K-POPとJ-POPの違い(ギターリストの意見) | アカデミアからのぞくJ-POP, K-POP, HIP-HOP

アカデミアからのぞくJ-POP, K-POP, HIP-HOP

このブログではアカデミックな立場から(主にアメリカで)どのようにJPOP, KPOP, HIP-HOPが認識・議論されているかを文献なども紹介しながらお話ししていきます。のんびり書いています♪

こんにちは!

 

本日は、

 

 

K-POPとJ-POPの違い(ギターリストの意見)

普段は、私の教育テーマと

重なった部分で、

文化的なアイデンティティーの

部分からKとJをお話ししているのですが、

今日は「耳」から👂の違いということで。

ニヤニヤ

 

例えば、

 

レゲエ(ジャマイカ)やタンゴ(アルゼンチン)

などは、リズムに特徴があり、

だれが演奏しても、そのカテゴリーが

はっきりしていてわかりやすいと思います。

 

では、J-POPの音楽的特徴は?

だれが聞いてもJ-Popと

なるのに、日本語以外の特徴は

あるのか?

コード進行のお話にも

なってくるのですが、

バンドをしている人でないと

コードのお話は???なので

 

参考までにコチラ↓

Magadethというバンドで

活躍していたギターリスト

Martin Friedmanがわかりやすく

J-popとAmerican(or Western) popのコード進行の

違いをデモンストレーションを

交えて説明しています。

 

ちなみにデモンストレーションで

弾いている曲はいきものがかりの「ありがとう」♪

J-Popのコード進行がAmeican Popに比べて

いかに複雑で、コード数だけではなく

展開のバリエーションもすごいという

お話をしています。American Popの

基本コードはシンプル(4種類)で

展開もシンプル。Simple is best.

これはこれでありですね。

 

しかし、J-Popの場合、コード数も多く、

展開も複雑であるのにもかかわらず、

その複雑化したものが、

「パターン化」しており、どのJ-Pop の曲も

基本がこの複雑なコード進行なのだそうです。

 

私は、メタル系音楽をあまり聞かないので

彼の曲には馴染みがないですが、Martinは

ポッドキャストでもJ-popの説明をしていて

わかりやすいです。

 

私がよく見ているギターリストRick Beatoの

YouTubeにもMartinが出演して、

インタビューでJ-Popを語っていました。ニヤニヤ

 

Rick Beatoによると、彼のチャンネルに

J-Popに関するコメント、要望などが

とても多いそうです。彼のチャンネルは音楽に

関するチャンネルであり、日本についての

番組ではないです。

ということは、J-Popに興味のある人は

見た目だけや流行の話ではなく

「音楽好き」だということが

わかるかと思います。

日本のJ-Popのコード進行には世界中の

ミュージシャンが注目しているということです。

 

特に、ギターに関して、日本(人)は

注目されているらしいです。

というのも、日本ではギターはどの

音楽ジャンルにも使われます。ロックだけではなく、

popにもアイドル系にも、歌謡曲にも。

こういうことはアメリカにはなかった。

 

参考までに(⚠️注意:英語インタビューで長いです)

Martinのコメントで面白いと思ったのは、

 

「日本人はギターのひずんだ音をどの年代の人も

許容できる能力がある」

 

らしい。

 

彼が特に日本びいきなこともあるのかも

しれませんが(笑)日本の三味線の話も

していて、日本には三味線があり、

文化的に、弦のビリビリした音にも慣れている・・・

というようなことも言っています。

つまり・・・津軽三味線を聞いて育ったお年寄りなら

エレキギターの音にそんなに抵抗はないだろう・・・という

こと😮 世代に受け継がれうる音、これは可能だ、と。

面白い考察。

人によっては ギターの音がうるさく感じる人も

いると思いますが、好みはあれど、日本の伝統的な

音楽とギターの音を関連づけること、そして

J-Popでのギターの使われ方の考察は興味深いです。

 

J-PopはJazzにも影響を受けているので

Jazzのコードが入っていることは

確かです。ですが、Jazzやクラシックを

取り入れながら展開も複雑なのがJ-Popの特徴。

音でドラマを表現している感じ。

ここに歌詞が入るともっと複雑になります。

最近の例だと音楽科の先生がMrs. Green Appleを

例に挙げていました。かなり複雑なコード展開

だそうです。

私も、最近、星野源さんを聞いているのですが、

典型的なJ-Popだと思います。

 

それでは、K-Popのコード進行は?

というと、こちらもJazzベースですね。

ですが、展開自体はシンプルで、どちらかというと

American Popのコード展開に近いとのこと。

なので、再生しやすく頭に残りやすい、という

こともあり、一般大衆に受け入れやすくなる

という利点があると思います。

BTSのDynamiteはその典型ですね。

コード進行がシンプルでシンプルをリピートする。

ただ、この主張は最近のK-Popに対するものだと

思います。以前は、J-Popと同じようにもっと

展開が複雑だったと思います。

(Trotにも繋がってきますが、こちらと

日本の歌謡曲の関係などはいつか別記事にします)

 

どちらがいいか、悪いかという問題では

ないですね。好みの問題です。

 

J-Popが独特すぎて受け付けない、という

人もいると思います。

ですが、だからJ-popに魅力がある。

レゲエやタンゴも好き好きがあります。

多くのアメリカのギターリストが

J-popに興味を示すのかわかりました。

 

ここで、あのフレーズ・・・

 

マーケティングの先生Seth Godinの言った、

あのフレーズが思い出されます・・・。

Confused about good

How often do we assume that popular things are good, and that good things become popular?

 

人気があるものがいいもので、いいものが人気が出ると

思っていないか?

 

頭のいい人であれば人気よりも「いいもの」に価値を見出して、

よくないものに人気があるものに対してびっくりするのだが・・・。

(が、結局そうとも限らない)

 

シンプルでも人気が出るものもあれば

複雑だからその洗練されたものに感謝する人も

いる。

「優れたもの」でも人気が出ないものもある。

 

J-Popというジャンルのコード進行が

複雑で世界の一般大衆向けではないとしても、

職人技にこだわって作品を守ろうとするかどうか、

それがJ-Popミュージシャンの手にかかっている

ということかもしれません。

難しい決断ですね。

ですが、そこに興味があり、注目している

世界のミュージシャンも存在します。

シティーポップが再注目されるのも

理解できます。

 

みんな売れたいけれど、売れるものが自分の

思うような作品じゃないかもしれない。

そういうことと戦わなければならない。

J-Popの存続はそういうところにも

関係してくるかもしれません。