heavy LP 還元による非自明 Collatz 周期の条件付き排除

要旨

本稿では、奇数版 Collatz 写像に対する非自明周期の不存在を、三つの仮定と一つの数値的不等式へ還元する。

本定理は条件付きの還元定理である。したがって、本稿単独では Collatz 予想の完全証明を与えるものではない。ここで示すのは、仮定 H、仮定 K、仮定 C、および不等式 Ineq がすべて成立するならば、非自明 Collatz 周期は存在しない、というメタレベルの排除定理である。

Collatz 予想全体を得るには、さらに発散軌道の不存在、または任意の奇数軌道が有限時間でより小さい奇数へ落ちることを示す下降補題が必要になる。

1. セットアップ

奇数 m に対して

3m+1=2^{a(m)}F(m)

と書く。ただし

a(m)=v_2(3m+1)

であり、F(m) は奇数である。

このとき

F(m)=\frac{3m+1}{2^{a(m)}}

を奇数版 Collatz 写像と呼ぶ。

周期長 T\ge1 の奇数列

m_0,m_1,\ldots,m_{T-1}


F(m_t)=m_{t+1}

を満たすとする。ただし添字は T を法として読む。すなわち

m_T=m_0

である。

すべての t について

m_t>1

が成り立つとき、この周期を非自明周期と呼ぶ。

各時刻 t に対して

a_t:=a(m_t)=v_2(3m_t+1)

と置く。

2. 型の分類

各ステップを次の三種類に分類する。

O_1:\quad a_t=1

O_2:\quad a_t=2

O_3:\quad a_t\ge3

周期上で

u_j:=\frac{\#\{t:a_t=j\}}{T}

と定める。

また

u:=\sum_{j\ge3}u_j

を O_3 ステップの比率とし、

u_{4+}:=\sum_{j\ge4}u_j

を a_t\ge4 となるステップの比率とする。

u>0 のとき、O_3 上の平均指数を

\mu_3
:=
\frac{1}{u}\sum_{j\ge3}j u_j

と定義する。

このとき

\mu_3
=
3+\frac{1}{u}\sum_{j\ge4}(j-3)u_j

である。したがって

\mu_3
\ge
3+\frac{u_{4+}}{u}

が成り立つ。特に 0<u\le1 より

\mu_3\ge3+u_{4+}
\tag{E}

が従う。

3. 危険ブロックと危険長さ率

O_1 型の連続ブロックのうち、あらかじめ指定された有限集合

\mathcal K

に属するものを危険ブロックと呼ぶ。

周期中の O_1 ステップの総長さを a、そのうち危険ブロックに属する総長さを a_{\mathcal K} とする。

a>0 のとき、危険長さ率を

\gamma_{\mathcal K}^{\mathrm{len}}
:=
\frac{a_{\mathcal K}}{a}

と定める。

以下では、非自明周期に対してこの量が定義されている場合を考える。必要ならば、a=0 の周期は別補題によって排除するものとする。

4. 三つの仮定

仮定 H

ある定数

c_H>0

が存在して、すべての非自明周期に対して

u_{4+}
\ge
c_H\gamma_{\mathcal K}^{\mathrm{len}}
\tag{H}

が成り立つ。

これは、危険な O_1 ブロックが一定量存在するなら、それに比例して a_t\ge4 の heavy ステップも必要になる、という仮定である。

仮定 K

ある定数

\delta_k>0

が存在して、すべての非自明周期に対して

\gamma_{\mathcal K}^{\mathrm{len}}
\ge
\delta_k
\tag{K}

が成り立つ。

これは、非自明周期が存在するなら、危険ブロックを一定割合以上含まなければならない、という仮定である。

仮定 C

ある定数

\delta_1>0

が存在して、すべての非自明周期に対して

\mu_3
\le
3+\delta_1
\tag{C}

が成り立つ。

これは、cheap 側および log LP 解析から、O_3 上の平均指数が過度には大きくならないことを要求する上界である。

さらに、数値条件として

\delta_1<c_H\delta_k
\tag{Ineq}

を仮定する。

5. 主定理

定理

仮定 H、仮定 K、仮定 C、および不等式 Ineq がすべて成立するとする。

すなわち、ある定数

c_H,\delta_k,\delta_1>0

が存在して、任意の非自明 Collatz 周期に対して

u_{4+}
\ge
c_H\gamma_{\mathcal K}^{\mathrm{len}}

\gamma_{\mathcal K}^{\mathrm{len}}
\ge
\delta_k

\mu_3
\le
3+\delta_1

が成り立ち、さらに

\delta_1<c_H\delta_k

が成り立つとする。

このとき、非自明 Collatz 周期は存在しない。

6. 証明

非自明周期が存在すると仮定する。

仮定 K より

\gamma_{\mathcal K}^{\mathrm{len}}
\ge
\delta_k

である。

これを仮定 H に代入すると

u_{4+}
\ge
c_H\gamma_{\mathcal K}^{\mathrm{len}}
\ge
c_H\delta_k

を得る。

一方、平均指数に関する評価 E より

\mu_3
\ge
3+u_{4+}

である。したがって

\mu_3
\ge
3+c_H\delta_k
\tag{1}

が従う。

他方、仮定 C より

\mu_3
\le
3+\delta_1
\tag{2}

である。

式 1 と式 2 を合わせると

3+c_H\delta_k
\le
\mu_3
\le
3+\delta_1

となる。

よって

c_H\delta_k\le\delta_1

でなければならない。

しかしこれは

\delta_1<c_H\delta_k

に反する。

したがって、非自明周期が存在するという仮定は矛盾する。

ゆえに、非自明 Collatz 周期は存在しない。

\square

7. 注意

この定理は、非自明周期の排除を示す条件付き定理である。

したがって、この定理だけから Collatz 予想全体は従わない。Collatz 予想全体を得るには、さらに次のいずれかを示す必要がある。

1

すべての軌道が有界であること。

または

2

すべての奇数 m>1 に対して、ある T\ge1 が存在し、

F^T(m)<m

となること。

特に後者が示されれば、強帰納法によって Collatz 予想が従う。

したがって、本稿の定理は Collatz 予想の完全証明ではなく、非自明周期の不存在を heavy capacity と log LP の矛盾へ還元するメタ定理である。

