震災がもたらす経済効果
この震災で、「震災恐慌がくる」とか、「連鎖倒産で大不況」とか、いろんなマイナス記事が踊る毎日ですが、それは東電を始めとする今まで甘い蜜を吸ってきた大企業の話ではないでしょうか?現時点で我々一般庶民にはそれほど実感がない。
(追記・この時期に就活してる学生は氷河期らしいですね。お見舞い申し上げます)
それどころか、私はこの震災こそチャンスだと思うのです。いや、敢えて今だからこそチャンスにしなければと思っています。
今月末に被災地で、生歌によるライブを企画した我らRadish Choir(ゴスペルチーム)は、プロギタリストの矢萩秀明氏とその生徒さんの協力を得てステージを執り行う事となりました。
矢萩秀明氏といえば日本を代表するギタリストの一人。Radish代表のらいらかおるとは長年の交流があり、私もこの数年お付き合いさせて頂いてますが、普段はピアノ伴奏かフルバンドで歌っているRadishが、矢萩さん(とお弟子さん)のギター2台のみで全曲ゴスペルを歌うというのは今回はじめて。矢萩さんが我々の「伴奏」をされるなんて、もったいない贅沢な企画です。
しかも矢萩さん…ここだけの話ですが…今回はノーギャラなんですってよ!奥さん!
あ、違う、ノーギャラどころか、矢萩さん自身も被災地までの移動費(バス代)を自腹負担して、更に支援物資も持ち込むんですってよ!奥さんっ!信じられる???
さて、先日の高輪事務所リハーサルで初めて矢萩さんのギター演奏を聴いて感動しまくってる(いまだに興奮してる)Radishのメンバー達に一言。あまりに身近すぎて忘れてるかもしれないが、実はあなたたちの代表、らいらかおるだって、矢萩さんと同じくらいのキャリアを持った素晴らしいボーカリストなんですよ!
今まで何人の客を泣かしたことか…いや、らいらの歌で感動して何人の客が涙したことか…
矢萩さんもらいらかおるも、普通にライブを企画して出演をお願いしたら、ひとり時給ウン万円の世界で生きてる方たちです。そんな素晴らしいミュージシャンが、なんとノーギャラどころか自腹で福島へ演奏に出かけて演奏を披露するって普通は絶対にあり得ないです。
そう、これこそが「震災ミラクル」なんです。
もう少し解りやすく説明しましょう。例えば食べ物・・・
まずは、この震災で現地の方々は語り尽くせないほどの苦しみや悲しみを受けたことと察します。心よりお見舞い申し上げます。我々がいくらテレビを通じて同情したところで、その悲しみはとうてい足元にも及ばない程のレベルだと痛感しています。
でも、そんな中、日本中から世界中から被災地の方々の為に炊き出しに動いたボランティアの方々もたくさんいらっしゃいます。NPO法人として世界中の被災地の炊き出しを専門にしている団体もいれば、自分のお店をCloseにしてまで、スタッフやシェフを引き連れていち早く現地に飛んで炊き出しを始めたレストランやホテル、料亭のオーナーも大勢いらっしゃいます。
そうなると、そこで何が起きていると思いますか?奥さん!
東京に長年住んでる我々一般庶民にはとても敷居が高く、値段も格式もトップクラスで、のれんをくぐるなんて夢のまた夢なんて思っている素晴らしい料亭やホテルやレストランの味が、一部の被災地では「炊き出し」という名目で無償配布されているのです。三ツ星シェフの味がタダで食べられるんですってよ!奥さん!(もちろんこれは一部の地域、一部の期間ではありますが・・・)
この現実をどうとらえるか…私は「ものすごく素晴らしい事だ!」と感じます。
今の日本でモノの価値と言えば「言い値!」で決まってます。「ウチのランチは1万円!」って言われれば中身はさておき高級料理だし、普通の人には高嶺の華で食べる機会もないだろうし、仮に一念発起して1万円払って食べても緊張して美味しいのかどうか分からないと思いますw(それは言い過ぎか?)
