桐野夏生
『真珠とダイヤモンド』読了しました
上下巻、ほぼ一気読み
バブル期、福岡の証券会社が舞台
そこに勤める証券マン、フロントレディが主人公
第一章 バブル
第二章 フィーバー
第三章 ドリーム
第四章 フェイク
プロローグから、いきなり結末が描かれている
バブル崩壊を知っているから、特に驚きはないけど
桐野さんの描く世界に引き込まれていく…
1980年代後半~1990年代バブル期
銀行や企業の莫大なお金が、株や土地を購入にまわり
地価や株価が膨れ上がった時代
イケイケ・ギラギラ
そんな言葉がピッタリの時代
特に証券会社の勢いはすごかったんだね
私はその頃、結婚して出産したばかり
髪の毛振り乱しトレーナーにジーンズ姿で
子育てで精一杯の日々
煌びやかなボディコンを着たお姉さんが
センス振り回しディスコで踊っている映像をTVで
「あら〜」と眉をひそめ、別世界を眺めていた
この時代より5.6年前だけど
姉が、三大証券と言われる会社に勤務していた
営業の時は、夜、栄養ドリンク飲んで
キャンペーン電話作戦したり
成績が悪いと、罵声と共にものが飛んできたり(男性の場合)
パワハラ、コンプライアンスなんて言葉のない時代
同期の男性社員は、1.2年でほとんど離職
ノルマも厳しくハードワークな業務
結局、頑張っていた姉も体を壊し退職。。
「わぁ、ウエスト56cmになってしまったぁ♡」
と喜んでる場合でない、ポッチャリだった姉(泣)
姉のお給料やボーナスはとてもよくて
薄給?の私を気遣い(特にボーナスの差)
家では、母はお給料の話はしなかった…
でも、私は好きなクリエイティブ系の仕事だったので
やりがいもあり楽しく長く続けられた
姉の関係もあり
実家もその証券会社から金融商品を勧められ買い
後に、損したと母がこぼしていたなぁ
*
*
*
お話の中に、民営化され売り出されるNTT株が
象徴的に描かれていて
営業マンたちは
「絶対儲かります、買わなきゃ損です」
「サラ金で借りてでも買いましょう」
とNTT株を顧客に勧めていた
大手サラ金会社までもが
「NTT株を買うなら、低金利でお貸しします」
というのもあったらしい(驚)
「政府が損をさせるはずがない」
と、大勢の人が群がる
もう、フィーバ~
ポケベルで連絡を取り合い
エルメスのバックを持ち
ディスコで踊り
銀座や六本木で夜な夜な高級なお酒を飲む
株で大金を得て海外での生活というドリーム
バブルの中にいると、誰もバブルと気が付かない
浮かれるほどの富を享受した人たちの末路。。
最後の40ページ辺りから
いきなりサスペンスドラマになる展開
私が珍しく一気読みするほど
とても面白かったです
桐野さんの作品
今、NHKで放映中「燕は戻ってこない」
「魂萌!」「OUT」もドラマ化されました
桐野夏生さん、やっぱり好きだなぁ
[NTT株]
1987年株式公開、売り出し価格119万7000千円
初値160万円
買いが止まらず、2ヶ月で史上最高318万円
当時の時価総額が世界一を記録!
その年、米ブラックマンデーで225万円に大暴落
バブル崩壊で53万円に低迷
で、今は
何度も分割して…?
(年足チャートを参照ください、笑)