8. 今後の課題

本定理を実際の周期排除定理にするには、以下を証明する必要がある。

第一に、仮定 H を示すこと。
すなわち、危険 O_1 ブロックの存在が、必ず a_t\ge4 の heavy ステップを一定量要求することを示す必要がある。

第二に、仮定 K を示すこと。
すなわち、非自明周期が危険ブロックを完全に避けることはできず、一定割合以上含まなければならないことを示す必要がある。

第三に、仮定 C を示すこと。
すなわち、cheap 側および log LP 解析により、O_3 上の平均指数 \mu_3 に上界を与える必要がある。

これら三つを確立し、さらに

\delta_1<c_H\delta_k

を満たす数値関係を得られれば、非自明周期の不存在が従う。

この構成の意味は、Collatz 周期の排除を直接証明するのではなく、

危険 O_1
\Rightarrow
heavy 必要
\Rightarrow
\mu_3 下界
\Rightarrow
log LP 上界と衝突

という矛盾構造へ還元する点にある。

Collatz heavy cheap LP フレーム周期排除のための条件付き下限構造数値抜き ver.1.1 ドラフト




要約 Abstract


[メモ]

本稿では Collatz 写像に対して、heavy cheap LP フレームと呼ぶ一次不等式ベースの証明フレームを定式化する


[メモ]

目的は、次の四つを統合することである


1

[定義] 奇数版 Collatz 写像における O_3 型ステップの平均指数 \mu_3


2

[定義] O_3 内部の cheap と heavy の分解


3

[定義] O₁ パターンブロックの危険集合と heavy capacity


4

[定義] cheap log LP による \mu_3 の上限


[メモ]

本稿で示すのは、ある有限個のスカラー定数が与えられれば、非自明周期の存在を一次不等式だけで判定できるという条件付き定理である


[事実]

本稿内の論理から直接得られる中心構造は、次の形である


\mu_3\ge 3+\delta_0


ただし \delta_0 は、危険長さ率、O₁頻度、heavy capacity、O₃頻度上界から定まる


[推測]

本稿では、次の対象は外部解析または後続計算に委ねる


\gamma_{\mathcal K}^{len}\ge\varepsilon_0>0


p_1\ge p_{\min}>0


u\le u_{\max}


\mu_3\le3+\delta_1


[事実]

これらが与えられ、さらに


\delta_0>\delta_1


が成立するなら、非自明 Collatz 周期は存在しない


[メモ]

本稿では数値計算そのものは行わない

数値を入れる前の論理構造だけを確定する


0. ラベリング規則


[定義]

以下では、主張を次のように分類する


[定義]

記号、集合、関数、パラメータの導入


[事実]

このテキスト内の論理だけで証明されたもの、または単純な代数計算に還元できるもの


[推測]

未証明の主張、外部計算、LP、オートマトン、有限探索に依存する仮定


[数値実験]

実際の計算結果

本稿では扱わない


[メモ]

方針、直感、補足、今後の作業


[定義]

フレームの芯とは、このドラフト内の論理だけで導かれる構造、不等式、条件付き定理を指す


[メモ]

外部論文、未実装オートマトン、未実行 LP の出力は、すべて [推測] 側に置く


1. 基本設定


1.1 通常 Collatz 写像


[定義]

通常の Collatz 写像 C:\mathbb N\to\mathbb N を


C(n)=

\begin{cases}

n/2 & n\equiv0\pmod2,\\

3n+1 & n\equiv1\pmod2

\end{cases}


と定める


[定義]

Collatz 予想とは、任意の自然数 n から始めた反復列が最終的に 1 に到達するという主張である


1.2 奇数版 Collatz 写像


[定義]

奇数 m に対して


3m+1=2^{a(m)}F(m)


と書く


ここで


a(m)=v_2(3m+1)


であり、F(m) は奇数である


したがって


F(m)=\frac{3m+1}{2^{a(m)}}


と定義する


[定義]

本稿では、この F を奇数版 Collatz 写像と呼ぶ


[定義]

奇数列


m_0,m_1,\ldots,m_{T-1}



F(m_t)=m_{t+1}


m_T=m_0


を満たすとき、これを奇数版 Collatz 写像の周期と呼ぶ


[定義]

すべての t について


m_t>1


が成り立つ周期を、非自明周期と呼ぶ


[定義]

各時刻 t に対して


a_t:=a(m_t)=v_2(3m_t+1)


と置く


2. 型分類と頻度


2.1 型 \tau


[定義]

各奇数ステップを、指数 a_t によって三種類に分類する


O_1:\quad a_t=1


O_2:\quad a_t=2


O_3:\quad a_t\ge3


[定義]

型を


\tau_t\in\{1,2,3\}


で表す


\tau_t=1 \Longleftrightarrow a_t=1


\tau_t=2 \Longleftrightarrow a_t=2


\tau_t=3 \Longleftrightarrow a_t\ge3


[定義]

O_3 のうち


a_t=3


を cheap O_3 と呼び、


a_t\ge4


を heavy O_3 と呼ぶ


2.2 型頻度


[定義]

周期長 T に対して型頻度を


p_i:=\frac{1}{T}\#\{t:\tau_t=i\}


と定める


特に


u:=p_3


と書く


[事実]

定義から


p_1+p_2+p_3=1


p_i\ge0


が成り立つ


2.3 型遷移頻度


[定義]

型遷移頻度を


q_{ij}:=\frac{1}{T}\#\{t:\tau_t=i,\ \tau_{t+1}=j\}


と定義する


[事実]