高い物はいい物、手の届かないモノ。安価なものは粗悪なもの、悪くても妥協できるモノ。
それが一種の基準になってると思います。
でも、高いものには高いなりの理由があると思うのです。こだわった材料やら、下ごしらえやら、職人のキャリアやら、食器の価値やら、スタッフの対応やら、万が一の時の対処方法やら、ご主人の苦労やら・・・。
それをちゃんと理解出来る客こそが、例えば高級寿司屋で握りをひとつ口にするだけでホロリと涙するんです(あ、ワサビのせいじゃないよw)。回転寿司しか知らない人には理解できない世界です。
逆に、それほど手をかけなくても、見栄えを良くして「言い値」を高くするだけで、クチコミで客が殺到するという現象があるのも事実です。食べても味がわからないからクチコミで「美味しかった(と思う)」という内容が広まるんだと思います。
ところが震災をきっかけに、「値段(言い値)によるランク付け」が、ボランティアという名目でこの一部がフラットになってしまってるのです。つまり近所の主婦の炊き出しも、地域の居酒屋や旅館による炊き出し支援も、近隣の定食屋の出張炊き出しも、タレントによる炊き出しキャラバンも、首都圏の超高級レストランによるサービスも、海外の一流三ッ星レストランも、全てがフラット、つまり「無料」なんです。それを口にするのに地位も名誉もお金も不要です。
そうすると何が起きるか?値段に関係なく庶民が高級料理を口にする事で、
「へー、高級レストランの味ってこういうものなんだ、なるほど」
「これだけ手がかかってるから値段も高いんだ、納得」
「でも、あっちのレストランは看板は立派だったけど、実際食べてみたらたいしたことないね」
「なんだかんだ言っても、奥様方の作る家庭の味が一番だね」
などと、いろんな意見や感想が生まれると思うのです。つまり
「本当においしいとはどういう事か」
「本当においしい店はどこか」
を再考するいい機会だと思うのです。
そして、数年後にこの日本が立ち直ったときに、「やっぱりあの時食べたあのレストランの味が忘れられない」と思えば、出費を惜しまず現地に出向き、対価を払って堂々と本店で食事をすればいいのです。いや、そうすべきなんです。いい物にはちゃんとお金を払わないといけないんです。
デフレも悪くはないけど、本物を見分ける力をつけて、本当にいいものには敬意を表し、対価を払って感謝する。それができない日本になってしまった代償が今の大不況なんだと思います。
「ウチの近所の300円のハンバーグ定食と、あのレストランの3,000円のハンバーグコースと、何が違うってんだよ。同じハンバーグじゃん!300円でいーよ」って・・・だから違うんですってば!
逆にテレビCMや看板信じて値段の高い店に行っても裏切られることもたくさんあるし、裏切られた事に気づかず「ここは値段が高いから美味しいんだ!」って思い込んでる客も大勢いるはず。つまり何を信じてどこに出費(出資)すればいいのかさっぱり解らない時代です。だからみんな「同じものなら安い物」ってデフレに走り、財布の口が固くなって市場にお金が回らなくなったんです。
今回の東北地方の炊き出し支援は、ある意味「東北万博」に近いものだと思います。こんな言い方は非常に不謹慎かもしれないが、ある意味「うらやましいw」
日本中の世界中の(自称)おいしいものが被災地に集結し、それが無償で食べられる。そうやって日本人の舌が「本物」を見極められるようになる事、それに対価を払う意味を理解する事を切に願います。
さて、これは音楽の世界でも同じです。普段からテレビで騒がれてる有名人が支援ソングを歌って売上を寄付したり、アイドルが現地で炊き出しに参加して若いファンからキャーキャー言われるのもいいでしょう。
でもね、名前も知らない一流歌手が被災地をふらりと訪れて、大人も子どもも老人もいる前で無償で本物の「歌」を魂込めて歌い上げ、それを聴いた皆が涙する。それこそが本当の音楽による支援なんだと思います。
さて、普段はギャラが高くてとてもご一緒できないような(お会いできないような)ミュージシャン達が、ここでは喜んで無償で演奏してくれる。それを聴いた共演者やお客様が、その価値を改めて知る。それが大事なんだと思います。そうやってオーディエンスの耳が肥え、実力のない文化人は淘汰され、本当に実力のある人たちが今後正当な対価を受け取る。これが大事だと思います。そう、いつかは対価を払わないといけません。だってボランティア続けるにも金銭的に体力がないと長くはやっていけませんから。
震災によって、図らずもその「ジャンルの壁」「レベルの壁」「取り繕(つくろ)った嘘の壁」が全て崩壊し、これからいろんな食事や音楽や文化が東北地方に集中し、そこで本物をたくさん経験し、本物を聴きわけられる日本人がたくさん生まれることを切に願います。
(追記・この時期に就活してる学生は氷河期らしいですね。お見舞い申し上げます)
それどころか、私はこの震災こそチャンスだと思うのです。いや、敢えて今だからこそチャンスにしなければと思っています。
今月末に被災地で、生歌によるライブを企画した我らRadish Choir(ゴスペルチーム)は、プロギタリストの矢萩秀明氏とその生徒さんの協力を得てステージを執り行う事となりました。
矢萩秀明氏といえば日本を代表するギタリストの一人。Radish代表のらいらかおるとは長年の交流があり、私もこの数年お付き合いさせて頂いてますが、普段はピアノ伴奏かフルバンドで歌っているRadishが、矢萩さん(とお弟子さん)のギター2台のみで全曲ゴスペルを歌うというのは今回はじめて。矢萩さんが我々の「伴奏」をされるなんて、もったいない贅沢な企画です。
しかも矢萩さん…ここだけの話ですが…今回はノーギャラなんですってよ!奥さん!
