莫妄想・莫煩悩な日々

莫妄想・莫煩悩な日々

妄想する莫れと言っても妄想する日々
煩悩を捨て去れと言われても煩悩は増えるばかり。
生きるとは大変なんだけど面白い。

善来ようこそ


莫妄想・莫煩悩な日々を過ごしながら小説を書いています。

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「オイオイ!さっきのギラギラ眼忘れたの?まりもの体を狙ってるだよアブナイヨ」


と左脳のまりもは警戒している。

「スタバでコーヒーなら問題ないしょ♪」


と右まりもが左まりもを説得にかかってる。

まりもは迷ってはいたが答えは決まっていた。

一応、迷うってこともしなくっちゃね。と…

姫でいた高校時代のまりもが復活しそうなのに

こんな,ラッキーを逃がしてなるものか!!

と弾んでいたのだ。

「じゃあ、少しだけね。本、買ってくるからエスカレータの所で待ってて」

まりもは、ホッとした男子を残し

小走りでレジの方へと急いでいった。


それも、スキップ気分で

大学卒業してから初めての「3次元生男子」だと思うと、

まりもの「Iカップ」のバストも自然と弾んでくるようだ。
買った本を胸の前で抱え

男子の待つエスカレータに行くと、男子は

嬉しそうな顔をしてまりもを見ながら

「オレ、怪しい奴じゃあないから安心してください」


と恥ずかしそうに言った。
「行こうか」といいながらまりもは先にエスカレータに乗る、

まるで、ナンパされたような男子は

「はい」と返事をしてついて行った。

スタバで夢のように楽しかった時間は

「あっ」てまに過ぎて、

まりもは今、駅のホームで帰りの電車を待っていた。
BLのコーナーでナンパされた男子は、漫画家志望で、

あの「鬼畜 青ひげ男」の

表紙と挿絵を描いていたのだった。

彼も、高校のときは「漫画研究会」だったと知り、

まりもは久しぶりに話の合う人と楽しい時間が過ごせ、

10代に戻ったような気分だった。

気がつけば2時間も話し込んでいた。

まりもは、GWの5月5日に

「鬼畜 青ひげ男」の本を借りる約束をし、

メアドの交換をして別れたのだ。

電車がホームに入ってきた時、

携帯からメールの着信音が鳴った。

「三雲くんだわ♪」とまりもは、今日はじめて会った

男子の名前を独り言のように呟いた。
そう、三雲君とは先ほどの漫画家志望の男子である。
ワクワクしながら、まりもはメールを開いた。


そして…固まった。

『5月5日 居酒屋【もえみ】 17時 集合 遅刻厳禁!』

用件だけのこのメールは、

幼馴染の紅子からの年一度の召集命令だった!

「いやぁぁぁーーーー。なんでーーー。5月5日なのよ!!!」
「困ったなぁ。どうしょう。困った困ったぞぉ~」と、


泣きそうな、まりもであった。

そんなこんなのまりもも、

大学時代は「BL」を封印して、これまた、一段と

マグナム級になった武器の標的とするべく、

人生初の「3次元生男子」を相手に「合コン」に

明け暮れる4年間を過ごしたのだった。

まりもは、武器の成長も

「Iカップ」で落ち着いた28歳の春を迎えていた。
最近、まわりの友達が結婚だ!

