funta(ふぁんた)のブログ -347ページ目

デフレ文化その5

 書きたい事が多すぎて、まとまらない…

文化に馴染みの無い人に、クオリティの高いステージを格安で提供するのは良い事だと思います。

ただね、それも限度というものがありまして。

例えば、海外のジャズを日本で観る場合、ブルーノートなんかだと、チケット8,000円から1.2万程。それにディナーやドリンクが付くと、まぁお一人様2万円くらいの贅沢ですね。それでもフロアはほぼ満席のようです。

 同じアーティストをホールで観るとすると、食事はいらないので、5-6千円もあれば観る事ができますね。演奏はもちろん、一流の音響や照明機材を駆使した素晴らしいステージを何度も観たものです。

 さて、クラシックコンサートの場合、音響も照明もありませんが、出演者も大人数になるのでチケットも当然高くなりますね。チケットも1-2万というのが普通。知り合いで、毎年1回サントリーホールでのクラシックコンサートを楽しみにしているご年配の夫婦がいらっしゃいます(確かN響だったかな?)。素晴らしく贅沢な時間を過ごせるので、数万円のチケットは決して高くないそうです。

 そういえば先日、オークウッドプレミアで、1万円のバイオリンリサイタルを観た事を紹介しました。スタンウェイとバイオリンだけのデュオ(二人の演奏)で、ほんの数メートル先でバイオリンの生音を感じる事ができ、もちろん演奏も素晴らしく本当に贅沢な時間を過ごしました。私は時間がなくてその後のビュッフェはあまり食べられなかったけど、それでも1万円は安いと感じました。

 これらの音楽を区や財団が企画すると、同じ演奏内容なのにチケットがなんと500円~2000円とかで観る事ができます。

果たしてこれが素晴らしい事だと思いますか?

 小学生や中学生など多感な時期に、こんなに素晴らしい音楽に親子で格安で触れる事ができるのは、それは素晴らしい事だと思います。ここで本物の音楽に何度も触れる事はいいと思います。

 ただね、同じアーティストが同じ楽器を演奏しても、コンサートホールの音と区民ホールの音は違うのです。これは意外に知らない人も多いんだけど、コンサートホールってそれ自体が「楽器」なのです。ステージで鳴らした生音をきちんと反響させて客席に届けるという、楽器というかスピーカーのような仕事をしてるんですね。本当のコンサートホールを観ると、生のオーケストラが最初のチューニングを始めた時点で、鳥肌が立つくらい感動します。ちょっと言葉では説明しづらいのですが。

 どんなに素晴らしい演奏家を呼んだとしても、格安でそれなりのホールだとそれなりの感動しかありません。

「クラシックコンサート?あ、先週観たよ。1000円だったかな?うーん、まぁよかった。それなりに…」

そんな会話がなされてるとしたら、悲しすぎる。クラシックコンサートが1,000円で観られる事が異常なことだって解ってます?演奏家は本物かもしれないが、それが実力だと思って欲しくない。

しかも、本物の音楽を区民にそんなに安く提供できるのは、差額を税金で賄っているからだって理解してます?

 その弊害として、民間が正規に見積もったチケット代金が「あのチケット高すぎるよね!」って言われる事。

高いんじゃないんです。本物の音楽を伝えるには、それが普通なんです。

ちょっと前なら、一流のクラシック楽団は、百人の演奏家が専用機で世界中を移動して、一流の身のこなしで一流ホテルに泊まって、一流のコンサートホールで一流の演奏をして…シックなドレスだって何十万、何百万の着こなしのはず。ちらりと魅せるアクセサリーも本物のダイヤモンドだったり。
 だって、ひとり一台ウン千万(下手すると億単位)の楽器を大事に持って世界を移動する訳ですから、それに応じた服装もするでしょうし、子どものころからバイオリンしか知らなくても、それで一生安泰だったはず。

前にも書いたけど、デフレで一番怖いのは、お客に値段を決められる事。

「なんでー?100人規模のクラシックコンサートなんて、2,000円で観られるんでしょ?なんでチケット2万円もすんの?!ありえなー い!」

 税金で補助されているコンサートしか知らない区民に対し、民間が同じような値段で供給しようと思ったら、演奏家のギャラを下げる、待遇(ホテルや食事)を下げる、あるいは宿泊なしで日帰りで帰ってもらう。もちろん民間機のエコノミーで。百人単位のフライト予約なんて大変だろうし、機内に持ち込めない大型の楽器は貨物扱いなんだろうか? なんだか悲しいなぁ…、というか、壊れるよきっと。

 あるいは、同じ団体名で、コンダクターや1stは据え置きのまま、他のプレイヤーは安い楽器持って安いドレス着た安い演奏家(学生とか)で固める。つまり、チケットに合わせて見た目そのまま中身のクオリティを下げる。

 そうやって、値段に負けて文化のクオリティがどんどん下がっていく訳ですよ。
そうやって下げられたクオリティで、客も感動は得られないんですよ。

その流れが続くと、だんだん一流の音楽家は演奏する場所を失い廃業、楽団も解散。
 結局、安い演奏家が安いステージで安っぽい演奏をする、あるいはアルバイトしながら時々演奏する、そんな時代に…なってるんですよね。
 それを観た一般区民は、「クラシックって、なんか安っぽいよね」って思う訳ですよ。

一流の音楽を演奏するのに、一流のホテルや食事、一流のドレスやアクセサリーが必要ですか?って言われたら
…絶対必要です!!

 夜ごと高級クラブやキャバクラで毎月ウン万円使うおっさんが、なんで年に数回でもいいから2時間1-2万円程度のクラシックコンサートに親子で行けないのかなぁ。