(1)減少する入学者数、在籍者数

 

 静岡英和学院大学の入学者数、在籍者数が減少しつつあります。

 

     収容定員 入学者数 在籍者数 定員充足率

2022年   860   201   929   108.0%  

2023年   860   179   862   100.2%

2024年   860   133   714   83.0%

 

静岡英和学院大学 学生情報|大学ポートレート (shigaku.go.jp)

 

 静岡英和学院大学はどうなってしまうのでしょうか?

 

 

(2)2010年度における静岡英和学院大学の自己分析

 

2010年度の自己報告書で以下のように大学の現状を分析していました。

 

「本学独自の建 学の精神に基づき、大学としての使命・目的を実現する教育活動を持続するためにも、 入学者の確保は欠かせない。両学科ともに厳しい学生募集状況であるが、地域福祉学科 の定員割れは特に深刻であり、学科名をコミュニティ福祉学科と変更するなどの対策を 推進しているが、魅力ある教育を追究するためには、それぞれの学科教育の充実ととも に、再編も視野に入れて、学部として将来展望を構築していかねばならない。」と述べ、 再編を構想するワーキンググループが、学長の指示によって発足したことを記している。 

 

 ワーキンググループでの検討は、人間社会学科から分化した新学科を増設する、という 方向性で進められたが、最終的には断念するに至っている。その主な理由は以下の2点 であった。 

 

①学部の学士課程教育においては、専門性だけでなく、幅広い教養の基礎を、カリキ ュラムを肥大化させないようにして、きちんと教えるというのが重視される。人間社会 学科の二分化はこの趣旨に逆行するし、差別化も難しい。 

 

②現有教員をベースにしての、届出による学科設置だとしても、補充する教員が何人 かは必要となり、財政的負担は増大する。当面は、2学科体制を継続し、両学科とも、 カリキュラムの体系性をより整備し適切な運用を図ること、特にコア科目での基礎教育 を徹底すること、授業科目間相互の連携性を強化すること、開設科目を精選し肥大化を 避けること、を確認した。

 

 両学科とも人間社会学部として総合力と専門力との兼備が強みであるが、その意義が 十分浸透しているとはいえず、人間社会学科では、学際性が総合力として必須である静岡英和学院大学 ということが、広く浅く学ぶイメージに結びつきやすく、総合力の上に築き上げる専門力 (心理、言語文化、観光、経済経営)が充実していることが周知されていない。

 

一方、 コミュニティ福祉学科では、逆に、専門力(社会福祉、保育幼児教育)が相互連携する ことによる総合力の学びの重要性と魅力が周知されていない。

 

 

(3)学生数の推移

 

 人間社会学科の入学者数の推移は以下の通りです。

 

      入学定員 入学者数 収容定員 学生数 収容定員充足率

2016年   130    89   540   371   68.7%

2017年   130    126     540         398   73.7%    

2018年   130    121     540   440   81.4%

2019年   130    221   540   550   101.8%

 

コミュニティ福祉学科の入学者数の推移は以下の通りです。

 

      入学定員 入学者数 収容定員 学生数 収容定員充足率

2016年   120    60   480   269   56.0%

2017年   120    40    480        246   51.3%    

2018年   120      47    480      208     43.3%

2019年     80      44    440   188    42.7%

 

2020年からは人間社会学科として一括募集して、二年次に人間社会学科とコミュニティ福祉学科のそれぞれの専攻を選ぶように制度変更したようです。

 

      入学定員 入学者数 収容定員 学生数 収容定員充足率

2020年   210    266   940   845   89.9%

 

2022年   210   201   860   929   108.0%  

2023年   210   179   860   862   100.2%

2024年   210   133   860   714   83.0%

 

 

(4)どうなる?静岡英和学院大学

 

 2010年度の自己分析にあったように、コミュニティ福祉学科の入学者数の確保に苦戦していたようです。

 

 新学科の新設というような急進的な改革は難しいと判断し、漸進的な改革を行っているようです。一時的に入学者数は改善傾向にありましたが、ここ近年急激な入学者数の減少に見舞われています

 

 静岡英和学院大学は、広く浅くの一昔前の「教養系」の大学のように見受けられます。

 

 人間社会学学科は「心理」「経済経営」「観光」「言語文化」は4つの専攻があるようですが、中途半端な印象をぬぐえません。

 

 入学者数が減少すると、推薦やAO入試での入試定員を増やし入学者数の増加を計る方法が安易な道として選択されがちですが、そうすると学生の質を招き、全般的な評価が低下してしまうと思います。

 

「人間社会学科から分化した新学科を増設す」程度の改善策では入学者数の回復は難しいと思います。

 

 理系学部を作るぐらいの大胆な改革を行わなければ、入学者数の回復は難しいのではないでしょうか?