雨のカペル橋

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以前にも紹介した雨の印象的なシーンを更新します。

場所はスイスのルツェルン、ロイス川に架かるカペル橋です。

日本ではまだ盛夏の6年前の８月、しかし、この日のルツェルンは晩夏というか初秋の佇まいで、
おまけに突然の激しい夕立にうたれて、身も心をびしょぬれになってしまいました。

気をとり直して、雨が小降りなったのを見計らい、カペル橋に向かって駆け出すと、
いささか霧雨に煙る奇麗な花々に彩られた、古い木造の長い橋が目の前に広がって来て、
なにか救われたような気持ちになりました。

この橋はヨーロッパで最古の木造橋で、ルツェルンを敵の攻撃から守ることを主眼に、
1333年に造られた屋根付橋ですが、 1993年の火災により、橋の大部分が焼失してしまい、
すぐに再建されたのが、現在のこのお姿だそうです。

橋の中に足を運び入れると、内側には17世紀に描かれたルツェルンの歴史と
この街の守護聖人についての一連の絵が飾ってあります。

なを、橋の名前は橋の北側にある礼拝堂（カペル）に由来しているそうです。

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橋の半ば過ぎ、水面を渡るさわやかな風がやさしい声のような弦の音色を運んできて、
薄暮の柔らかな光に包まれた橋の欄干を辿ると・・・そこには麗しげなチェロリスト

その澄んだ青い瞳と目があった瞬間、不覚にもその場に凍りついてしまった。

照れ隠しのつもりで彼女のチェロケースに幾ばくの小銭を入れると、
帰ってきたのは、軽い会釈とあどけない天使のような笑顔。

まだリクエストをしてないにも関わらず、まるで、僕の意図を了解したように
また降り始めた雨音を伴奏に彼女がおもむろに弾き始めたのは・・・

それはたしか・・・パッヘルベルのカノン～

そして、彼女の横顔は、キリッと神聖なプロの顔になっていた。

撮影　文　熊谷

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