらに、作業員が意識不明で発見されてから搬送されるまでの経緯は、福島第一の救急医療体制が不十分なことを物語っている。

 東電によれば作業員が倒れていた厚生棟から医師のいる場所まで一・五キロメートルほどだが、今回は連絡から到着まで二〇分近くかかっている。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は、いろいろ準備をして出発したので「遅くなったとは思っていない」と説明。救命措置でAED(自動体外式除細動器)を使用したのが発見から一八分後だったことも「遅いとか早いとかの評価はしていない」とした上で、AEDの使い方を現場が知っていたかどうかについて「AEDを頻繁に使ったことがある人が珍しいと思う」と答えた。

 救急救命では最初の数分間をきわめて重要視しており、消防庁は長年、事業所などに対する応急手当の普及啓発活動に力を入れている。一般に心停止から三分で五〇%が死亡するとされるためだ。松本氏の言葉は、東電の救急救命に対する意識の低さを浮き彫りにした。

 福島第一は通常の現場とは明らかに違う。非常時の現場には非常時の対応が必要で、複数の医師の常駐や救命講習の徹底など、現場管理者としての東電になすべきことは多いはずだ。人命を重視しているなら、今すぐ手を打つべきではないだろうか。
 泉大津市消防本部は、心肺停止状態の女性(62)に救命措置を行って女性を回復させたとして、同市板原町の会社員、(28)と、同市清水町の臨床検査技師(41)に感謝状を贈った。

 同本部によると、5月24日午後11時25分ごろ、野上さんは南海泉大津駅の改札付近で女性が倒れているのを発見し、救急車を呼ぶよう駅員に連絡した。続いて通りかかった 女性の意識などを観察し、呼吸、脈拍が感じられなかったため、周りに手伝ってもらいながら駅に設置されているAED(自動体外式除細動器)を使って救命措置を行い、間もなく到着した救急車に引き継いだ。女性は回復し、8月中旬に退院している。
「勇気がいったが、倒れていた女性に声をかけてよかった」、「応急処置をした人が助かってよかった。人の役に立ててうれしい」

 山間部を多く抱える相模原市消防局の津久井消防署が初期救命措置の大切さを市民に呼び掛けている。9~10日は緑区各所で初期救命に欠かせない心肺蘇生法の体験会を実施。「救急車が到着するまで命を救うお手伝いをして」。署員の声に子どもたちも聞き入っていた。

 「相手の胸をまっすぐ垂直に押すんだ」。
9日、同区中野のダイエー津久井店の店先。救命救急士の助言を受けながら、小学3年生が心臓マッサージに挑んでいた。

 力の伝え方に腐心したが、体験後は「手の置き方など、実際にやってみて分かったことがたくさんあった」。自動体外式除細動器(AED)の使い方の講習もあり、多くの買い物客が足を止めていた。

 日本医師会によると、心停止で意識を失った場合、10分間放置すると社会復帰率が10%を切るという。山間部が多く救急車到着に時間がかかる地域の実情も踏まえ、同署は「救える命を救うため、市民の協力は欠かせない。勇気を持って初期救命に取り組んで」と訴えている。

 体験会は9~10日、同区のスーパーや病院の計4カ所で実施。国が定めた救急医療週間(8~14日)の一環でもあり、市消防団女性部が救急車の適正利用を呼び掛けるチラシも配った。

 「救急の日」の9日、東京都千代田区のJR有楽町駅前広場で、厚生労働省と総務省消防庁などが主催する啓発イベントが開催された。救急医療や救急業務への理解を深めてもらうのが狙いで、ドクターヘリや救急車の展示、AED(自動体外式除細動器)を使った心肺蘇生法の実演などが行われ、家族連れなど多くの人でにぎわった。  オープニングセレモニーで、総務省消防庁の久保信保長官は、昨年の救急出動の件数は約570万件で、10年前に比べ約30%増加している現状を説明。「119番通報を受けてから傷病者を医療機関に収容するまでの時間も年々増加している。緊急性のない救急要請が少なくなく、救急車が必要なのは、どのような場合なのかを分かりやすくまとめた救急車利用マニュアルによる広報に今後一層力を入れていきたい」と述べた。  厚生労働省の大谷泰夫医政局長も、高齢化や家族構成の変化に伴い、複数の傷病を持つ症例や、軽症が増えていることに触れ、「救急の現場で頑張っている医療関係者や救急隊員等の負担も大きなものとなっている。限りある地域の医療資源を有効に活用し、よりよい医療を提供していくためには、救急医療に対する国民の理解をより一層深めていくことが重要」と訴えた。


 9月9日の「救急の日」を前に、小学生たちが授業で心臓マッサージなどを学びました。

 杉並第七小学校の体育館には、5、6年生約100人が集まり、人形を使っての心臓マッサージやAED=自動体外式除細動器の使い方などを学びました。
 
参加した小学生:「ためになりました」「AEDのやり方が前からどうやるのか気になってたので、知ることができ良かった」
 東京消防庁は、今年1月から小学5年生以上を対象に、90分でAEDの使い方などが学べる救急講習を実施しています。9日の救急の日は、有楽町や新宿でも救急救命を学べるイベントが開かれます。