Angel Pt. 1 から見るK-POPの貢献 | アカデミアからのぞくJ-POP, K-POP, HIP-HOP

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このブログではアカデミックな立場から(主にアメリカで)どのようにJPOP, KPOP, HIP-HOPが認識・議論されているかを文献なども紹介しながらお話ししていきます。のんびり書いています♪

こんにちは!

本日は、新作アメリカのアクション映画「FAST X」

のOST Angel Pt. 1から。

 

 

 

Angel Pt. 1 から見るK-POPの貢献

 

を考えていきたいと思います。

 

この曲では、なんと五人ものアーティストが

ラップとボーカルに分かれて、作品を仕上げています。

 

引用:Billboard 

BTS’ Jimin Duets With Muni Long in Kodak Black & NLE Choppa’s ‘Angel Pt. 1’ Video: Watch JVKE also features on the song, which appears on the Fast X soundtrack.

 

 

まず、美しいピアノのメロディと

ともにJVKEがまず歌い始めます。

その後すぐにBTS、Jiminが歌い上げます。

 

音譜『天使よ、私の近くを飛ばないで。

私はやがてあなたを引きずり下ろすだろう。

その翼を失わない方がいい。

私みたいな人間は美しいものを壊すんだ。』音譜

 

その後、ラップが始まります。

最初のラッパーはKodak Black。

そして、次のラッパーは、

若手で注目の、NLE Choppa。

 

全体的に切なげな歌詞です。

「あなたの痛みを癒すために全てをあきらめる・・・」

と、そんなような内容です。

映画を見ていないのでよくわかりませんが、

曲調は確かにしっとりと切ない感じはあります。

 

そして、もう一人、ボーカルラインの

Muni Longがまさに「天使」の歌声で

コーラス部分を熱唱。

JVKEとMuni Longの掛け合いが

素晴らしいです。

 

そして、ボーカルライン三人で

コーラス。

 

という感じです。

 

このコラボを見て、分かった

ことは、K-POPというジャンルが

しっかり、一つの大きなジャンルとして

確立されたということです。

 

K-POPアーティストがこのコラボの中に

いるということは、Jiminさんは

K-POP枠の代表であり、

つまり、多様性が主張される現代社会

「アジア人枠」がここではアジアンアメリカン

のアーティストではなくK-POPアーティストで

埋められているということ。ここは

注目ポイントです。つまり、K-POPが

ジャンルとしてアメリカンポップスや

hip-hopと肩を並べる立ち位置にいるという

ことです。

 

この曲でラップを担当している一人、

NLE Choppa (サムネの彼)が、以下の

ように発言しています。

 

 “I’ve actually been for a while manifesting 

wanting to work with BTS 

and to be able to work with just one of the guys 

from BTS I feel like it’s a beautiful thing, 

and it’s one of those things I prayed for,”

「BTSと一緒に仕事ができたらいいなと

ずっと明らかにしていたし、メンバーの一人とだけでも

仕事ができたのは本当に素晴らしいことで、

願ってきたことの一つなんだ。」

 

「この先自分の口からBTSやジミンの名前を

聞くたびに、感謝の気持ちから言っていること

だとわかってほしい。

彼らがK-POPにどれほど大きなインパクトをもたらしたか

を知ることができて本当に感謝しているからだ。」

 

というふうにも言っています。

 

黒人ラッパーからも感謝されるBTS。

ただ、『なぜ』BTSとコラボを希望

していたのかという理由がはっきりしない。

少なくともここでは書かれていない。

はっきりしているのは、

「BTSとコラボがしたい」です。

有名人とコラボする自分に箔がつく、

ということなのか。

ハイブランドを着ている自分の

価値が上がる、的な。

成金ゴールドチェーンみたいな。

音楽性とかそういうことではなく?

有名人とコラボで自分もセレブの仲間入り

という認識なのか。

なんなのか真の理由がよくわからない。

(しかし、K-POPグループの

アーティストがハイブランドの

アンバサダーに次から次へと

抜擢されると。。。確かにそういう

意味での価値は出てきますよね。)

 

コラボの枠にK-POPアーティストが

食い込んでくる時代。

これはBTSが特別だからなのか。

また、HYBEがアメリカの

HipHopレコードレーベルを

買収したことも大きいと思います。

 

K-POPのアメリカ進出という意味では

BTSの貢献は本当に大きいです。

ただ、やはり気になるのは

この曲でのコラボはK-POPという

K文化よりもK-POPの「ブランド力」

のみでの参加であることです。

これは以前も、

Charlie PuthとBTSのジョングクさんのコラボ

の時にもお話ししました。

完全にアメリカに寄せています。

(いい悪いの議論ではありません)

 

彼らの歌声を聞いた時、

仮にBTS(またはK-POP)

という『ブランド力』を取り除けば

アメリカのR&BやPOPシンガーの

歌い方をするアジア人になってしまう。

アメリカ人とコラボの時は

K-POPアーティストは今のところ

そのような位置付けだという

こと。

儲かるゴリ押しビジネス=K-POPと

なりかねない危うさもあるのかな

という印象はあります。

 

一体何を伝えたいのか、

K要素を抜くことが、逆に

K-POPらしさなのか・・・

ビジネステンプレートとして

売っていく方向でいいのか、

ハイブランドのような扱いで

いいのか、

ここもこれから注目すべき

ところだと思います。

 

それでは。