周期性から


\sum_j q_{ij}=p_i


\sum_i q_{ij}=p_j


が成り立つ


[メモ]

これは単なる流量保存であり、オートマトンを必要としない


3. O_3 の分解と平均指数 \mu_3


[定義]

O_3 の指数分布を


u_k:=\frac{1}{T}\#\{t:\tau_t=3,\ a_t=k\}

\qquad k\ge3


と定める


[定義]

cheap と heavy の頻度を


u_3:=\frac{1}{T}\#\{t:a_t=3\}


u_{4+}:=\sum_{k\ge4}u_k


と定める


[事実]

定義から


u=p_3=\sum_{k\ge3}u_k=u_3+u_{4+}


が成り立つ


[定義]

u>0 のとき、O_3 上の平均指数を


\mu_3:=\frac{1}{u}\sum_{k\ge3}ku_k


と定める


[導出]


\mu_3

=

\frac{1}{u}\sum_{k\ge3}(3+(k-3))u_k


=

3+\frac{1}{u}\sum_{k\ge4}(k-3)u_k


したがって


\mu_3

\ge

3+\frac{1}{u}\sum_{k\ge4}u_k


=

3+\frac{u_{4+}}{u}


[事実]

よって


\mu_3-3\ge \frac{u_{4+}}{u}

\tag{3.1}


が成り立つ


[事実]

さらに u\le1 より


\mu_3-3\ge u_{4+}

\tag{3.2}


も成り立つ


[メモ]

鋭い下界には式 3.1 を使い、粗い下界には式 3.2 を使う


4. O₁ パターンブロックと危険集合


4.1 最大連続区間ではなく、パターンブロックとして定義する


[メモ]

ここが重要である


O₁ ブロックを連続する \tau=1 の最大区間として定義すると、ブロック内部に現れる 1\to3 遷移は高々 1 本になる


その場合、(2,2) や (3,3) のような危険型は出現できない


したがって、本稿では O₁ ブロックを最大連続区間ではなく、有限長の O₁ パターンブロックとして定義する


[定義]

O₁ パターンブロックとは、周期上から選ばれた有限個の O₁ 行からなる局所パターンであり、その長さを


\ell(B)


とする


[定義]

ブロック B 内に含まれる指定危険遷移の本数を


r(B)


とする


[定義]

(\ell,r) をブロック型と呼ぶ


\ell(B)=\ell,\qquad r(B)=r


を満たすブロックを型 (\ell,r) のブロックと呼ぶ


[メモ]

この定義により、(2,2) や (3,3) も許される

つまり、長さ \ell のパターン内部に危険遷移が r 回現れる、という意味である


4.2 O₁ log 係数


[定義]

O₁ 行の log 係数を


L_{11}=\log\frac{11}{7}


L_{12}=\log\frac{17}{11}


L_{13}=\log\frac{5}{3}


と置く


[事実]

単純な大小比較から


L_{13}>L_{11}>L_{12}>0


が成り立つ


[定義]

ブロック B 内の 1\to1、1\to2、指定危険遷移の本数を


n_{11}(B),\quad n_{12}(B),\quad r(B)


とし、


n_{11}(B)+n_{12}(B)+r(B)=\ell(B)


とする


[定義]

ブロック B の O₁ log 収支を


S_{O1}(B)

=

n_{11}(B)L_{11}

+n_{12}(B)L_{12}

+r(B)L_{13}


と定義する


[定義]

型 (\ell,r) の最大 O₁ log 利得を


\Phi_{\ell,r}

:=

\max_{B:\ell(B)=\ell,\ r(B)=r}S_{O1}(B)


と定める


[導出]

L_{13}>L_{11}>L_{12} であるため、固定された (\ell,r) に対して S_{O1}(B) を最大化するには、n_{11} を最大化し、n_{12} を最小化すればよい


したがって


\Phi_{\ell,r}

=

\ell L_{11}+r(L_{13}-L_{11})

\tag{4.1}


を得る


[事実]

特に


\Phi_{\ell,r}\le \ell L_{13}


が成り立つ


4.3 危険集合


[定義]

危険集合を


\mathcal K

=

\{(1,1),(2,1),(2,2),(3,1),(3,3)\}


と定める


[定義]

高危険集合を


\mathcal K^*

=

\{(1,1),(2,2),(3,3)\}


と定める


[メモ]

これらは有限集合であり、各 (\ell,r) に対する \Phi_{\ell,r} は有限回の計算で確定する


5. 危険長さ率


[定義]

周期上で選ばれた危険 O₁ パターンブロックの集合を


\mathcal B_{\mathcal K}


とする


[推測]

\mathcal B_{\mathcal K} は、後続のオートマトンまたはパターン抽出規則によって、重なりがないように選ばれるものとする


[メモ]

重なりを許すと、危険長さや heavy 割当の二重計上が発生するため、ここでは非重複選択を前提とする


[定義]

O₁ の総長さを


N_1:=\#\{t:\tau_t=1\}


とする


[定義]

危険ブロックに属する O₁ 長さを


N_1(\mathcal K)

:=

\sum_{B\in\mathcal B_{\mathcal K}}\ell(B)


と定める


[定義]

危険長さ率を


\gamma_{\mathcal K}^{len}

:=

\frac{N_1(\mathcal K)}{N_1}


と定める


[事実]

周期全体に対する危険 O₁ 長さの比率は


p_1\gamma_{\mathcal K}^{len}

\tag{5.1}


である


[メモ]

ここが重要である

\gamma_{\mathcal K}^{len} は O₁ 内比率であり、周期全体の比率ではない

したがって heavy 下限には必ず p_1 が現れる


6. heavy capacity


6.1 cheap と heavy


[定義]

cheap 側の資源を


O_2,\qquad cheap\ O_3\ (a_t=3)


とする


[定義]

heavy 側の資源を


heavy\ O_3\ (a_t\ge4)


