経営指標でROIC(投下資本営業利益率)が、重要視されています。これが借入金の金利よりも低いと、いくら売り上げが増えても、営業利益は減ってゆく。すなわち膨張しているだけで、利益の成長はしていないことになるのです。
 当たり前と言えば、あまりにも当たり前のこのことが、いかに企業経営でできていないかについては、実に驚くほどです。味の素も最近までできていなかったのです。

 なぜでしょうか? それは人間集団が経営しているからだと思います。生き物ですから、会社の利益ばかり考えて仕事などしていないのです。
 個人の人生にとっては、投下する資本は時間です。ですから、個人は投入する時間に対してその人が考えること価値を最大限にしようとするのです。
 お金が一番大事という人は大儲けしようと博打や一発の賭けをするかもしれません。愛情が欲しいひとは全てを投げ打って、愛を求めるかもしれません。
 このように、なかなか、会社と個人のROIC をマッチングすることは簡単ではないのです。だからこそ、経営は面白くもあり、苦しくもあるのでしょう。