出産だ!と、煩い今日この頃である。

4年間、自慢の「Iカップ爆乳」を乱射してきたが

「コミックの中で息づく男子」と違い
「3次元生男子」は後少しでってとこで、

まりもから離れてしまうのだった。


くやしいぃぃ~。

そんな訳で、予想外の

彼氏イナイ歴28年で「ゆううつ」な日々なのだ。
大学卒業後、実家が営んでいる洋菓子屋で

裏方の仕事を手伝ってるのだが
知り合いや友達などには
「パティシェ」などと

肩書きの入った名刺をばら撒いている。
今日も

パティシェらしい仕事もしないまま仕事も終わり、


「なんだかなぁ~」と溜息つきながら

「今夜もネットサーフィンして寝るだけかぁ」


と、駅に向かっていたまりもだったが
ふと、
昨夜見たサイトの

「お知恵拝借掲示板」の事を思い出した。

それは、今ではメジャーな腐女子や秋葉ヲタに

異常なまでの嫌悪感を持っている男性からの投稿で、

最初は「ふんふん。なるほどー」と読んでいたが
結局は
「ただ、嫌い」ってだけの内容で

心外したまりもであった。

まるで、BLにハマッていた頃の自分を

攻撃されたようで悲しくなったりもした。
そして、幸せだった学生時代に

思いを馳せていた昨夜だった…

「久しぶりに『BL』でも読もうかなぁ」と

駅の近くにある書店へ向ったまりも。
同人誌コーナーでタイトルの気に入ったのから

チラ読みしていくと、ゆううつな気分が

少しづつ楽しい気分になってきた。
と、後ろで「フガァフガァ」と荒い息が聞こえたので

何気に横を見ると、

まりもの襟ぐりの大きく開いたカットソーから
今にも飛び出しそうな「Iカップ」の谷間の

ひっついたバストをギラギラした目で

見ている若い男子がいた。

「うふっ。この感じって…なんか、懐かしい~」と

全盛期を思い出したまりもだった。

「ちょっと、お姉さんがサービスしてあげようかなぁ」


なんて思いつき、本を落としてから下にかがみこみ
谷間が見えやすいようにしてあげたのだ。
「大サービスよ」と声に出さず唇を動かすまりもを

見た男子は、耳を赤くしながら

手に持っていた本を落としてしまった。

まりもは久しぶりに手にした

4冊の本を見比べながら迷ってる。
「欲情のアンバランス」

「白衣の下の…」

「Sショタとボク」

そして……
「鬼畜 青ひげ男」ってどうなんだろう?

このタイトルは。昔のまりもなら絶対に

選ばないようなタイトルだけど
ちょっと気になったりするのだ。
「うーーん。やっぱり『鬼畜 青ひげ男』はやめよっと」

と本を棚に戻した時、


「あのー。お姉さん、この青ひげ男は面白いっすよ。オレもこの作家が好きでシリーズ全巻もってるんすよ、シリーズ…えっと、過激やし。そのーー。あのーー。貸すんで読まへんすっか…」

