椎間板が、その機能を果たせなくなると、骨棘が伸びるなど、骨の変化が起きてきます。靭帯も厚くなるなどして脊柱管は狭くなります。
椎間板が支えていた負荷が他の組織にかかるために耐えて変形していくわけです。
頚椎にも腰椎にも発生します。
原理は同じです。
やがて手術が必要な椎間板の上下の椎体の様子を、自身のレントゲン画像で確認してみるのもいいでしょう。
一定期間、症状に耐えている方は他の健常な椎体に比べて
「異常な椎間板に接している椎体の端が末広がりに変形している」のがわかるかも知れません。
英語ではbone spur とか osteophyte と言います。
画像2枚は日本で2度固定術を受けて20数年耐えた後、上下の隣接椎間障害のうち、下の1椎に人工椎間板置換術を受けた方の術前後のレントゲンです。
最初に記した骨棘をきれいに削り落として形を整えた上でデバイスが設置されているのがわかると思います。
まだ手術は受けていない上の隣接椎間の骨もくちばしのように末広がりに尖ってきている状態も確認できると思います。
この椎体の形を整えることを remodelling リモデリングと言います。
画像は現在までに9回の脊椎手術を受けられたさっちゃんさん(Sさん)の日本での頚椎人工椎間板置換術後のものになります。
私が今回いちばん読んで欲しいのは今も苦しんでいるというさっちゃんさん御本人になります。次にお読みいただきたいのは日本でMacFを3椎に3回受けて治らず年単位で苦しんでいるTさん。相談の結果、計4椎のADR適応となりました。その次に一般脊椎患者の方々。
おそらくはさっちゃんさんの場合、骨棘を全く削らずノータッチでデバイスをただ置いてきただけのオペになっている。
本来行われる、増殖した骨の形を整える工程を省かれて終了している。
脳外科医Mさん;「なので、もし仮に本当に正しく(工程を省かれずに)手術が行われていた場合、このデバイスのサイズ ちょっと大きいですよね」
私;「大きいですよね」
脳外科医Mさんは50代の指導医でいらっしゃいます。
また、頚椎腰椎合わせて7椎に人工椎間板置換術を受けられています。その全ての手術に私は付き添いました。
今は最大で10時間近い脳外科の手術に無事戻られています。
次に、人工椎間板置換術では、デバイスの適切なサイズを確定する工程があります。trial トライアルと言います。
上のイラストを見ていただくとわかる通り、当該の椎間板の組織(繊維輪)や増殖した骨(骨棘)がきれいに取り除かれ、完全な除圧がなされた上で正確なトライアルが行われます。
Sさんの例を見る限り、適切にトライアルが行われた上でデバイスが設置されたとは全く思えません。
「そこに這わせてもしょうがない」
という所にただ斜めに置いた形で手術が終了しているのだと思われます。
そしてSさんは翌年にデバイスを取り外す手術を受けて固定術となりました。これで3度目の固定術だったとのことでした。固定術に伴う負の部分は充分承知して受けられているのだと思います。
適切な技術を伴わずに行われたSさんの手術の人工椎間板は翌年、取り外されて医療廃棄物として捨てられました。
皆で払った健康保険料で賄われたデバイスはその役目を果たすことなくゴミとなったのです。
脳外科医Mさん;「手術がヘタクソなのは外科医の責任です。メーカーの責任ではありません。」
上記の骨棘は適切に削られた上で手術が行われなければなりませんが、逆に骨棘を削り過ぎると首は骨折し、インプラントの脱転を招くことになります。