こんにちは。
本日は、
BTSが活動を休止してホッとしている人もいる
"I may have started a rumor about K-POP,
and it may be ruining my life."
「私がK-POPに関する噂を流し始めたかもしれない。
それは私の人生を台無しにしているかもしれない。」
(Photo by Big Hit Entertainment)
何事?と思われそうですが、
BTS関連の記事はタイトルも
キャッチーです。
昨日、1月3日
The New York Times のエッセー記事です。
BTSに関することは今も度々目にしますが、
やはり単にK-POPというだけではなく、
一つのカルチャー(または社会)「現象」
になっていることを気づかされます。
ジャーナリストで、"The Birth of Korean Cool:
How One Nation is Conquering the World through Pop Culture"
の著書である、Euny Hongさんのオピニオン記事。
BTS現象が加速して陰謀論にまで発展し、
この本を書かれたこの著者がとばっちりを受け、
BTSの呪縛から逃れたい、やっとBTSが
活動を休止することで気が休まる・・・
というようなことを書かれています。
これは、BTSを批判する記事ではあり
ません。いろんな意味でBTSというグループが
社会現象にまでなっていることを表している
とも言えます。
このEunyさんは、韓国のソフトカルチャーの世界進出に
関する本を2014年に出版されました。
韓国のソフトカルチャーに関しては、政府が積極的に
経済支援をしてきました。これに関しては
問題ではないです。
これは、1990年代後半にに韓国が経済破綻の危機に
陥った時、OECDとIMFから、社会・経済での
ネオリベラル化を義務付けられたことから
始まります。それ以降、韓国は
文化的テクノロジーに国を挙げて力を入れてきました。
いわゆるソフトカルチャーの輸出です。
このポストIMFのネオリベラリズムのプログラムに
K-POPも入っていました。
(この自由化が進んだことで
韓国の「アメリカ化」も進んだとの指摘が
あります)
そうすることで、韓流映画・ドラマ・K-POPが
世界にどんどん輸出され、例えばBTSのような
グループも出ました。国にとってポジティブな
経済効果も生まれます。
すでに分析されていることですが、
K-POP「産業」というのは、この
業界のトップが、「戦略的にアイドルを
製造する」ということと、ビジネス戦略で
世界的な成功に導いてきました。
(Shin & Kim 2013)
勝手にK-POPが世界に行ったのではなく、
やはりその裏で関係者のビジネス戦略が
なければここまでの成功はなかったと思います。
- 商品イメージ(革新的なコンセプト)
- ダンス(途切れなく調和した振り付け)
- ファッション
- キャッチーな音楽
- 音楽ビデオ(ダンスプラクティスも含む)
この全て、商品価値において、緻密に「製造」する
「戦略」(Park 2013a, b) プラス、
インターネット、SNSで拡散し、世界に
届ける。全てが計算されたビジネスプランです。
K-POPアイドルはコマーシャル、映画、ドラマに
始まり、政治的キャンペーン、政府のPR,外交まで
起用され、いわゆる政治利用もされてきたと
されます。
戦略的製造、政治利用、政府からの資金援助・・・
このようなこともあってか、このEuny Hongさんの
元へさまざまな怒りのメール、陰謀論に関する
質問などが続々と寄せられ、ご本人の
日常生活にも悪影響が出てしまい、
支障をきたしていたようです。
「陰謀論」というのは、証拠は薄く、
噂の域を超えないものなので、
正確なものではないのですが、
ソフトカルチャーへの国の支援を
「陰謀論」の方に持って行きたがる人も
いるようです。どうもここにBTSも巻き込まれて
しまったようです。
確かに、トランプ大統領の頃も
よくわからない陰謀論が飛び交っていました・・・。
とにかく、Eunyさんの元に関係者からは、
「国が文化輸出に関してサポートしていると
言わないほうがいい」
(政府の力を借りないとやっていけない
弱い産業のように見える)
など、この本を出版したことで、根拠の定まらない
指摘を受けたり、嫌なTweetをされたりで
頭を抱える毎日だったそう。
また、韓国文化イベントやKCONなどの活動
からも、参加できないように
除外されたりということもあったそうです。
BTSがビルボードにチャートインしたり、
アメリカのテレビ番組などに出演したり
人気が出てからは、Eunyさんには、
BTSのことしか聞かれなくなった・・・
しかも、陰謀論的な話ばかり。
(それが仕事ではないのに・・・という
ニュアンスですね。)
K-POP、特にBTSが社会現象と言える理由の
一つには、「アメリカ」の政治家までもがBTSを
持ち出すほどだから、ということもあります。
(あまり、良いことを言われていませんね。問題発言です。
それは、引用元に少し書かれています 引用元(英語))
BTSのメンバーがホワイトハウスに招かれ
バイデン大統領と会談をしたことも大きな話題と
なりました。報道されているところでは、
anti-Asian hate crimes(アジア人へのヘイトクライム)
に関しての対談とのこと。
これを見た時は、さすがにBTSのメンバーに
負担をかけすぎでは?と思いました。
アジアンアメリカンでもないBTSが?
国際舞台で活躍して、人気があるから?
アメリカには本人の選択の余地なくアメリカで
生まれ育ったアジア人がたくさんいます。
そして、幼少期に移民をしてきた移民組も
います。私のように、自国で教育を受け、
成人になってから移民するパターンもあります。
さまざまなバックグランドの方がいます。
それぞれが色々な問題を抱えて、日々
戦っている人たちがたくさんいるわけです。
そういう人たちの代表者のような扱いに
見えたのですが、BTSは
アジアンアメリカンではない・・・
移民ではない・・・
(そもそもメンバー全員がそういう
ことに自ら進んで関わろうとしているのか・・・
どこまで関わりたいと思っているのか・・・
よくわかりません)
肯定も否定もしませんが、
政治利用の匂いはしますよね。
ちょっと複雑です。
なので、「国から資金援助を受ける」
ということは必ずしもポジティブばかり
ではないのかも知れない、と考えさせられる
記事でした。
訳のわからない陰謀論が飛び出してきて
その対応をするのにも体力とエネルギーを
消費します。
嫉妬もあるでしょう。
国から資金援助を受けている以上、Noと
言えなくなることもあるでしょう。
Eunyさんは、最後に、
『BTSの兵役免除はなくなり、
(免れなかったのだから、
BTSは政府が操作している
グループではないし、
怪しいこともしていない、故に
陰謀論はないことを暗示)
メンバーの
兵役が実際に始まり、BTSが活動を休止
したことで寂しさもあるが、安らぎも
感じている』
と締めくくっています。
「私を休ませてください。BTSから
解放されたい」
そういう立場の人もいるのだなと
理解しました。
音楽やエンターテイメントは視聴者の
方が楽しむものであるのに、一方で
苦しむ人がいる。
高額宝くじに当選した人のような複雑な
状況ですね。
それではまた次回!
〜Your Advisor Mimi