(1)麻生副総裁の発言

 

 年齢や容姿を揶揄する自民党の麻生副総裁の発言と上川外務大臣の対応が話題になっています。どのような経緯かというと・・・

 

 発端となった発言は麻生副総裁の28日の福岡県での講演からです。

 

 「国際関係はものすごく複雑になっております。それが今の世の中なんであって、政治はその中にあって外交として色々な問題を対応をさせていただいたり、例えば今、女性というものであれば、今の外務大臣は『カミムラヨウコ』、女性ですよ。女性が日本の外務大臣になった例は過去にないと思うんですよ。

 

しかし、この『カミムラヨウコ』は大したものだぜ、これは。俺たちから見てても、ほー、このおばさんやるねえと思いながら。この間ニューヨークで会ったんだけど、少なくともそんなに美しい方とは言わんけれども、間違いなく堂々と話をして、英語ももちろんきちんと話をし、自分で予約からなにからやる」

 

「1週間の間にニューヨークで国連の総会の後、バタバタバタっと(仕事を)やってのけたのを見て、ほー、これ大したものだとつくづく思いました。あんなことできた外務大臣、今までいません。ぜひ、女性で若い人、こういった人たちを我々は育てねばならん」

 

麻生副総裁の講演の趣旨は、上川外務大臣の仕事ぶりと有能さを評価することだったのだと思います。

 

ただし、ほめるだけでは「つまらない講演」になってしまいますので、笑いをとるつもりで、

「おばさん」

「美しい方とは言わん」

などの発言が出てきたのだと思います。

 

 

(2)難しかった上川外務大臣の対応

 

麻生副総裁の発言は、彼独特のユーモアのつもりだったのでしょうが、時代錯誤はなはだしいと言わざるを得ないと思います。言語道断だったと思います。

 

対立政党の議員の発言でしたら単純に避難すればいいのでしょうが、自党のしかも自分を評価してくれる人の発言なのです。麻生副総裁の発言を非難することは、自分を支持してくれる人の立場を悪くすることになるのです。

 

かといって麻生副総裁の発言を黙認すれば、女性からの非難が集まることが予想されます。

 

上川外務大臣は難しい対応を迫られたと思います。

 

上川外務大臣は30日の閣議後の記者会見で

 「さまざまな意見や声があることは承知しているが、

どのような声もありがたく受け止めている」

と答えたようです。

詳しい情報がない中で、当たり障りのない発言でその場を切り抜けたのだと思います。

 

2日の国会で

「同じ境遇にある女性たちも同じように対応しなければならないと感じるリスクはないか」

「問題があるとすれば何か」

「なぜ大臣は抗議をしないのか」

との質問に対して、

 

 「世の中には様々なご意見や、また、考え方があるということについては承知をしております。しかし、使命感を持って一意専心、緒方貞子さんのように脇目も振らず、着実に努力を重ねていく考えであります」

と質問への答えには言及を避けました。

 

政治は「清濁併せのむ」姿勢が必要だと思います。

 

建前を重視し、敵を作るやり方は好ましいと、私は思いません。

 

また、軽妙なジョークで切り返すことも彼女のキャラクターに反するように思います。

 

緒方貞子さんが同じような発言を受けたら、どうしたでしょうか?

おそらく上川陽子さんみたいに受け流したと思います。

 

緒方貞子さんにとって何よりも大事なのは難民の命っであり、それ以外のことは二の次だったと思われるからです。

 

上川陽子さんも今の職責と今後自分に与えられる役割に、「使命感を持って一意専心」に取り組むつもりなのだと思います。

 

 

(3)政策能力で今の地位に到達した上川外務大臣の今後に期待

 

 ボス政治家に媚びることもなく、世襲政治家でもなく、容姿を売り物にすることなく、市民を扇動することでもなく、政策能力で今の地位に到達したのが「上川陽子さん」だと思います。

 

 今回の騒動で、自民党内の評価は上がったのではないでしょうか?

 

 日本で最初の女性総理大臣は彼女のような人であって欲しいと思います。