石川県立音楽堂 邦楽ホール
県立音楽堂のホールが改修中のため、同じ建物内の邦楽ホールで「特別定期」していた。今回はその最後の演奏会。邦楽用の設計ゆえに、残響はほとんどなく、オーケストラが演奏するのにはなかなかハードルの高いホールだ。
シューマンの「序奏とアレグロ・アパッショナート」、ガルデッラの「マードレ(母)―ピアノとオーケストラのための」(日本初演)、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を全曲北村朋幹が弾き振りで演奏をする。コンサートマスターは豊嶋泰嗣が客演。
シューマンは慣れもあるのだろうが、かなり荒削りな演奏で、言い方を考えなければ「偉そう」な演奏に聴こえてしまった。いつものしなやかな演奏をやってくれるオーケストラゆえに、余計そう聞こえるのもあるだろうし、あの残響0のホールだと致し方ないところもあるのかもしれない。
2曲目の「マードレ」は逆にこの邦楽ホールゆえの効果を発揮できていたのかもしれない。楽章に「森の情景」や「時の博物館」という何とも趣深いタイトルがつけられているが、中身はなんとも鋭利なものであった。強い音を繰り返し、時折弱音を挟みながら、強烈な一打を印象付ける。部分的には首席チェロの植木や、豊嶋が弓を使って拍を取るなどしてはいたものの、これほど複雑な曲を指揮者無しでやれるのは、さすが現代音楽に慣れているオケだなと感心した。どうやら、ガルデッラも小さい頃からOEKの武満徹の録音を聴いていて、ファンだったらしく、今回の初演に際して自腹ではるばるイタリアから飛んできたらしい。
休憩を挟んで、ブラームスの2番。全体的にブラームスらしさというより、やや映画音楽のような現代のブラームスだなという印象を受けた。とはいえ、2楽章を中心に繰り広げられる抒情的な部分は、どうも平坦になってしまう。オーケストラも淡々と作業のようになってしまって、もう少し優美な演奏がほんとならできるはずなのにな、と思ってしまう。ピアノ協奏曲の魅力というのは、ピアノとオーケストラの対話にあるのだろうと思うのだが、今回はピアノだけが印象付けられ、どうしてもオーケストラが消極的に聴こえてしまった。やはり、ほとんど交響曲とも言われるブラームスのピアノ協奏曲は指揮者無しというのは難しいのだろう。
3月からは本拠地のクラシックホールで演奏できるようなので、せっかく綺麗になったパイプオルガンも多彩に使って活躍してほしい。