(1)「計算問題はできるけれど文章題は苦手です」
「計算問題はできるけれど文章題は苦手です」という小学生が結構います。
文章題の理解や応用には本人の能力の影響が大きいように思います。
授業中にも文章題の解き方を説明していると思います。
しかし、計算問題のように授業中に繰り返し問題を解いたり、宿題という形で練習することも少ないので、「授業中に理解できるか?」「似たような問題への応用が利くか」は本人の能力に大きく依存するように思います。
やや正確さに欠ける面はありますが、WISC検査は本人の能力を反映していると思います。
(2)IQの低めの子どもに「文章題の解き方」を教えるのは難しい
文章題が苦手な子に「文章題の解き方」を教える場合、すんなりと理解できる子となかなか理解できない子がいるように思います。
説明を理解するためには、口頭や図示された情報を頭の中に留めておかなければなりません。このために必要な能力がワーキングメモリーです。WISC検査では、「ワーキングメモリー」がこの能力を表しています。
ある文章題の解き方を覚えた後に、似た問題を解けるかどうかも本人の能力の影響を受けると思います。このような類題への応用力を左右するのが、WISC検査では、「FSIQ」「知覚推理」「流動性推理」などの能力だと思います。
「FSIQ」「ワーキングメモリー」「知覚推理」「流動性推理」などが低い子に「文章題の解き方」を教えるのは時間もかかるし、大変です。
(3)小学校のテスト問題の欠陥
小学校のテスト問題では、「読解力」「思考力」「記述力」が問われるような問題はあまり出題されず、知識を問う問題が中心になります。
知識を問う問題は能力が低めの子でも繰り返しの練習によって何とか点数を取ることができると思います。
しかし、「読解力」「思考力」「記述力」が問われるような問題は能力が低めの子どもには、解き方を理解するのが難しいし、類題への応用も難しいと思います。
能力が低めの子の「読解力」「思考力」「記述力」を向上させるためには、標準的な能力の子が習得するための時間よりも多くの学習時間が必要だと思います。
このような現実を小学校の先生はどのように考えているのでしょうか?
このような現実を小学生の子どもを持つ保護者の方は認識しているのでしょうか?
(4)「IQ85」や「ワーキングメモリー85」は普通ですか?
WISC検査の説明で、「IQ85」や「ワーキングメモリー85」などの数値は、「標準内の数値」として特に言及されることは少ないと思います。
しかし、「IQ85」や「ワーキングメモリー85」は偏差値40,100人いたら下から16番目程度にあたります。
上記で説明したように、「読解力」「思考力」「記述力」を必要とするような文章問題の習得には、「FSIQ」「ワーキングメモリー」「知覚推理」などの能力が必要で、これらの能力が低い子は、他の子以上の勉強時間を必要とすると思うのです。
「IQが低めの子」「ワーキングメモリーが低めの子」には口を酸っぱくして、「宿題以外の勉強をやっていくことが必要です」と私は繰り返しています。
この言葉にはこのような理由があるのです。