いろいろな昆虫や動物の「死」を介して、物語る。
 

卵を産んでしまえば、そこからいなくなるのがほとんどの昆虫だが、

石の下に蠢く尾にハサミを持つハサミムシは、

卵を体の下にかくし、最後は自らの体を

卵から帰った子供らに食料として与えるという特殊性を持つ。

あの嫌な蚊は、産卵時期にたった一度、

危険を犯して人の住居に侵入し、殺される危険を犯し血を吸う。
産卵するときに、たっぷりと栄養が必要だからだ。

カマキリのオスは、メスに食い殺されると言われているが、実際の係数は約1割程度。
だが、交尾の際、雄を食い殺した時の卵は、

2倍ほどの数の立派な子孫へとつながる。
子孫を残す天命に叶うのはどっちだ。

 

「生き物の死にざま」の2巻目とも言えるこの本。
副題には「はかない命の物語」とある。

材木を得るために針葉樹が多くなった山で

食料を得ることができにくくなったクマ。
クマは、縄張りは持たないのだという。
だが同輩のクマと出会さないよう、人間と出くわさないようにしていても、

ひもじい我が子に食わせるため、危険を犯し命をかけての人里へ。
そんなクマの物語や。

ゴリラの一生の物語が秀逸!

 

生きるとは?つなぐとは?死とは?

人間が考えるよりも

生き物の死は、キッパリと潔い。

心に読後感が残る秀作。