とする


[定義]

cheap 総頻度を


u_{\mathrm{cheap}}:=p_2+u_3


とする


[推測]

後続の LP 解析から


u_{\mathrm{cheap}}\le U_{\mathrm{cheap}}


のような budget 制約が得られると期待する


6.2 局所 heavy 補題


[定義]

ブロック B に付随する cheap と heavy の本数を


N_2(B)


N_3^{(3)}(B)


N_3^{(4+)}(B)


と書く


[定義]

それぞれの log 上界を


L_{2,\max}<0


L_3^{(3),\max}<0


L_3^{(4+),\max}<0


とする


[定義]

ブロック B の補正後 log 収支を


S(B)

=

\Phi_{\ell,r}

+

N_2(B)L_{2,\max}

+

N_3^{(3)}(B)L_3^{(3),\max}

+

N_3^{(4+)}(B)L_3^{(4+),\max}


とする


[推測]

局所 heavy 補題

任意の危険ブロック B\in\mathcal B_{\mathcal K} に対して、周期条件と log 収支を保つには、少なくとも 1 本の heavy O_3 が必要である


すなわち


N_3^{(4+)}(B)\ge1

\tag{6.1}


が成り立つ


[メモ]

これは本稿内では証明しない

有限ケースチェック、LP、またはオートマトン解析で証明されるべき補題である


6.3 heavy 下限の代数的帰結


[推測]

危険ブロックの長さには共通上界


\ell(B)\le L_{\max}


があるとする


[メモ]

危険集合 \mathcal K の長さだけを見るなら L_{\max}=3 だが、実際の抽出規則で拡張ブロックを使う場合は L_{\max}=6 などになりうる

本稿では記号 L_{\max} のまま扱う


[事実]

局所 heavy 補題 6.1 を仮定すると、各危険ブロック B について


N_3^{(4+)}(B)\ge1


である


また


\ell(B)\le L_{\max}


なので


N_3^{(4+)}(B)

\ge

\frac{\ell(B)}{L_{\max}}


が成り立つ


[導出]

非重複に選ばれた危険ブロック全体で和を取ると


\#\{heavy\ O_3\}

\ge

\frac{1}{L_{\max}}

\sum_{B\in\mathcal B_{\mathcal K}}\ell(B)


両辺を周期長 T で割ると


u_{4+}

\ge

\frac{1}{L_{\max}}

\frac{N_1(\mathcal K)}{T}


ここで


\frac{N_1(\mathcal K)}{T}

=

p_1\gamma_{\mathcal K}^{len}


なので


u_{4+}

\ge

\frac{p_1}{L_{\max}}\gamma_{\mathcal K}^{len}

\tag{6.2}


を得る


[定義]

c_H:=\frac{1}{L_{\max}}


と置く


[事実]

局所 heavy 補題と非重複選択を仮定すれば


u_{4+}

\ge

c_Hp_1\gamma_{\mathcal K}^{len}

\tag{6.3}


が成り立つ


[メモ]

修正前の


u_{4+}\ge c_H\gamma_{\mathcal K}^{len}


は、\gamma_{\mathcal K}^{len} を周期全体比率として定義した場合にのみ成立する

本稿の定義では O₁ 内比率なので、正しくは p_1 が必要である


7. heavy 側からの \mu_3 下限


[事実]

式 3.1 より


\mu_3-3\ge\frac{u_{4+}}{u}


である


[事実]

式 6.3 より


u_{4+}\ge c_Hp_1\gamma_{\mathcal K}^{len}


である


[導出]

したがって


\mu_3-3

\ge

\frac{c_Hp_1}{u}\gamma_{\mathcal K}^{len}

\tag{7.1}


を得る


[推測]

後続解析により


\gamma_{\mathcal K}^{len}\ge\varepsilon_0>0


p_1\ge p_{\min}>0


u\le u_{\max}


が得られると仮定する


[事実]

このとき


\mu_3-3

\ge

\frac{c_Hp_{\min}}{u_{\max}}\varepsilon_0


が成り立つ


[定義]

heavy 側の下限幅を


\delta_0

:=

\frac{c_Hp_{\min}}{u_{\max}}\varepsilon_0

\tag{7.2}


と定義する


[事実]

すると


\mu_3\ge3+\delta_0

\tag{7.3}


が従う


[メモ]

粗い形として u\le1 のみを使えば


\delta_0^{rough}:=c_Hp_{\min}\varepsilon_0


でもよい

ただし、鋭い判定には式 7.2 を使う


8. cheap log LP による \mu_3 上限


8.1 log 収支


[定義]

各型の平均 log 利得を


\mathbb E[L_1],\quad

\mathbb E[L_2],\quad

\mathbb E[L_3]


とする


[定義]

周期一周の平均 log 収支を


S

=

p_1\mathbb E[L_1]

+

p_2\mathbb E[L_2]

+

u\mathbb E[L_3]


と置く


[事実]

周期では元の値に戻るため、log 収支は


S=0


である


[推測]

外部解析により


\mathbb E[L_1]\le L_{1,\max}


\mathbb E[L_2]\le L_{2,\max}


\mathbb E[L_3]\le \log4-\mu_3\log2


が得られると仮定する


[導出]

S=0 と上界を合わせると


0

=

S

\le

p_1L_{1,\max}

+

p_2L_{2,\max}

+

u(\log4-\mu_3\log2)


したがって u>0 の範囲で


\mu_3

\le

\frac{

p_1L_{1,\max}

+

p_2L_{2,\max}

+

u\log4

}{

u\log2

}

\tag{8.1}


[定義]

右辺を


\operatorname{UB}(p_1,p_2,u)

:=

\frac{

p_1L_{1,\max}

+

p_2L_{2,\max}

+

u\log4

}{

u\log2

}


と書く


[事実]

条件付きで


\mu_3\le\operatorname{UB}(p_1,p_2,u)


