H百貨店では「友の会」の入会手続きを担当していましたが、

丁度その頃、アナウンス教室では、
四国のローカル局のアナウンサーの募集が始まりました。

「受ける人は、手をあげて!」

と言われ、40人の受講生のうち
手をあげなかったのは、私だけでした。

私の夢はコンサートの司会者になる事でしたので、局アナになるつもりはない、と言うのがその理由でした。

手を挙げない私に教室長が

「なぜ、受けないの?」

と不思議そうに訊いてきましたが、
コンサート司会者が希望だと伝えると

「局アナの経験がある方が早道だよ」

と言われ、
一応受けてみることになったのですが

志願者には京大や阪大の学生もいて、
到底、私など太刀打ちできないという印象を持っていました。

試験には一般教養など記述試験の他に
原稿用紙二枚分くらいの作文があったように記憶してます。
確かテーマは、
「21世紀のエネルギーについて」
だったかと…。

当時から建設反対運動が起こっていた
原発についての自分の考えを書いたように思いますが、

多分ダメだろうと思っていたところ
何故か最終面接まで残り、

カメラテストを受けて帰ってきて一週間後に、
教室から合格したという電話がかかってきました。

全くと言っていい程、予想外の展開でした。

まだ二ヶ月しか住んでないアパートの賃貸契約はどうなるんだろう…。

アナウンサーなんて…こんな自分に
やっていけるんだろうか。

電話を切った後で漠然とした不安だけが残りました。