午後4時の公園は賑わっていた。

満開の桜と同じく薄ピンクのコブシに囲まれている…

「あ〜ら、どこかで見たわよねぇ!」
「101匹わんちゃん?」
「噛むの?」

公園のベンチに座った3人のオバサマたちが、私とMを見るなり訊いてきた。

側の売店で買ったのだろうか…
桜餅か何かをパクつきながら、珍しそうにコッチを見ている…

オバサマたちに答えている間もなく私はMに引っ張られながら小走りに通り過ぎる…

それどこではないのだ。

Mは、まるで犬型のブルドーザーのようなものすごい力で、
私の持つリードをグイグイと引っ張るかと思いきや、いきなり走り出す。

突発的に走り出すMを制御するのは至難の技で、
昨夕の散歩では引っ張られた胴体に首がついて行かず、
ガクンッという衝撃が肩と首のあたりに走った。

(いかん、もしかしてムチウチかも…)

と思いながらも、何とかリードを繋ぎ止めたが、
たった30分の散歩でさえも、普通に歩けない。

おまけにMは、芝生をみると突然ひっくり返って背中をスリスリする変なクセがある。

毎日、散歩から帰るとドライシャンプーしてブラシをかけないと、
そこら中のゴミや虫をくっつけて家に入ってくる始末…
とにかく手がかかるワンコなのだ。

(まぁ、可愛いから許せるが…)

帰宅した夫に散歩の様子を伝えると、

私が1人で散歩に連れて行く時は、リードを放せるドッグランの方が安全だという。

確かに、一緒に走るのには限界がある。

せっかく桜が満開なのに、ゆっくり愛でている余裕もない。

いったいMのどこからこんな力が出てくるのか不思議だ。

一見、中型犬に見えるMの体重は25kg、
筋肉質でマッチョ、
運動能力の高さは、祖父母を米チャンピオン犬に持つ先先代のロメオ以上だ。

このMの場合も血統書をみれば、そこそこの《お家柄》のようで、
聴覚障害などの遺伝的な病気もないし、
健康そのもの…のハズなのだが、

実は我が家に来てから2週間経つのに、ウ◯チの状態がよくない。

来てすぐに接種した8種混合ワクチンや、ダニ予防のシンパリカを飲ませたせいかと思っていたのだが、

それだって、2、3日くらいで元に戻りそうなもの、
かかりつけ獣医に診せると、大腸炎だろう…という。

注射と消化の良い専用フードを貰って様子を見ているが、

環境の著しい変化のせいもあるのかもしれない…


夫は相変わらず
「オマエが神経質になりすぎるからじゃないか?」

と言うが、

マッチョな見た目より、心は繊細な子なのかもしれない。

手がかかる子ほどかわいい…。