が成り立つ


8.2 LP 領域 P


[推測]

q 遷移 LP、危険構造、log 制約から、(p_1,p_2,u) の可解領域 P が得られると仮定する


[推測]

さらに P は有界多面体であり、ある


u_{\min}>0


を用いて


u\ge u_{\min}


を満たすと仮定する


[メモ]

この仮定は重要である

u\to0 が許されると、\operatorname{UB} が発散し、\delta_1 が有限に定まらない可能性がある


[定義]

可解領域を形式的に


P=

\left\{

(p_1,p_2,u):

p_1+p_2+u=1,\quad

p_i\ge0,\quad

u\ge u_{\min},\quad

\text{LP 制約}

\right\}


と書く


8.3 \delta_1 の定義


[定義]

cheap 側の最大許容値を


\mu_3^{\max}

:=

\max_{(p_1,p_2,u)\in P}

\operatorname{UB}(p_1,p_2,u)


と定める


[定義]

cheap 側のオフセットを


\delta_1:=\mu_3^{\max}-3

\tag{8.2}


と定義する


[事実]

P 上で


\mu_3\le3+\delta_1

\tag{8.3}


が成り立つ


[メモ]

本稿では \delta_1 の数値評価は行わない

LP の頂点列挙と log 係数の代入は後続フェーズに回す


9. 統合判定定理


9.1 条件


[推測]

以下を仮定する


A

危険長さ率の下限


\gamma_{\mathcal K}^{len}\ge\varepsilon_0>0


B

O₁ 頻度の下限


p_1\ge p_{\min}>0


C

O₃ 頻度の上限


u\le u_{\max}


D

局所 heavy 補題と非重複危険ブロック選択により


u_{4+}\ge c_Hp_1\gamma_{\mathcal K}^{len}


E

cheap log LP により


\mu_3\le3+\delta_1


F

c_H=1/L_{\max}>0


[定義]

\delta_0

:=

\frac{c_Hp_{\min}}{u_{\max}}\varepsilon_0


と置く


9.2 定理


[事実]

条件付きメイン定理

上記 A から F が成立すると仮定する

もし


\delta_0>\delta_1


ならば、非自明 Collatz 周期は存在しない


9.3 証明


[導出]

非自明周期が存在すると仮定する


A, B, C, D と式 3.1 から


\mu_3-3

\ge

\frac{u_{4+}}{u}


\ge

\frac{c_Hp_1\gamma_{\mathcal K}^{len}}{u}


\ge

\frac{c_Hp_{\min}\varepsilon_0}{u_{\max}}


したがって


\mu_3\ge3+\delta_0

\tag{9.1}


一方、E より


\mu_3\le3+\delta_1

\tag{9.2}


よって周期が存在するなら


3+\delta_0\le\mu_3\le3+\delta_1


が必要である


しかし


\delta_0>\delta_1


ならこれは矛盾である


したがって、非自明周期は存在しない


\square


10. 閾値表現


[定義]

必要な危険長さ率の閾値を


\gamma_{\mathrm{crit}}

:=

\frac{\delta_1u_{\max}}{c_Hp_{\min}}


と定義する


[事実]

条件


\delta_0>\delta_1



\frac{c_Hp_{\min}}{u_{\max}}\varepsilon_0>\delta_1


すなわち


\varepsilon_0>

\frac{\delta_1u_{\max}}{c_Hp_{\min}}


と同値である


[事実]

したがって


\varepsilon_0>\gamma_{\mathrm{crit}}


が示されれば、非自明周期は存在しない


[メモ]

この形にすると、証明の残りは二つの作業に分離される


1

オートマトンまたは有限状態解析で \varepsilon_0 を押し上げる


2

cheap log LP で \delta_1 を押し下げる


最終判定は


\varepsilon_0>\gamma_{\mathrm{crit}}


という一つの不等式に圧縮される


11. 変数ライフサイクル


[メモ]

主要変数の流れを整理する


11.1 m_t


[定義]

周期上の奇数列


[変形]

a_t=v_2(3m_t+1) と型 \tau_t に写る


[消滅]

LP では個々の m_t は現れず、頻度変数へ圧縮される


11.2 a_t


[定義]

2 進指数


[変形]

u_k、\mu_3、cheap、heavy に分解される


[消滅]

最終的には


\mu_3-3\ge\frac{u_{4+}}{u}


に吸収される


11.3 \tau_t


[定義]

O_1,O_2,O_3 の型


[変形]

p_i,q_{ij}、O₁ パターンブロック、危険集合へ移る


[消滅]

最終的には p_1,u,\gamma_{\mathcal K}^{len} に圧縮される


11.4 \gamma_{\mathcal K}^{len}


[定義]

O₁ 内部における危険長さ率


[変形]

周期全体比率へ移すと


p_1\gamma_{\mathcal K}^{len}


になる


[消滅]

\gamma_{\mathcal K}^{len}\ge\varepsilon_0


によって \varepsilon_0 に圧縮される


11.5 u_{4+}


[定義]

heavy O_3 の頻度


[変形]

u_{4+}\ge c_Hp_1\gamma_{\mathcal K}^{len}


から heavy 下限を与える


[消滅]

\mu_3-3\ge\frac{u_{4+}}{u}


によって \delta_0 に吸収される


11.6 \delta_0,\delta_1


[定義]

heavy 側下限幅と cheap 側上限幅


[変形]

比較条件


\delta_0>\delta_1


にまとめられる


[消滅]

非自明周期排除の矛盾に変換される


12. 未解決部分


[推測]

本稿では、次の部分は未解決のまま残る


1

危険ブロック抽出規則の完全定義


2

危険ブロックの非重複選択


3

局所 heavy 補題


N_3^{(4+)}(B)\ge1


の証明


4

オートマトン解析による


\gamma_{\mathcal K}^{len}\ge\varepsilon_0


の証明


5

LP による


p_1\ge p_{\min}


u\le u_{\max}


u\ge u_{\min}


の証明


6

cheap log LP による


\mu_3\le3+\delta_1


の実数評価


7

最終比較


\delta_0>\delta_1


の検証


[メモ]