さっきのフガァフガァ男子が顔から

首筋まで真っ赤にしながら声かけて来たのだ。

「へぇー、最近じゃ男子も愛読する時代になったの?」


と、マジマジと男子の顔を見たまりもは

「あぁー。確実、10コは年下だね」と

心の中で舌打ちをしたのだった。

「君って高校生じゃあないの?ダメだよ、こんな年上のお姉さんをナンパしちゃあ。肉食女に出会ったら食われちゃうよ」

言ってから「もうー。私って、ナニ言ってんだかー」

と自分に呆れてしまうまりもである。

「そのーあのー。オレ…25歳っス。えーと。そのー。時間あったら下にあるスタバでコーヒー飲みま…せんか……」

まりもは迷っていた。いや・・・迷ったフリをしたのだ

「3コ下ならOKしょ!こんなチャンスって2度とないしょ!」


と右脳のまりもは有頂天なのだから。

家に帰る電車の中でまりもは困っていた。
パティシェをしている まりもは仕事帰り、

川原町の同人誌が置いてあるある大型書店で
久しぶりに、「BL小説」を吟味するのを楽しんでいた。

読書家のまりもがまだ小学6の時、5歳離れた姉の部屋で見た
「薔薇の特等席」って小説の表紙の男子が

あまりに綺麗だったので、自分の部屋に持って行き、

読み出したら……それは、小6のまりもには衝撃的な……
あまりにも衝撃的でウツクシイ世界だったのだ。

こうして12歳の夏からまりもは、

立派な「BLヲタ」の一歩を歩みだした。

もともと読書家だったまりもは、中学になって同人誌の

「BL」にハマり読み漁っていった。
「BL」一色で過ごした中学時代だったが、成績は良く

高校は県立の進学校に入学した。

入学式が終わって、まりもは真っ先に

「漫画研究会」のドアの前に立っていた。
そう…まりもはこの「漫画研究会」に入部するために

幼馴染たちと違う高校に来たのだ。

今で言う、立派な「腐女子」になるために!
小学校からの幼馴染や友達は

「アニメ好き、ゲーム好き」だけど、

違う世界の住人だから話が合わない。

彼女たちは「BL」の世界を覗こうとしないから。
そして、まりもは今のところ28年間で一番幸せだったと思える

高校の3年間を過ごした。

小学校の時から目だち始めたバストは、

この頃には「Hカップ」まで成長してたし、
あの頃の、まりものバストをからかっていた

お子チャマ男子と違い、高校生の男子は
それはそれは、エロアタタカイ眼差しを浴びせながら

漫研の姫としてまりもは大事にされたのだ。

そしてまりもは気づいた。

今までお荷物だった「巨乳」が「武器」だってことに!
そしてまりもは考えた。

4年制の大学に進学してこの「武器」に磨きをかけるのだと!

読書家のまりもは「腐女子」から

「魅力的な乳女子」に変身するために、

3歳離れた兄の部屋に行きクローゼットに隠してある

グラビア雑誌を部屋に持ち込みパラパラとキワドイセミヌードの
女の子たちを
「ふふぅ~ん。なるほどねぇ~」と

上から目線で見ながらページをめくってたのだ。

「グラビアのポーズって昔から変わってないじゃん。なーんだ」
まりもは小学生の時、

自分より小さな胸を自慢げにさらしている

女の人のグラビア雑誌をこっそりと見ていた。

小学生しては立派なすぎる80cmのバストを

恥ずかしいと思ったりしていたが、お風呂場の鏡の前で

グラビアのお姉さんのようなポーズをしてみると

「まりものがバスト大きいし、なんかぁ~可愛いかも」と

自信がでたのだった。


それからまりもは、時にはクラスの男子と話すときなどは

グラビアのポーズを思い出しながら

「や・ま・だ・くーん~まりも、ドッジボールするぅ~~」と

両腕の脇を合わせ、両手を胸の前で合わせながら

小首をちいさく傾げながら親指を口元に添えるという

荒技をまでつかい、あどけない男子どもを悩殺したりしていたが
いかんせん、お子チャマな男子に通用するわけもなく

「うぇぇぇーー。三上ってキッショーーイ」


などと騒がれるのだった。クラスの女子にいたっては、


「まりもって、やらしいよねぇ~。なんかHやし」と

女子を敵にまわすことになってしまったのだ。

昌江に見られながら南さんは
「…198えん、230えん、398えん……」と、
おぼつかない手つきでレジっている。
昌江が居ないときは、ササッとレジも出来るのに
どうも昌江に見られてると緊張して声が裏返り

商品を持つ手が震えてしまうのだ。
そんな南さんを後ろから「獲物を狙うハイエナ」みたいな

ズルイ目で昌江はチラチラと見ている。
「獲物を狙うライオン」と言ったほうがカッコいいのだが、

昌江の場合はライオンたちが食べ残したものを狙っている

ハイエナと例えたほうが適切なのだ。
昌江は決して自分から事を起こすようなことはしない。
たとえそれが小学生であっても。

傷つける言葉を武器として、つかってくるのだから。
しかし!相手が自分よりも弱い人や、

自分を傷つけない相手なら断然違ってくる。
そう、可愛い南さんは見た目と違い昌江を傷つけない。

だから待ってるのだ。
自分の出番が今か今かと…今日の獲物を狙っているのだ。
そして、そのときがきた!
南さんがお客さんの買った「乾電池」を

食パンや野菜の入ってるカゴの上に置いた時。

「ちょっと?あのねぇ…わかるかなぁ~南さん。その乾電池ぃ…食品と同じカゴに入ったらダメじゃない?お客様のね、食べ物と同じカゴに電池って……ふぅ~。失礼でしょ?ね。わかるかなぁ」

ネチネチと注意されて真っ赤な顔をしながら、

南さんは「失礼しました」と乾電池を小さな紙袋に入れなおした。
客につり銭とレシートを渡す南さんを見ながら昌江は、

朝からのイラつきが少しおさまったのを満足しながら感じていた。
ふと、乾物やラーメンのコーナーに目をやった昌江は

「フン!!」と鼻息を荒く吐き出し,今度はハイエナに変わり、

サイのようにドシドシとその通路に突進していく。
次は極上の獲物だ!

