ここ半月ほど、図書館で借りたペンギンブックスの「the Pillow Book」と格闘していまして、
やっと今日読み終わりました。
新年から何となく、
「枕草子の文を何かのおりでちょいちょい小出しにご案内に披露できたら風雅だろうなぁ」
と思い、更に先日三十六歌仙の件で「ビギナーズ・クラシックス」に興味を持ったのが発端です。
この本に並行して図書館で英語版を借りたのですが、英語版はまあぶ厚くて字もぎっしりで、
久々に苦行のような読書となりましたが、時々箸休め(?)のように日本語版を読み直していったため、
更に理解を深めることができたと思います。
↑今でも本屋さんの洋書コーナーで見かけるこちらの版の方が、まだ読みやすいと思いますが、
私が図書館で借りたのは古いバージョンです。
courtiers=廷臣、臣下
日本語版のこのビギナーズ・クラシックはとてもわかりやすかったのですが、定子さまが可愛がっていた犬・翁麻呂についてはのっていなかったので、
こころきらきら枕草子
こちらの本も参照にしました。
こちらは児童書かと思うくらい字も大きくイラストも豊富でしたが、ビギナーズクラシックで足りない部分を補うことができたので、
両方読んでよかったと思います。
「枕草子」って、ちょっと読むと宮廷生活の自慢みたいに見えなくもないし、
ひたすら中宮定子さまを讃えている、自分たちのハイソな知的生活サイコーみたいなはなもちならない面もあったりするのですが、
私は清少納言の感性は「源氏物語」のドロドロさよりも読みやすくて好きだったりします。
紫式部は清少納言の批判をしていますが、それは二人の置かれる派閥や政治的ポジションも関係していると思われます。
「枕草子」は、今まで栄華の頂点にいた定子さまが父・道隆の死によって一気に失意の座に転落していってしまった時に、
定子を慰め、定子の立場を擁護する意図のもと書かれた物のようです。
美しく聡明な定子さま、同じく聡明で定子を立てることを忘れず定子の遺児の養育にも当たった彰子さま、
私はどちらも素晴らしいと思います(一条天皇は幸せ者だな)。
その辺のくだりは沖方丁(うぶかたとう)氏の小説にもなっているようなので、今度読み進めていきたいと思います。
「枕草子」は信州の別所温泉でお話したりするのですが(「七久里の湯」と記載され、名湯だと絶賛されている)、他に具体的にどこどこが舞台、
とした設定の項は少ないです。
でも季節についてを述べたものも多いので、ある意味話のタネとしてどこで使ってもいいものではないかと思っています。
「絵に描き劣りするもの
なでしこ。
菖蒲。
桜。
物語にめでたしといひたる男・女の容貌(かたち)。」(第112段)
満開の桜、散りかけの桜、絶え間ない花吹雪、どんなに上手に描いたところで実物の迫力にはかなわない。
春の桜の時期に合わせてこんな話の紹介はいかがでしょう(⌒∇⌒)?