今年も邦楽協会から定期公演のナレーションを依頼されて、

昨日の日曜日は侘び寂びの世界感に浸っていた…


と言いたいところだが、


今年は若い世代の出演者が多く、愛らしい子どもたちの《吹き寄せ》や高校生の迫力ある舞踊、


加えて小中学生のディズニーやジブリメドレーの箏曲演奏があって活気あるステージを楽しませてもらった。


この仕事もかれこれ20年…?

いや、もっとかも…


ずいぶん長いこと担当させてもらっている。


今年は若手の活躍のほか、

映画《国宝》の出演者への指導を担当された御家元や、

紅白歌合戦でも日舞を披露されているお師匠さんも主演し、


層の厚さを感じる場面も多かった。



来年は9月27日、

45周年記念公演が予定されている。


「来年の予定は…」

と担当者から言われ、


確約はできないけれど、


「声が続く限りはやらせていただきます」


と答えた。


ナレーションは好きな仕事でもあるが、

邦楽の曲紹介は難しい…


専門用語も多く、意味がわからないものや

調べようとしても資料がないものもある。


言い間違えや噛むのは御法度であることはもちろん、

解説文も一文が長くて、

切れない文言が連なっている場合でも息継ぎをせずに、ゆっくり読み進めることや


当然だが、曲想に沿ったトーンが求められる。


アナウンスブースの周りの環境は決してよくない。


舞台の袖の、

大勢の大道具担当者たちや出演者が往来する場所の一角に用意された小さな卓と、

その上にセットされたマイクとカフだけがナレーターとしての私の仕事場だ。


周りがドタバタしようが会話の声が大きかろうが、一切を無視して読むことに集中する…


何があっても落ち着いて読むことが要求される。


二十数年前に初めてこの仕事を担当した時に、

尺八奏者の小林笙童氏から徹底的に読みの指導を受けた。


おかげで最近になってようやく、

『ナレーター』と言う肩書きを使えるようになった。


先だって顔見知りの日舞のお師匠さんが、


「日舞は60歳からが、一人前と言われてるのよ」


と言っていたが、


ナレーターも、それに近いものがある。


私のナレーターとしての勉強は、まだまだ続く。