そんなこんなのまりもも、
大学時代は「BL」を封印して、これまた、一段と
マグナム級になった武器の標的とするべく、
人生初の「3次元生男子」を相手に「合コン」に
明け暮れる4年間を過ごしたのだった。
まりもは、武器の成長も
「Iカップ」で落ち着いた28歳の春を迎えていた。
最近、まわりの友達が結婚だ!
出産だ!と、煩い今日この頃である。
4年間、自慢の「Iカップ爆乳」を乱射してきたが
「コミックの中で息づく男子」と違い
「3次元生男子」は後少しでってとこで、
まりもから離れてしまうのだった。
くやしいぃぃ~。
そんな訳で、予想外の
彼氏イナイ歴28年で「ゆううつ」な日々なのだ。
大学卒業後、実家が営んでいる洋菓子屋で
裏方の仕事を手伝ってるのだが
知り合いや友達などには「パティシェ」などと
肩書きの入った名刺をばら撒いている。
今日も
パティシェらしい仕事もしないまま仕事も終わり、
「なんだかなぁ~」と溜息つきながら
「今夜もネットサーフィンして寝るだけかぁ」
と、駅に向かっていたまりもだったが
ふと、昨夜見たサイトの
「お知恵拝借掲示板」の事を思い出した。
それは、今ではメジャーな腐女子や秋葉ヲタに
異常なまでの嫌悪感を持っている男性からの投稿で、
最初は「ふんふん。なるほどー」と読んでいたが
結局は「ただ、嫌い」ってだけの内容で
心外したまりもであった。
まるで、BLにハマッていた頃の自分を
攻撃されたようで悲しくなったりもした。
そして、幸せだった学生時代に
思いを馳せていた昨夜だった…
「久しぶりに『BL』でも読もうかなぁ」と
駅の近くにある書店へ向ったまりも。
同人誌コーナーでタイトルの気に入ったのから
チラ読みしていくと、ゆううつな気分が
少しづつ楽しい気分になってきた。
と、後ろで「フガァフガァ」と荒い息が聞こえたので
何気に横を見ると、
まりもの襟ぐりの大きく開いたカットソーから
今にも飛び出しそうな「Iカップ」の谷間の
ひっついたバストをギラギラした目で
見ている若い男子がいた。
「うふっ。この感じって…なんか、懐かしい~」と
全盛期を思い出したまりもだった。
「ちょっと、お姉さんがサービスしてあげようかなぁ」
なんて思いつき、本を落としてから下にかがみこみ
谷間が見えやすいようにしてあげたのだ。
「大サービスよ」と声に出さず唇を動かすまりもを
見た男子は、耳を赤くしながら
手に持っていた本を落としてしまった。
まりもは久しぶりに手にした
4冊の本を見比べながら迷ってる。
「欲情のアンバランス」
「白衣の下の…」
「Sショタとボク」
そして……
「鬼畜 青ひげ男」ってどうなんだろう?
このタイトルは。昔のまりもなら絶対に
選ばないようなタイトルだけど
ちょっと気になったりするのだ。
「うーーん。やっぱり『鬼畜 青ひげ男』はやめよっと」
と本を棚に戻した時、
「あのー。お姉さん、この青ひげ男は面白いっすよ。オレもこの作家が好きでシリーズ全巻もってるんすよ、シリーズ…えっと、過激やし。そのーー。あのーー。貸すんで読まへんすっか…」
さっきのフガァフガァ男子が顔から
首筋まで真っ赤にしながら声かけて来たのだ。
「へぇー、最近じゃ男子も愛読する時代になったの?」
と、マジマジと男子の顔を見たまりもは
「あぁー。確実、10コは年下だね」と
心の中で舌打ちをしたのだった。
「君って高校生じゃあないの?ダメだよ、こんな年上のお姉さんをナンパしちゃあ。肉食女に出会ったら食われちゃうよ」
言ってから「もうー。私って、ナニ言ってんだかー」
と自分に呆れてしまうまりもである。
「そのーあのー。オレ…25歳っス。えーと。そのー。時間あったら下にあるスタバでコーヒー飲みま…せんか……」
まりもは迷っていた。いや・・・迷ったフリをしたのだ
「3コ下ならOKしょ!こんなチャンスって2度とないしょ!」
と右脳のまりもは有頂天なのだから。