エンカレ北海道でやったグループワークのフィードバックを書き起こしてみる。 | アドマン3.0=人事になりました。

アドマン3.0=人事になりました。

サイバーエージェントで新卒採用責任者をしています。

先週かな?久しぶりの北海道に遠征してきました。いつも一緒にやらせてもらってるエンカレさんの北海道支部のイベントに参加するため北海道に上陸。

17新卒では九州エリアにおける弊社の啓蒙に力を入れましたが(結果として多くの九州エリアの大学生が入社してくれそうです)、今後は北の大地に攻め入ろう、ということでテスト的な意味合いも込めて札幌へ。


結論からいうと、とても可能性を感じました。8月にでも再度伺うことを決意。それくらいサイバーエージェントの知名度も意高度も高く、良い人材を発見することが出来ました。最初の訪問成果としてはホクホク状態です。


さて、本イベントでは100名上の学生が集まり、各チームに分かれて、20分×4題のグループワークを行いました。僕はそこで審査とフィードバックをさせてもらったのですが、そのフィードバックした内容をここでシェアしておきたいと思います。

ちなみに言っておくと、僕はグループワーク(GW)はイマイチ好きではありません(というか効果性が薄いと思ってます)。むしろこういう就活の場でしかありえないようなもの(リクルートスーツしかり)はこの世から無くなってしまえばいいと思っているのですが、いまのところ良い代案も思いついていないので、そういう意味では長いこと就活業界で用いられている「妥協の産物」だとは思います。この辺りは改めて整理して書きたいと思っています。グループワーク得意な奴ってなんか胡散臭いし。

したがって今回のフィードバックも、GW的に良いかどうか、よりは、仕事的に考えるとこうだよね、ってフィードバックをさせていただきました。その辺り踏まえて、ぜひ成長の糧にしてください。


GW.1 国民の休日を増やすなら?(どんな休日を増やすか?)

ありがち系ですね、「足す」タイプの議論です。普段の仕事の中ではこういった「ただ追加するだけのアイデア」はあまりないのですが、割りきって考えたいと思います。

この類で求められるのは「独創性」と「その証明」だと思います。如何に切り口鋭く、さらにそれをするべき納得性の高い理由付けができるか。

そういう意味で、(僕らの会社的に言うと)右脳と左脳の反復横跳び(創造性と論理)が必要になるお題です。

チームでアイデアを出す場合、とにかく大事なのは「外部脳をいかに活用するか」です。ここでいう外部脳、は自分以外の脳みそ、ということにしておきたいと思いますが、自分ひとりで考えるよりも6人の脳みそを活用したほうが神経細胞数で言っても効率・効果的なはずなので、ぜひ「ヒトの脳みそ」を使えるように配慮しましょう。

ここで大事なのは「自分だけが目立とうとしないこと」です。あくまで「みんなの成果」を追求するところ。議論しやすい空気を作り、みんなのアイデアを可視化し、参加していない人がいない状態を作れるのが大切だと思います。

また証明していくところに絡んできますが、覚えておくと良いのはコンプリートメッセージというコンセプト。WHAT・WHY・HOWが揃っているメッセージのことをこう言いますが、この手のアイデアはWHAT・WHYで終わってしまいがち。実現するための方法論や実際の祝日の過ごし方までHOWを詰められると非常に良かったと思います。

※コンプリートメッセージについてもう少し知りたい方は、プロフェッショナルプレゼンテーションという名著をおすすめします。僕のプレゼンの3割くらいはこちらの本から作ってます。



GW.2 日本の移民受け入れの是非は?(受け入れるべき?入れないべき?)

これ、実は一番むずかしいと思いました。Yes or No式、正直むずい。

このGWでみんながやりがちだったのは、

①まず受け入れる・入れないことのメリット・デメリット(プロコン)を整理する
②それぞれに点数付け(重み付け)し、点数の高い選択肢を選びとる


という方法論。あるいはシンプルに多数決をしていたチームもありましたが、個人的には☓だなぁ、と思います。多数決はかなり思考の放棄に近い。

このお題で問われているのはリーダーシップ。論理的に整理することも大事だけれど、それ以上に選択した選択肢をいかに正しくしていくか、のほうが大事。

実際の現場のシーンで、「メリット30、デメリット28なんで移民受け入れましょう」なんて決断の仕方はしないと思いますし、多数決で決めるリーダーがいたらそれはもうリーダーとは言えません。

僕らもAWAという音楽配信サービスを約一年前から展開していますが、例えばこのサービスはリリース直後、GoogleやApple、LINEなどプラットフォーマーが参入してくることがわかっており、正直論理的に考えれば「やるべきでない」サービスだったと思います。しかしそこを英断し、それを正解にしてきたこの一年。蓋をあけてみれば、一年で大きな成長を遂げることが出来ました。決断ってこういうことだと思います。

したがって、GWとしては難易度が高い。リーダーとフォロワーシップが問われるお題ですね。


GW.3 学校の教科を1教科増やすなら何を増やすか?

GW.1に近い、「足す」系課題です。ただこちらのほうが意義性が高いので、難易度は高いものの考えやすいかったりもしますね。

この場合大事なのは、その教育によって実現したい社会をまずは定義することでしょう。今の日本には足りないものがたくさんあるため、ここが定義されていないと議論が固まってきません。プログラミングとか、国際コミュニケーションとか、論理的思考とか、ディベートとか、そういうものになりがち。まずは目指すべきところから考えましょう。

さらに、「インパクト」と「難易度」のバランスも大切です。教育、というとても大事なドメインなので、インパクトの大きさをまずは考えると思います。教育でいう影響度は、初等教育に行けば行くほど大きくなるので、ほとんどのチームが小学校の科目を考えていました。が、初等教育は本当に重要なため、導入へのハードルが非常に高い=難易度が高い。そういう意味では、足早に結果がでる高等教育に参入していく、みたいなチームがあったりすると面白いなぁ、と思いました。


GW.4 自衛隊の入隊者を増やすためには?

これが二番目に難しかった。

まずこの課題で大事なのは、自分たちの立場の明確化、でしょう。一国の首相として考えるのか、自衛隊の人事として考えるのか、でだいぶ答えが変わってくるでしょう。

今回の場合、サブ仮定として「米軍が日本から3年以内の撤退を宣言し、3年以内に自衛隊を1.5倍にしなければならない」という可及的速やかにアクションしなければいけない自体ですので、首相の立場であれば「徴兵制」の選択肢も視野に入ってくるでしょう。そして「徴兵制」にまつわる障害をクリアしていく方向で思考していくべき。

一方人事の立場であれば、それはマーケティングの話になってきます。自衛隊に入隊させたい人材を明確にし、彼らがどこに生息し、彼らに刺さる訴求はなんなのか、を考える必要がある。しかも今回「1.5倍にする」という要件が固定のため、腕っ節の強いいわゆるソルジャーが必要とされていると考えられるため、例えば海外の傭兵雇用などもありえるかもしれません。1チームこういった思考のチームがありましたが、非常に面白いと思いました。

さらに今回、3年、という時間軸が存在しています。クロネコヤマトの生みの親である小倉昌男氏も名著小倉昌男 経営学の中で戦略とは順序であると仰ってますが、1年目でなにをやり、2年目でなにをやり、3年目でなにをやると自衛隊を1.5倍に増やせるのか、というところまで考えられているとめちゃめちゃ良かったなぁ、と思ってます。


以上、就活で役立つかわかりませんが、社会人の僕がGWに参加するならこう考えるだろうなぁ、というところをフリースタイルで書かせていただきました。

北海道の皆さん、また飲みながらでも話しましょう!