びわ湖ホール
京響と沼尻竜典がびわ湖ホールで続けているマーラーシリーズ。今回は完成した最後の交響曲第9番を取り上げる。コンサートマスターは石田泰尚。
沼尻はプレトークで、マーラーは運命に抗ったのではなく、受け入れたのではないかと述べていた。抗いが顔を出すのは第3楽章のみ、という見立てである。
演奏は、冒頭から必ずしも万全とは言えなかった。第1楽章ではオーケストラのまとまりを欠き、京響らしからぬ印象を受けた。弦楽器は半数近くが客演であった点も影響したのかもしれない。
第2楽章も穏やかで美しいが、やや平坦に感じられる部分があった。流れが変わったのは第3楽章後半からで、沼尻は明確にオーケストラを煽り、音楽は一気に荒々しさと推進力を獲得する。ここに、運命への抗いが鮮明に現れていた。
最終楽章は別次元であった。冒頭から集中力が格段に高まり、管弦楽は完全に一体化して、マーラーの世界を深く掘り下げていく。クライマックスを経て、コーダはじっくりと、静かに終わる。「死を受け入れたことで生の美しさに気づく」というようなことだろうか。
今回は若い聴衆が多かったように思う。どうやら学生のオーケストラがこれを取り上げるのだとか。コンサートにあまり来ない人も来ていたのだろう。そのせいか、終始集中しきれない状況が続いた。アラーム音、補聴器、飴の袋、フライング拍手、など、、やはり、我々は聴衆も音楽に影響を与えるということを再度確認せねばならないと思った次第である。特にアマチュアの奏者はそれを理解しておく必要があるだろう。
びわ湖ホールで続く沼尻と京都市響のマーラー・シリーズも、残すところ第2番と第3番のみである。その完結を、期待せずにはいられない。