この一覧は弱点ではなく、証明を完成させるための作業分解である


13. 今後の順序


[メモ]

論理的な順序は次の通りである


1

O₁ パターンブロックの抽出規則を完全固定する


2

危険ブロックが非重複に選べることを証明する


3

局所 heavy 補題を有限ケースで証明する


4

有限オートマトン A_k を設計し、safe only 閉路を排除する


5

\varepsilon_0 を得る


6

q 遷移 LP を構成し、p_{\min},u_{\max},u_{\min} を得る


7

cheap log LP から \delta_1 を得る


8

\delta_0=\frac{c_Hp_{\min}}{u_{\max}}\varepsilon_0


を計算する


9

\delta_0>\delta_1


を確認する


10

非自明周期排除定理としてまとめる


14. 終わりに


[メモ]

この ver.1.1 の核心は、Collatz 周期排除を次の一つの不等式へ圧縮した点にある


\frac{c_Hp_{\min}}{u_{\max}}\varepsilon_0>\delta_1


[メモ]

左辺は heavy 側の強制力である


[メモ]

右辺は cheap log LP が許す余白である


[メモ]

左辺が右辺を超えれば、\mu_3 は同時に


\mu_3\ge3+\delta_0


かつ


\mu_3\le3+\delta_1


を満たさねばならず、矛盾する


[メモ]

したがって、このフレームが示しているのは、Collatz の非自明周期問題を


heavy 強制量


危険構造の最低出現率


O_1 と O_3 の頻度制約


cheap 側の log LP 上限


の比較問題へ還元できるということである


[メモ]

本稿は Collatz 予想の証明ではない

しかし、非自明周期排除のために何を示せばよいかを、かなり明確な条件付き定理として分解している


Collatz heavy LP フレーム  オートマトンなしで確定する構造と、その限界構造篇 Vol.2



Collatz heavy LP フレームの目的は、非自明周期を仮定したとき、その周期上に現れる log 収支、型頻度、危険ブロック、heavy ステップの関係を、有限個の一次不等式として記述することにある


構造篇 Vol.1 では、次の対象を導入した


1

\tau 型分類


2

型頻度 p_i と遷移頻度 q_{ij}


3

O_1 ブロック


4

log 利得 \Phi_{\ell,r}


5

危険集合 \mathcal K と高危険集合 \mathcal K^*


6

heavy capacity の形式


7

\mu_3 の主不等式


8

\delta_0 の記号式


本稿の目的は、これらのうち、オートマトンを使わずにどこまで確定できるのかを整理することである


ここで重要なのは、三つの領域を区別することである


第一に、定義と代数から完全に確定する領域


第二に、log 係数と有限集合から候補式までは出せる領域


第三に、周期全体に対する universal 制約にするためには、オートマトンまたは同等の構造補題が必要になる領域


本稿では、この三層を明確に分ける


1. オートマトンなしで確定する領域


1.1 奇数版 Collatz 写像


奇数 m に対して


3m+1=2^{a(m)}F(m)


と書く


ここで


a(m)=v_2(3m+1)


であり、F(m) は奇数である


したがって


F(m)=\frac{3m+1}{2^{a(m)}}


と定義される


以後、周期とは、この奇数版写像 F の周期を指す


周期長を N とし、


F(m_t)=m_{t+1}


m_N=m_0


を満たす奇数列


m_0,m_1,\ldots,m_{N-1}


を考える


すべての t で m_t>1 が成り立つ周期を、非自明周期と呼ぶ


各時刻について


a_t:=a(m_t)=v_2(3m_t+1)


と置く


1.2 型分類


指数 a_t によって、各ステップを三種類に分類する


O_1:\quad a_t=1


O_2:\quad a_t=2


O_3:\quad a_t\ge3


さらに O_3 のうち


a_t=3


を cheap と呼び、


a_t\ge4


を heavy と呼ぶ


この分類は定義そのものであり、オートマトンを必要としない


1.3 型頻度と遷移頻度


型を


\tau_t\in\{1,2,3\}


で表す


周期上の型頻度を


p_i:=\frac{\#\{t:\tau_t=i\}}{N}


と定義する


また、型遷移頻度を


q_{ij}:=\frac{\#\{t:\tau_t=i,\tau_{t+1}=j\}}{N}


と定義する


周期であることから、次の一次制約が成立する


p_1+p_2+p_3=1


\sum_j q_{ij}=p_i


\sum_i q_{ij}=p_j


p_i\ge0,\qquad q_{ij}\ge0


これらは単なる数え上げの恒等式であり、オートマトンなしで完全に確定する


以後


u:=p_3


と置く


heavy ステップの頻度を


h:=u_{4+}:=\frac{\#\{t:a_t\ge4\}}{N}


と書く


2. \mu_3 の基礎不等式


u=p_3>0 のとき、O_3 上の平均指数を


\mu_3

:=

\frac{1}{u}

\sum_{a\ge3}a u_a


と定義する


ここで


u_a:=\frac{\#\{t:a_t=a\}}{N}


である


すると


u=\sum_{a\ge3}u_a


h=\sum_{a\ge4}u_a


であり、


\mu_3

=

3+\frac{1}{u}\sum_{a\ge4}(a-3)u_a


が成り立つ


したがって


\mu_3-3

\ge

\frac{h}{u}

\tag{2.1}


を得る


これは定義から従う完全に解析的な不等式である


この式は heavy LP フレームの基礎であり、heavy が増えれば \mu_3 が 3 より上に押し上げられることを表している


3. O_1 ブロックと危険度


O_1 が連続して現れる区間を O_1 ブロックと呼ぶ


各ブロックを


(\ell,r)


