歯科衛生士がメインテナンスしていく上で大切なことが2つあります
1.バクテリアコントロール (細菌 のコントロール)
2.フォースコントロール (力(咬合圧) のコントロール)
この2つをコントロールしていかないと、歯を守っていくのは難しいのです
そこで今回は咬合についてまとめていきたいと思います。
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的確な咬合とは?
1.咬頭嵌合位(上下顎歯列が隙間なく嵌合しているときの上顎と下顎の位置的関係)における
正しい咬合接触の付与。
2.偏心運動位(前方・側方運動)における正しい咬合様式の付与。
偏心運動
下顎を中心位または咬頭嵌合位から他の位置へ動かしたときの運動を言う。
1.前方運動
2.側方運動
または
1.限界運動(境界運動)
2.限界内運動(境界内運動) に分けられる。
面接触咬合
・咬頭嵌合位において上下歯牙間にみられる面と面との咬合を指す。天然歯にみられる咬合接触。
接触面積→大きい
咀嚼効率→低い
咬合圧負担→増加
点接触咬合
・咬頭嵌合位において上下臼歯間の点と点との接触による咬合。
咀嚼効率→面接触より高い →歯冠修復に推奨される咬合
咬合圧負担→少ない
三点接触
・咬頭と小窩によって構成される咬合。咬頭と対咬する小窩とが三点で接触する咬合を言う。
臼歯部に側方圧を加えることなく、咬合力をいかに簡単に歯軸方向に加え、咬合を安定させるかということから生まれた。
機能咬頭
スタンプ・カスプとも。
咀嚼運動中に対合歯の咬合面窩へ咬み込み、食物を粉砕する咬頭をいう。
一般的には正常咬合における上顎舌側咬頭と下顎頬側咬頭を指す。
これに反して、上顎頬側咬頭と下顎舌側咬頭は非機能咬頭と呼ばれる。→シャーリングカスプ
臼歯交叉咬合状態では機能咬頭が逆になる。
ABCコンタクト
上下臼歯間の点接触咬合を近遠心的にみた場合の接触点を、頬側から舌側にかけて名付けたもの。
Aコンタクト 上顎頬側咬頭内斜面と下顎頬側咬頭外斜面
Bコンタクト 上顎頬舌側咬頭内斜面と下顎頬側咬頭内斜面
Cコンタクト 上顎舌側咬頭外斜面と下顎舌側咬頭内斜面
咬合力を歯軸方向に加え、安定させるためにはBコンタクトは絶対に必要です。
臨床的に3点の接触が難しい場合には、すくなくともA-BまたはB-Cの接触を付与するようにする。
ポッセルトのバナナ
下顎切縁における下顎運動を表した図形
下顎頭の動き
1.回転運動
2.滑走運動
人間の顎はこの2つの運動が複合して下顎が開口・閉口運動、側方運動、前方運動をとる。
開閉・閉口運動
1.下顎頭の純粋な回転運動のみによって行われる運動(中心位における開閉運動)
2.回転運動+滑走運動(中心位における開閉運動以外)
前方運動
下顎頭は回転+滑走し前方へ移動
側方運動
非作業側の下顎頭(下顎を動かした側の反対側)
→回転+滑走 下顎頭は前下内方へ移動
作業側の下顎頭(下顎を動かした側)
→回転+滑走 外側へ移動
作業側
下顎が側方運動を行った時に動いた側
咀嚼中食物は作業側で粉砕される。
同側の顆頭を作業側顆頭と呼ぶ。
非作業側
平衡側とも。
下顎が側方運動を行った時の動いた反対側を指す。
同側の顆頭を非作業側顆頭と呼ぶ。
前下内方へ移動する。
咬頭干渉
正常な下顎を妨げるような歯牙接触。
代表的な物→非作業側(平衡側)における咬頭干渉であるバランシング・コンタクトがある。
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咬合とは奥が深い・・・
今日記載したものは、まだまだ序章も序章、本編の1文にしか過ぎない。
歯科医師とは、これらの知識を持ち、さらに咬合を回復する技術を持つものである。
咬合を語るには十分な教育と技術の習得が必要なのだ。