小牧の新図書館建設計画 - 現状の図書館を見てから決めてください。 | ゲラ・チャンポン

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愛知県ではたらくプログラマのアメブロ。 ゲラ(未校正)をチャンポン(混ぜこぜに)してます。
ここから、国政・市政よりも大事なこと=「経済的な生活の本質」をあぶり出せたら面白いですね。

(※10/3 22:30 初稿掲載。10/18に改題。)

愛知県小牧市で長年懸案となってきた、新図書館建設に関する住民投票「現在の新図書館建設計画に関する住民投票」が、10月4日小牧市議会議員一般選挙と同時に行われます。

小牧市公式ホームページ | 新図書館の建設
http://www.city.komaki.aichi.jp/shogaigakushu/library/010859.html

これは、2007年度から基本構想がつくられたもので、実に8年の歳月がすでに費やされています。要望は10年以上前からあったと考えてよいでしょう。

その間には、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災があり、景気の停滞が図書館問題を放置する結果になっていたと言えます。

この状況に、昨年4月小牧市から、ある方針が示されました。それは新図書館の管理運営を「民間企業へ指定管理者として任せる」、というものでした。

当時話題になっていた佐賀県武雄市の「武雄市図書館」を念頭に置いたものであろうことは、否応なしに想像できます。

その後、話はとんとん拍子に進み、8月に建設アドバイザリー業務受託者を「CCC・TRC共同事業体」に決定。12月には、設計業務受託者を「株式会社日建設計 名古屋オフィス」に決定しました。
当時の記事

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ここで、CCCとは、「カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社」のことです。
全国でレンタル複合チェーン店「TSUTAYA」や東京・神奈川・大阪などで「蔦屋書店」「蔦屋家電」などを展開するほか、コンビニなどを巻き込んだ店舗向けのポイントサービス「Tポイントカード」を運営している企業です。

TRCとは、「株式会社図書館流通センター」のことです。
公立図書館の業務受託者としては先駆け的な企業であり、すでに全国約200カ所で業務委託を請け負っています。小牧市立図書館も現在TRCに業務を委託しています。
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こうして、ようやく図書館問題は解決に向けて動き出したはずでした。
しかし、先述のCCCが単独で手掛けた「武雄市図書館」や、CCC・TRCが初めて手掛けた「海老名市立図書館」などで問題が噴出し、
(※これについては以下がまとまっています。
 #小牧市 新図書館の住民投票について #公設ツタヤ問題 | 海馬への境界線
 https://todotan.com/blog/?p=34381
また、試算された建設費42億円が巨額だと言う批判があり、今回の住民投票に至ったという訳です。


ここで私たちは、いま一度立ち止まって考えてみる必要があります。
図書館を移転新築する目的はなんだったのか。

それは、「現在の図書館が老朽化し、また15万人都市としては手狭になってきたこと、それによる市民サービスの低下」などの問題を解決することです。

それを知るには、実際に現在の小牧市立図書館を訪れてみる必要があります。
小牧市立図書館(1969年開館、設計:象設計集団)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E7%89%A7%E5%B8%82%E7%AB%8B%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8

この建物はデザイン的に奇抜である一方、実に使いにくい設計となっています。
メインフロアは2Fで、入口は地面から階段を上っていきます。
この構造のため、1Fは閉架ですが地下のような暗さとなっており、外からは絵本が物置きに雑然と置かれているように見えます。

2Fのフロアに入ると図書館スタッフのお兄さんが「こんにちは!」と元気な声で挨拶をしてくれました。こんな素敵な図書館が他にあるでしょうか。とても微笑ましい瞬間でした。

しかし、本棚を見ると、棚が狭いためか書籍が縦横関係なく置かれ、棚自体も小学校にあるような低さで大人は腰を屈めて本を探さなければなりません。

分類は当然「日本十進分類法(NDC分類)」で行われていますが、棚が少ないため、「0.総記」のところに「007.情報科学」の書籍がドーンと置かれています。

書棚から振り返ると、経済新聞・業界新聞が縦のボックスに丸めたまま立てて置かれていました。主要4紙や地元の中日新聞は閲覧台に置かれていますが、最近勝手に切り抜いていく人がいるそうです。
ちょうど業務カウンターから死角になる場所であり、非常識な人を制することができない環境となっています。

3Fは郷土資料室になっていますが、
ここにようやく読書机・勉強机があり、昔から変わらずここは子どもたちの勉強部屋になっています。
しかし、郷土資料や辞典・図鑑などの調べ物にくる大人たちも多く、子どもたちはまわりを伺いながら勉強している状態です。社会人専用の席も一席ありましたが、まったく不十分です。

事務室も古く、なんだか昔の児童館や小牧市役所を思い出し、「便所」から漂う匂いが懐かしさだけを醸し出しています。

ひび割れた階段を下りていくと、中年のご夫婦が会話されていました。
「明日投票だけど、どうなるかねえ」
「だって、ツタヤが来なきゃ、建て替えられないんでしょ?」
こんな声も聞かれました。

ごめんなさい。そうじゃない、そうじゃないんだけど、
だけど、そうでなければ、この計画がここまで来たかどうか。

矛盾を抱えています。

それでも、やはり、現状を見ればわかります。

今すぐにでも新築すべき。
3年後なんて、待っていられない。


明日の住民投票は賛成に投じました。(期日前で)