で分類する


ここで \ell はブロック長であり、r はブロック内部に含まれる指定遷移の回数を表す


周期全体における (\ell,r) 型ブロックの頻度を


\theta_{\ell,r}


とする


このとき、総 O_1 長さは


p_1=\sum_{\ell,r}\ell\theta_{\ell,r}

\tag{3.1}


であり、指定遷移の総頻度は


x=\sum_{\ell,r}r\theta_{\ell,r}

\tag{3.2}


である


形式的には


R=\frac{x}{p_1}


を危険度と見られる


ただし、一次不等式として扱うため、本稿では比 R を直接主変数にはしない


代わりに


x\ge R_{\min}p_1

\tag{3.3}


という一次制約として扱う


ここで R_{\min} は後続解析で確定すべき定数である


4. 高危険長さと一次不等式


危険率カットを


0<\alpha_0<1


とする


ある O_1 ブロック (\ell,r) が高危険であるとは


\frac{r}{\ell}\ge\alpha_0


を満たすこととする


高危険 O_1 長さの周期比率を


y_{\mathrm{high}}


と書く


低危険部分では


r\le\alpha_0\ell


が成り立つ


高危険部分では自明に


r\le\ell


が成り立つ


したがって全体の指定遷移頻度 x について


x

\le

\alpha_0(p_1-y_{\mathrm{high}})

+

y_{\mathrm{high}}


すなわち


x\le\alpha_0p_1+(1-\alpha_0)y_{\mathrm{high}}

\tag{4.1}


を得る


ここに


x\ge R_{\min}p_1


を組み合わせると


R_{\min}p_1

\le

\alpha_0p_1+(1-\alpha_0)y_{\mathrm{high}}


したがって


y_{\mathrm{high}}

\ge

\frac{R_{\min}-\alpha_0}{1-\alpha_0}p_1

\tag{4.2}


となる


この不等式は、平均の分解だけから出る純解析的な一次不等式である


ただし、右辺を正にするには


R_{\min}>\alpha_0


が必要である


この R_{\min}>\alpha_0 は自明ではなく、後続の LP またはオートマトン解析で保証すべき部分である


5. 危険集合と高危険集合


危険集合を


\mathcal K

=

\{(1,1),(2,1),(2,2),(3,1),(3,3)\}


と定める


高危険集合を


\mathcal K^*

=

\{(1,1),(2,2),(3,3)\}


と定める


これらは有限集合である


したがって、各 (\ell,r) に対して log 利得や危険度 r/\ell を計算することは、オートマトンなしで可能である


ただし、これらの集合が任意の非自明周期に一定割合で現れることは、定義だけからは従わない


その大域的保証は後続の解析対象である


6. log 利得と heavy capacity 候補


O_1 ブロック (\ell,r) の log 利得を


\Phi_{\ell,r}

=

\ell L_{11}+r(L_{13}-L_{11})

\tag{6.1}


と定義する


これはブロック内部の log 係数の代数的整理であり、有限データから計算できる


さらに、O_2 の最悪 log 係数を


L_{2,\max}


cheap O_3 の最悪 log 係数を


L_3^{(3),\max}


とする


危険ブロック (\ell,r) に付随して許す O_2 と cheap O_3 の割当量を


\ell_{(2)}(\ell,r)


\ell_{(3)}(\ell,r)


とする


このとき、補正後の赤字候補を


D_{\ell,r}

:=

\left[

\Phi_{\ell,r}

+

\ell_{(2)}(\ell,r)L_{2,\max}

+

\ell_{(3)}(\ell,r)L_3^{(3),\max}

\right]_+

\tag{6.2}


と定義する


ここで


[X]_+:=\max(X,0)