インスタントラーメンの箱で通路をふさいで品だしをしているのは
大学生アルバイトの「沢田くん」

「もおぅ。沢田くんはぁ…。お客様の邪魔にならないようにって言ってるでしょう。
ささっ。私も手伝うから、早く品だし終わらせましょうねぇ~」

南さんが聞いたら「チビッ」てしまうような声を出しながら、

沢田くんの小さなお尻をサッと撫でる昌江。

そして、「うげぇ」と腰を引く沢田くんであった。
これで、昌江の「イラつき」も半分おさまった。
昌江のストレス解消で被害を受けてる人たちが、

どんな気分なんて昌江には知ったことではない。
23時。
暗くなったスーパーの駐車場の真ん中で昌江は

携帯のメールをずーと見つめていた。
南さんの

「昌江さん、お疲れ様でした」と言う可愛い声も気づいてないようだ。
お尻を触られて気味悪がっている沢田くんが、昌江を避けながらも
「おつかれっス」と言ってるのも気づかないほど、メールに見入っている。
メールの送信者は、幼馴染の紅子だ。

『5月5日 居酒屋【もえみ】 17時 集合 遅刻厳禁!』

今年もこの日がやってきた!

昌江が一年で一番ユウウツになる日。
小学校からの幼馴染4人で毎年集まる

飲み会の召集令状だったのだ!!!!

昌江は朝からイラついていた。
レジを打つ指先にその苛立ちが表れている。
高校の時からはじめたスーパーのアルバイトも
気がついたら10年過ぎていた。
自宅から徒歩100歩のスーパーは
昌江には便利すぎて辞めれない。
昌江は、チャリで20分と家から一番近い高校に進学。
生まれてこのかた、
この小さな片田舎からでたことのなかった昌江は
高校卒業後、隣県の短大に夢を持って進学した。
都会に出れば「彼氏…できるかも…」と、昌江は思っていた。
短大では、今まで出来なかったような遊びをして、
オシャレなんかして、
「クラブでオール」って経験もするはずだった。
そして、卒業したら適当に就職し、職場恋愛もして、
2年位で寿退社。今頃は子供なんかも2人くらいいて、
JRの駅のある町のマンションに住んで
旦那や子供を見送ってから、ダラダラと昼ドラを観ながら
饅頭でも食べてる、そんな28歳の春をノンビリと過ごしてる
予定のはずだった……のに…。
それなのに、10年前と何一つ変化がない
28歳の春を過ごしてる昌江なのだ。
今年も春休みから、近所に住む学生が昌江が勤める
パート先のスーパーにアルバイトで入ってきた。
研修期間の間、昌江が教える17歳のアルバイト「南さん」は
昌江が、このスーパーでバイトを始めた頃は
小学校に通う近所の女の子だった。
その、ガキンチョだった女の子が
「赤茶髪に染めた髪を頭上にテンコ盛り」にして
見せパンツを最大限見せるミニスカートを、
ヒラヒラさせながら自転車で通学する姿を
見かけた朝には軽い殺意さえ感じさせる女になっていたのだ。
南さんは、昌江がなりたかったであろう…女の子なんだから。
その「南さん」が昌江のバイト先のスーパーにやってきた。
2,3日前までは、テンコ盛り髪だったのが
「黒髪のポニーテル」で清楚な女子高生になってやってきた。
どっちにしても可愛い南さん…だから、よけいにイラついてくる。
昌江は気がついた頃から、ずーと同じ髪型なのだから。