地方経済の脱皮 - 郵政民営化とインターネット | ゲラ・チャンポン

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ここから、国政・市政よりも大事なこと=「経済的な生活の本質」をあぶり出せたら面白いですね。

<2005年8月20日版の記事を一部改訂しました。>

郵政民営化法案の参議院での否決を受けて、
小泉内閣が衆議院解散、9/11投票で総選挙を行うことになりました。


郵政


その重要性はともかく、争点になっている郵政について、
改めてその歴史から紐解いてみましょう。


明治4(1871)年、政府官僚だった前島密が東京~京都~大阪間で郵便事業を開始します。
明治維新後、わずか4年で全国への郵便ネットワークを仕掛ける足がかりとなった仕組みが、「特定郵便局」です。
戦国時代の「地侍」「地方豪族」に由来する地方の名主・庄屋の協力を得て、その屋敷の一角に郵便局を置いたことが

始まりだそうです。
明治8(1875)年、郵便貯金を開始。
大正5(1916)年、簡易保険を開始。
こうして、現在まで続く世界最大の金融システムの一端がつくられました。



特定郵便局」は現在全国で約19,000局あり、そのほとんどが現在も世襲制度で続いているんだそうです。
その集まり、「全国特定郵便局長会」は、小泉政権誕生まで実質、「自民党の集票マシン」として機能していました。
政治家と郵政官僚の持たれ合い・癒着の構造を維持するため、こうした関係が続けられていたわけです。



特定

また特に問題視されているのは、国民の預けた郵便貯金がどう使われているのかということ。
郵貯や簡保で得たお金は一度、財務省資金運用部に集められ、財政投融資として地方自治体、特殊法人はたまた国債として投下されてきたようです。
郵貯と簡保をあわせた約350兆円ものお金が、国の一般予算とは別に特別会計(特殊法人会計)として、全国で不良

債権化しているということです。
それでも、平成13年度から制度が変更され、特殊法人には「財投債」として広く民間からお金が集まるように変わってきています。
しかし、結局国の借金である国債の大口の引き受け先となっています。その借金の肩代わりにまた税金が使われてきた、そういったシステムが蔓延って来たということです。



もちろん特殊法人にも問題はあったでしょう。
そういったお金をジャブジャブ使って、談合で公共事業を進めていたのですから。
その問題の中心である道路公団改革がうまくいかなかったということも、「今すぐの郵政民営化」に抵抗が出る理由のようです。
「(郵政より)もっと大事なこと(ここでは特殊法人改革)があるのではないか」と。
しかし、正直なところ「道路公団改革」と言われてもピンと来ません。
それよりも、国民に身近な「郵便貯金がどう使われているか」ということのほうが大切だと感じられます。
特定郵便局の問題もそうです。
国営ではなく「官営」で、日本銀行も関与できない世界最大の金融機関が、江戸の昔から続き、GHQも手を入れることのなかった、まさに「聖域」として存在してきたということが問題視されているんです。
これを民営化すれば、財政投融資の振り向け先はいくらでも考えられるようになります。


今、民営化反対派が懸念しているのは、これが経営者によっては外資に向くこともあるのではないかということです。このあたりの議論が尽くされていないという状況がものすごく心配です。
反対派の代表である民主党も国民新党も、この点にはあまり突っ込んだ話をしていません。何故でしょうか。
小泉政権の批判ばかりです。それは様々な利権が複雑に絡み合っているからでしょう。
強いものが勝つという社会を批判するなら、その類例を挙げてください。
そんなもの今の社会にはいくらでもあります。


しかし、民営化で今よりもっと様々な可能性が開くと言うことは確かに言えます。
だからこそ、「郵政民営化ができなければどんな改革もできない」と小泉首相が言っているというわけです。



郵政がこれまで強固に守られてきたのは、確かにこのシステムが優れていたからです。
例え、これがねずみ講的だと言えようとも、皆がそれを歓迎してきたわけです。
それほど強固なシステム、そして郵便ネットワークがここまでこの国を作ってきたのでしょう。
全国どこでも誰でも利用できるユニバーサルサービスと言われています。
ならば、その利点を、その素晴らしさを、反対派の人たちはつばを飛ばして訴えるべきです。
なんでそれがなくなる時の危険ばかりをグダグダと言うんですか。


日本人はシステムやネットワークの育成に優れた国民性を持っています。
現在のインターネットのブロードバンド環境や、コンビニの流通システムは世界随一のものです。
すでに郵便局にも劣らない確かで強固、適切なネットワーク、システムが全国隅々にまで構築されています。
郵便に始まり、全国に広がった日本の通信システムは、携帯電話の急速な普及で世界一のものになっているんです。
郵便局が鉱脈を掘り出した、通信と金融サービスを融合する分野には、
現在、ヤフー(ソフトバンク)、楽天、ライブドアといったインターネット財閥が進出し始めています。
であるならば、こういった分野にもっとビジネスチャンスを開くべきです。
そして日本企業が束になって、外資を駆逐するほどjの競争力を作り出せばいいだけのことです。


民営化になったら「山の郵便局がなくなる」とか言う人がいますが、それは全く現実を見ていない人の言うことです。
地域にはそれぞれの特色があり、それぞれのマーケティング手法が考えられます。
システムさえ残っていれば、都会でも地方でも、その土地その土地にあった運営方法が可能です。
顧客を大切にする環境も生まれるでしょう。
であれば、例えば田舎では民間福祉のアクセスポイントとして利用すると言う考え方も出てくるわけです。
過疎の地だから切り捨てられるとか、もってのほかで、どうしようもない被害妄想です。


日本経済は地方ありきでここまで来ました。現在もそれは変わりません。まして、今後高齢化社会になっていくのに地方を切り捨てていくならば、多くの人々は都会で寂しく死んでいくばかりでしょう。
それなりに財を築けたなら地方に返し、経済をバックアップしていくべきなのです。
それだけの環境が今の日本にはあります。
短絡的な利益誘導では、地方経済に先はありません。
地方経済のために、郵便ネットワークをより生かしていく方法を探るべきなんです。



ポスト

旧態依然の政官の癒着とか、特定の業界や宗教団体など利権団体との関わりとか、
そういった見えにくい社会構造を持ったまま、この国は続いていくんでしょうか。
郵政民営化が、「政官封建主義」から「自由資本主義」へ脱皮するための突破口になることは間違いありません。
要は、これをヨシとするのか、ナシとするのか、ただそれだけのこと。
この議論が日本の社会構造を明白にし、今後の行方を見通すことを期待します。


その意味では今回広島6区に、郵政民営化賛成派にとっては最適な(「刺客」ではなくて)論客を迎えたと言っていいで

しょう。迎え撃つ反対派は、これまでの政治活動について本当のことをしゃべり、それがどれだけ大事なことだったのか訴えるべ

きなのです。


参考・ 全国特定郵便局長会の闇・民営化で何が変わるか?
     郵政民営化とは、郵政ロックフェラー化の事だったんです。小泉の構造改革とは、日本をユダヤ資本に売り渡すことだったんです。
     郵政民営化議論ここがポイント! - [よくわかる政治]All About
     郵便の歴史
     特定郵便局とは?



link: 無風 | 堀江貴文ブログ