調停の3つのタイプ | ADRと対話促進型調停

ADRと対話促進型調停

対話促進型調停(Facilitative Mediation)や裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)のあれこれ

「対話促進型調停」という表現があるからには、

ほかにも、なになに型、という調停があるんだろうなあ、という推測が働きますよね。


はい、あります。


調停には、

「評価型調停」「妥協要請型調停」「対話促進型(自主交渉援助型とも言う)調停」の

3つのタイプがあります。


ここは「対話促進型調停」についてご紹介していくブログですので、

今回はあえて「対話促進型調停」が、他の調停タイプとどう違うのかについて、

ご紹介してみたいと思います。


それぞれの特徴をご紹介します。


1つめは「評価型調停」です。

これは、法律的知識などをもつ専門家が調停人になることによって、

法的評価などに基づいて、解決策=合意を導いていく調停です。

日本における裁判所での調停の多くはこのタイプと言えます。

法律的な評価によって判断をするため、解決が、とても早い、というのが特徴です。

また、法律というものに基づくので、調停人が誰であっても判断が同じになりやすい、

と言ったこともあるかもしれません。


2つ目は「妥協要請型調停」です。

これは、地元の名士や町長さんなど、

当事者双方が知っている権力者などに調停人になってもらい、

両者の主張の中間的なところでの解決=妥協を導く調停です。

当事者双方が一目置いている人を調停人にするため、この人が言うなら仕方がない、

ということで当事者がその判断を受け入れやすく、

間をとった解決策なので、喧嘩両成敗的な理屈で諦めやすいと言えます。


3つ目が「対話促進型調停」です。

これは、中立公正な第三者が調停人になり、

当事者同士の話合いや交渉の進行役となることによって、

当事者の対話を促進して、自主的な交渉を援助して、本音からの解決を導く調停です。

各当事者が自分の意見や希望をしっかりと伝え合い、納得いくまで話合い、

自主的に、双方が満足できる解決策を探していくため、本人たちの満足度は最も高く、

必ずしも法的な判断とは異なる解決策でも、当事者が納得すれば合意することができます。

対話促進型、又は、自主交渉援助型、と言われます。



ここに面白いストーリーがあります。

「ハーバード流交渉術」でも紹介されており、ADRの説明ではなにかと例に使われる、

とても分かりやすい寓話ですのでご紹介します。

(オリジナルよりアレンジが加わっているかもしれません)


姉妹が1個のオレンジを巡って争っています。

姉も妹もオレンジが1個欲しいと言って聞きません。

さて、どうしましょう。

3つの調停方法で考えていたいと思います。


例えば、これをもし「評価型調停」で解決したならば、

どちらの主張により正当性があるか、によって判断し、

どちらか一方にオレンジ1個を渡し、どちらかはなにも得られずに終わります。

つまり、WIN-LOSE(ウィン—ルーズ)またはゼロサムの状態と言えます。


あるいは「妥協要請型調停」で解決したならば、

オレンジを半分に切って、双方に半分ずつ与えて、解決します。

どちらも当初の希望よりは分量が減りましたが、

お互い半分ずつニーズを満たすことができました。


さて、これをもし「対話促進型調停」で解決したらどうなるでしょう。


2人の話をよくよく聞いてみれば、

姉は、オレンジの中身を使ってジュースを作りたいと思っており、

妹は、オレンジの皮を使ってケーキを作りたいと思っていました。

そうであるならば、一個のオレンジを皮と中身とに分けて、

お互い欲しい方をとれば良かったのです。


これはかなりデフォルメされているので、そんなに上手くいくかい、

と思われる人もいるかもしれませんが、

でも実際、このように、ちょっと話せばすぐ解決できたのに、

ゼロサム状態だと思い込んで解決できなくなってしまっていた、

なんてこと、意外とありませんか?


つまり、対話促進型調停なら、本人たちの「表に出ている主張」だけでなく、

その裏側にある本当のニーズを満たすためには、最適の手段と言えます。


けれどももちろん、対話促進型調停にも短所があります。

本人たちが納得いくまでじっくりじっくり話し合うため、

その裏返しとして、他の方法に比べて時間がかかる傾向にある、ということが言えます。

また、双方がどこまでも納得できなければ、合意できないという結論になることもあります。


なにごとも長所もあれば短所もあります。


でも、トラブルが起きたら、どっちかが勝ちどっちかが負ける、というイメージや

解決には、お互い間をとって妥協するしかない、といった思い込みを外して、

本当の意味で、お互いの納得できるところを探していける、対話促進型調停は

とても可能性のある調停方法ですよね!



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