あ、違う、ノーギャラどころか、矢萩さん自身も被災地までの移動費(バス代)を自腹負担して、更に支援物資も持ち込むんですってよ!奥さんっ!信じられる???
さて、先日の高輪事務所リハーサルで初めて矢萩さんのギター演奏を聴いて感動しまくってる(いまだに興奮してる)Radishのメンバー達に一言。あまりに身近すぎて忘れてるかもしれないが、実はあなたたちの代表、らいらかおるだって、矢萩さんと同じくらいのキャリアを持った素晴らしいボーカリストなんですよ!
今まで何人の客を泣かしたことか…いや、らいらの歌で感動して何人の客が涙したことか…
矢萩さんもらいらかおるも、普通にライブを企画して出演をお願いしたら、ひとり時給ウン万円の世界で生きてる方たちです。そんな素晴らしいミュージシャンが、なんとノーギャラどころか自腹で福島へ演奏に出かけて演奏を披露するって普通は絶対にあり得ないです。
そう、これこそが「震災ミラクル」なんです。
もう少し解りやすく説明しましょう。例えば食べ物・・・
まずは、この震災で現地の方々は語り尽くせないほどの苦しみや悲しみを受けたことと察します。心よりお見舞い申し上げます。我々がいくらテレビを通じて同情したところで、その悲しみはとうてい足元にも及ばない程のレベルだと痛感しています。
でも、そんな中、日本中から世界中から被災地の方々の為に炊き出しに動いたボランティアの方々もたくさんいらっしゃいます。NPO法人として世界中の被災地の炊き出しを専門にしている団体もいれば、自分のお店をCloseにしてまで、スタッフやシェフを引き連れていち早く現地に飛んで炊き出しを始めたレストランやホテル、料亭のオーナーも大勢いらっしゃいます。
そうなると、そこで何が起きていると思いますか?奥さん!
東京に長年住んでる我々一般庶民にはとても敷居が高く、値段も格式もトップクラスで、のれんをくぐるなんて夢のまた夢なんて思っている素晴らしい料亭やホテルやレストランの味が、一部の被災地では「炊き出し」という名目で無償配布されているのです。三ツ星シェフの味がタダで食べられるんですってよ!奥さん!(もちろんこれは一部の地域、一部の期間ではありますが・・・)
この現実をどうとらえるか…私は「ものすごく素晴らしい事だ!」と感じます。
今の日本でモノの価値と言えば「言い値!」で決まってます。「ウチのランチは1万円!」って言われれば中身はさておき高級料理だし、普通の人には高嶺の華で食べる機会もないだろうし、仮に一念発起して1万円払って食べても緊張して美味しいのかどうか分からないと思いますw(それは言い過ぎか?)