である


heavy 一本あたりの黒字量を


B_{4+}:=|L_3^{(4+),\max}|


と置く


現行モデルでは保守的な候補として


B_{4+}=\log4


を採用する


このとき、危険型 (\ell,r) に必要な heavy 量の候補を


H_{\ell,r}

:=

\frac{D_{\ell,r}}{B_{4+}}

\tag{6.3}


と定義する


さらに


c_H^{\mathrm{len}}

:=

\min_{(\ell,r)\in\mathcal K}

\frac{H_{\ell,r}}{\ell}

\tag{6.4}


c_H^{\mathrm{len,*}}

:=

\min_{(\ell,r)\in\mathcal K^*}

\frac{H_{\ell,r}}{\ell}

\tag{6.5}


と置く


ここで重要なのは、これらは log 係数と有限集合から定義される候補係数だという点である


オートマトンなしで計算できるのは


H_{\ell,r}


および


c_H^{\mathrm{len}},\quad c_H^{\mathrm{len,*}}


の候補値までである


しかし、任意の非自明周期に対して


h\ge c_H^{\mathrm{len,*}}y_{\mathrm{high}}

\tag{6.6}


が成り立つことは、log だけでは確定しない


この不等式を大域的制約として確立するには、危険ブロックと heavy ステップの対応を保証する構造補題が必要である


その構造補題は、オートマトン解析またはそれと同等の有限状態解析によって証明されるべき対象である


7. \delta_0 の記号式


構造篇 Vol.1 で得た主不等式は


\mu_3-3

\ge

\frac{h}{u}


であった


もし後続解析により


h\ge c_H^{\mathrm{len,*}}y_{\mathrm{high}}


および


y_{\mathrm{high}}

\ge

\frac{R_{\min}-\alpha_0}{1-\alpha_0}p_1


が得られるなら、


\mu_3-3

\ge

c_H^{\mathrm{len,*}}

\frac{p_1}{u}

\frac{R_{\min}-\alpha_0}{1-\alpha_0}


となる


さらに、任意の非自明周期に対して


p_1\ge p_{\min}>0


u\le u_{\max}


が保証されるなら、


\mu_3-3

\ge

\frac{c_H^{\mathrm{len,*}}p_{\min}}{u_{\max}}

\frac{R_{\min}-\alpha_0}{1-\alpha_0}


となる


したがって


\delta_0

:=

\frac{c_H^{\mathrm{len,*}}p_{\min}}{u_{\max}}

\frac{R_{\min}-\alpha_0}{1-\alpha_0}

\tag{7.1}


と置けば


\mu_3\ge3+\delta_0


が得られる


この記号式そのものは、オートマトンなしで構成できる


ただし、\delta_0>0 を universal な実数として確定するには、


c_H^{\mathrm{len,*}}>0


p_{\min}>0


u_{\max}>0


R_{\min}>\alpha_0


および


h\ge c_H^{\mathrm{len,*}}y_{\mathrm{high}}


の大域的保証が必要である


この部分はオートマトンなしではまだ閉じない


8. p_1,p_3 直線制約の位置づけ


周期の log 収支を粗く見ると、


p=\frac{p_1}{p_1+p_3}


に対して、ある臨界値


p^*

=

\frac{\log2}{\log(10/3)}


が自然に現れる


このとき


p\ge p^*


が成立するなら、代数変形により


p_3

\le

\frac{1-p^*}{p^*}p_1


を得る


ここで


\frac{1-p^*}{p^*}

=

\frac{\log(10/3)-\log2}{\log2}

=

\frac{\log(5/3)}{\log2}


である


したがって


p_3

\le

\frac{\log(5/3)}{\log2}p_1

\tag{8.1}


という直線制約が得られる


ただし、この制約を正式に採用するには、その前提である


p\ge p^*


をどの log 収支不等式から導くのかを明示する必要がある


したがって本稿では、式 8.1 を参考となる解析的境界として記録するに留める


正式な制約としては、後続の LP 解析で扱う


9. オートマトンなしで近似できるが、確定しない領域


ここでは、オートマトンなしで方向性は見えるが、定理としてはまだ確定していない対象を整理する


9.1 p_{\min}


O_1 が少なすぎる周期では、log 収支が成立しにくい


そのため


p_1\ge p_{\min}>0


という制約が期待される


しかし、具体的な p_{\min} を universal に保証するには、型頻度の polytope と追加制約を明示する必要がある


これは LP 解析に渡すべき部分である


9.2 u_{\max}


u=p_3 が大きすぎると、cheap O_3 の赤字が増え、log 収支が破綻しやすくなる


したがって


u\le u_{\max}


という上界が期待される


しかし、その鋭い値は解析的直感だけでは確定しない


これも LP 解析に渡すべき部分である


9.3 R_{\min}


危険度


R=\frac{x}{p_1}


が小さすぎる周期は、safe な O_1 ブロックだけで構成される必要がある


そのような構造が周期として閉じるかどうかは、局所的 log だけでは決まらない


したがって


R\ge R_{\min}


特に


R_{\min}>\alpha_0


を示すには、有限状態解析が必要になる


ここがオートマトンの主戦場である


10. オートマトンが必要になる領域


オートマトン、またはそれと同等の有限状態解析が必要になるのは、次の部分である


1

safe な O_1 ブロックだけで閉じる周期が存在しないこと


2

\mathcal K^* を避け続ける closed loop が存在しないこと


3

危険ブロックが一定割合以上現れること


4

危険ブロックに対応して heavy ステップが一定量必要になること


5

h\ge c_H^{\mathrm{len,*}}y_{\mathrm{high}}


を任意の非自明周期に対する大域制約として確立すること


6

p_{\min},u_{\max},R_{\min} を universal な定数として確定すること


つまり、オートマトンの役割は、log 係数を計算することではない


log 係数から作った局所的な候補制約が、周期全体に対して本当に成立することを保証することである


11. 本稿の結論


本稿で確定したことは次の通りである


1

型分類、頻度変数、遷移頻度の一次制約は、オートマトンなしで完全に定義できる


2

\mu_3-3\ge\frac{h}{u}


は、定義から従う完全に解析的な不等式である


3

高危険長さに関する


x\le\alpha_0p_1+(1-\alpha_0)y_{\mathrm{high}}


および


y_{\mathrm{high}}

\ge

\frac{R_{\min}-\alpha_0}{1-\alpha_0}p_1


は、平均の分解から得られる一次不等式である


4

log 係数と有限危険集合から、heavy capacity 候補係数


c_H^{\mathrm{len}},\quad c_H^{\mathrm{len,*}}


を定義することはできる


5

\delta_0 の symbolic form


\delta_0

=

\frac{c_H^{\mathrm{len,*}}p_{\min}}{u_{\max}}

\frac{R_{\min}-\alpha_0}{1-\alpha_0}


までは、オートマトンなしで構成できる


一方で、次のことは本稿ではまだ確定していない


1

R_{\min}>\alpha_0


2

p_1\ge p_{\min}>0


3

u\le u_{\max}


4

h\ge c_H^{\mathrm{len,*}}y_{\mathrm{high}}


5

\delta_0>0 の universal な実数値


これらは Vol.3 以降で扱うべき部分である


12. 結語


構造篇 Vol.1 では、Collatz 非自明周期の log 収支を一次不等式へ還元する枠組みを構築した


本稿 Vol.2 では、そのうちオートマトンなしで到達できる領域と、オートマトンなしでは閉じない領域を分離した


この分離により、heavy LP フレームの役割は明確になる


log と有限危険集合は、局所的な係数と記号式を与える


LP は、頻度制約を鋭くする


オートマトンは、局所制約が周期全体へ伝播することを保証する


したがって、Collatz heavy LP フレームの現在地は次のように整理できる


\text{構造式は完成}


\text{係数候補は定義可能}


\text{universal 定数の確定は未完}


\text{周期排除にはオートマトンまたは同等の構造補題が必要}


この位置づけにより、以後の課題は明確になる


次に行うべきことは、


p_{\min},\quad u_{\max},\quad R_{\min},\quad c_H^{\mathrm{len,*}}


を単なる候補ではなく、任意の非自明周期に対する universal な定数として確定することである