皆さん、おはようございます!

日曜日もお読みいただきありがとうございます!

 

 

今日は久しぶりに雨の静かな日曜日ですね(^-^)

 

 

さて、今日は先日とある経営者から「江黒君、○○社の決算書ちょっと見てくれない。あの○○社が利益剰余金マイナスな気がして、、、」がと言われてチェックをしてみました!

 

 

まずその会社のBSボックス図です。

 

 

 

さぁ皆さん、このBSからどんな会社が想像できるでしょうか。

 

 

流動資産と流動負債のバランスがちょうどよく、固定資産が少し大きいですね。

 

 

そして純資産はそれほど大きくありません、、、

 

 

内訳を広げると以下となります。

 

 

 

おや、、、

 

 

棚卸資産が極端に少ないですね!

 

 

そして現預金も少ないです。

 

 

その一方で有価証券と投資有価証券が多額のようです。

 

 

 

では数字を少し入れてみましょう。

 

 

 

負債側を見ると社債が多額に計上されております。

 

 

そして利益剰余金が確かにマイナスです!

 

 

なお、こちらの会社はカテゴリーとしては製造業です。

 

 

そして上記数値は、、、百万US$です!

 

 

利益剰余金がマイナスですし現預金も少ないので赤字企業と思いきやPLを見ると営業利益率30%の超高収益企業です!

 

 

 

 

そして単位が100万US$なので、上記数値を145円で単純換算すると

 

 

・年間売上 55兆円、営業利益16兆円

 

 

なのです。。。

 

 

 

はい、こちらの会社はアップルです!

 

 

 

 

数字はIRページから、2023年9月期の数値を引用しております。

 

https://investor.apple.com/investor-relations/default.aspx

 

 

 

自分も長らくアイフォンやアイポッドを愛用しながら初めて決算書を見たのですが、超高収益企業なのですね!

 

 

これだけの収益を上げていながら気になるのは利益剰余金(Accumulated deficit)がマイナスとなっていること。

 

 

 

あれだけの高収益企業なのに、なぜ利益剰余金がマイナスなのでしょうか。

 

 

 

その鍵はキャッシュ・フロー計算書にあります。

 

アップルはめちゃくちゃ営業キャッシュを生んでいるのですが、儲けと同レベルで財務活動キャッシュを費消しています。

 

【集約キャッシュ・フロー計算書】

 

 

 

 

沢山稼ぎ、稼いだ額と同等の株主還元(配当、自己株式取得)に充てていますね!

 

 

 

欧米企業に比べると日本企業の株主還元は低い、と言われることがありますが、アップルの株主還元を見ると、その株主還元力に圧倒されますね。。。

 

 

投資活動キャッシュ・フローをみると有価証券投資が多いことも特徴です!

 

 

 

ここから

 

・価値を生まない現金で持つより余剰資金は有価証券投資で金融収益を稼ぐ

 

 

という姿勢が見えます。

 

 

この辺りは日本企業のキャッシュリッチカンパニーでも見られる傾向ですね。

 

 

 

なお、アップルというとCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短さも有名です。

 


 

 

試算してみると、その日数は

 

・マイナス37.9日

 

です!

 

 

 

棚卸資産回転期間日数が10日というのは製造業の方からすると羨ましい限りではないでしょうか。

 

 

そしてこれほど回転期間が短ければキャッシュがどんどんと生まれていき、その生まれたキャッシュを有価証券投資や株主還元に充てているのですね~。

 

 

 

まだまだ決算書を読み込むと色々な発見があるかもしれません。

 

ぜひ皆さんもチェックしてみてください!

 

https://investor.apple.com/investor-relations/default.aspx