高い物はいい物、手の届かないモノ。安価なものは粗悪なもの、悪くても妥協できるモノ。
それが一種の基準になってると思います。
でも、高いものには高いなりの理由があると思うのです。こだわった材料やら、下ごしらえやら、職人のキャリアやら、食器の価値やら、スタッフの対応やら、万が一の時の対処方法やら、ご主人の苦労やら・・・。
それをちゃんと理解出来る客こそが、例えば高級寿司屋で握りをひとつ口にするだけでホロリと涙するんです(あ、ワサビのせいじゃないよw)。回転寿司しか知らない人には理解できない世界です。
逆に、それほど手をかけなくても、見栄えを良くして「言い値」を高くするだけで、クチコミで客が殺到するという現象があるのも事実です。食べても味がわからないからクチコミで「美味しかった(と思う)」という内容が広まるんだと思います。
ところが震災をきっかけに、「値段(言い値)によるランク付け」が、ボランティアという名目でこの一部がフラットになってしまってるのです。つまり近所の主婦の炊き出しも、地域の居酒屋や旅館による炊き出し支援も、近隣の定食屋の出張炊き出しも、タレントによる炊き出しキャラバンも、首都圏の超高級レストランによるサービスも、海外の一流三ッ星レストランも、全てがフラット、つまり「無料」なんです。それを口にするのに地位も名誉もお金も不要です。
そうすると何が起きるか?値段に関係なく庶民が高級料理を口にする事で、
「へー、高級レストランの味ってこういうものなんだ、なるほど」
「これだけ手がかかってるから値段も高いんだ、納得」
「でも、あっちのレストランは看板は立派だったけど、実際食べてみたらたいしたことないね」
「なんだかんだ言っても、奥様方の作る家庭の味が一番だね」
などと、いろんな意見や感想が生まれると思うのです。つまり
「本当においしいとはどういう事か」
「本当においしい店はどこか」
を再考するいい機会だと思うのです。
そして、数年後にこの日本が立ち直ったときに、「やっぱりあの時食べたあのレストランの味が忘れられない」と思えば、出費を惜しまず現地に出向き、対価を払って堂々と本店で食事をすればいいのです。いや、そうすべきなんです。いい物にはちゃんとお金を払わないといけないんです。
デフレも悪くはないけど、本物を見分ける力をつけて、本当にいいものには敬意を表し、対価を払って感謝する。それができない日本になってしまった代償が今の大不況なんだと思います。
「ウチの近所の300円のハンバーグ定食と、あのレストランの3,000円のハンバーグコースと、何が違うってんだよ。同じハンバーグじゃん!300円でいーよ」って・・・だから違うんですってば!
逆にテレビCMや看板信じて値段の高い店に行っても裏切られることもたくさんあるし、裏切られた事に気づかず「ここは値段が高いから美味しいんだ!」って思い込んでる客も大勢いるはず。つまり何を信じてどこに出費(出資)すればいいのかさっぱり解らない時代です。だからみんな「同じものなら安い物」ってデフレに走り、財布の口が固くなって市場にお金が回らなくなったんです。
今回の東北地方の炊き出し支援は、ある意味「東北万博」に近いものだと思います。こんな言い方は非常に不謹慎かもしれないが、ある意味「うらやましいw」
日本中の世界中の(自称)おいしいものが被災地に集結し、それが無償で食べられる。そうやって日本人の舌が「本物」を見極められるようになる事、それに対価を払う意味を理解する事を切に願います。
さて、これは音楽の世界でも同じです。普段からテレビで騒がれてる有名人が支援ソングを歌って売上を寄付したり、アイドルが現地で炊き出しに参加して若いファンからキャーキャー言われるのもいいでしょう。
でもね、名前も知らない一流歌手が被災地をふらりと訪れて、大人も子どもも老人もいる前で無償で本物の「歌」を魂込めて歌い上げ、それを聴いた皆が涙する。それこそが本当の音楽による支援なんだと思います。
さて、普段はギャラが高くてとてもご一緒できないような(お会いできないような)ミュージシャン達が、ここでは喜んで無償で演奏してくれる。それを聴いた共演者やお客様が、その価値を改めて知る。それが大事なんだと思います。そうやってオーディエンスの耳が肥え、実力のない文化人は淘汰され、本当に実力のある人たちが今後正当な対価を受け取る。これが大事だと思います。そう、いつかは対価を払わないといけません。だってボランティア続けるにも金銭的に体力がないと長くはやっていけませんから。
震災によって、図らずもその「ジャンルの壁」「レベルの壁」「取り繕(つくろ)った嘘の壁」が全て崩壊し、これからいろんな食事や音楽や文化が東北地方に集中し、そこで本物をたくさん経験し、本物を聴きわけられる日本人がたくさん生まれることを切に願います。