今日は日記の日 | ザスタのクマさん

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6月12日は「日記の日」です。
1942年のこの日、ユダヤ系ドイツ人の少女アンネ・フランクによって
『アンネの日記』が書き始められたことに由来 しています。

梅雨の空の日記帳って、
それだけで少し物語の匂いがしますね。

✏ 日記の日の情景

六月十二日。雨上がりの窓べで、
ノートの白さだけがやけにまぶしい。
パソコンはスリープのまま黒い画面を抱え、
机の端ではカメラのレンズがこちらを無言で見ている。

どれも記録のための道具なのに、
いちばん安っぽい紙のノートだけが、
なぜか胸の奥を小さく押してくる。






六月十二日は「日記の日」だという。だとすれば、この一行を書き終えた今が、
私にとってのささやかな記念日なのかもしれない。



一九四二年の同じ日、遠いアムステルダムで、
十三歳のアンネ・フランクが、この日、
チェック柄の小さな日記帳をひらいた
一度きりの瞬間を思う。

「親愛なるキティーへ」と書き始めた指先。
その震えを、パソコンもカメラも知らない。
知っているのは、紙だけだ。

彼女の窓の外には、
きっと軍靴の音と、
見えない恐怖の影が落ちていた。

そして、きっと今より
重たい雲が垂れ込めていたはずだ。

わたしの雲はただの梅雨雲で、
部屋に満ちているのは洗濯物の湿気と、
使い古したキーボードの匂いだけだ。

それでも、最初の一行をためらう指先には、
あの日の少女と同じような緊張が宿る。

レンズを向ければ、この机も、
マグカップも、一瞬の姿で保存できる。

けれど、雨音を聞きながら何を考えていたのか、
ため息の重さはどうだったのか、
そういうものは写真には写らない。

ぼくはレンズを伏せ、画面を閉じる。
ペン先を近づけると、白い頁が、
わずかに身じろぎをした気がした。

今日のことを、
世界から遠ざけるために書く。

誰にも届かないところへ、
そっと避難させるために書く。

書き終えたら、日記帳を閉じる。
カメラの目が不満げに光り、
パソコンが静かに起動を促す。

インクの跡だけが、
見知らぬ未来の誰かに、
六月十二日の雨の音を、
そっと証言してくれる
のかもしれないから。

撮影  文  熊谷




最後までご覧頂きありがとう。

今日が良い日となり、

明日がさらに素晴らしい日となりますように晴れ

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