(1)自閉情緒学級と知的学級

 

 特別支援学級には自閉症・情緒障害学級(自閉情緒学級)知的障害学級(知的学級)があります。

 

 静岡市の作成したリーフレットには以下のような記載があります。

 

「特別支援学級には、自閉症・情緒障害学級と知的障害学級があります。自閉症・情緒 障害学級では対人関係やコミュニケーションが苦手な部分をもつお子さんが、知的障害 学級では知的発達がゆるやかで学年相応の学習に学びにくさをもつお子さんが学んで います。」

 

PowerPoint プレゼンテーション (shizuoka.lg.jp)

 

 これでは漠然としているので、もう少し詳しい記載を文科省のホームページから拾ってきましょう。

 

 

(2)自閉情緒学級

 

 文部科学省のホームページには以下のような記載があります。

 

(7)自閉症・情緒障害:文部科学省 (mext.go.jp)

 

自閉症・情緒障害とは

自閉症とは、①他者との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする発達の障害です。その特徴は、3歳くらいまでに現れることが多いですが、成人期に症状が顕在化することもあります。中枢神経系に何らかの機能不全があると推定されています。
情緒障害とは、周囲の環境から受けるストレスによって生じたストレス反応として状況に合わない心身の状態が持続し、それらを自分の意思ではコントロールできないことが継続している状態をいいます。情緒障害の状態の現れ方や時期は様々であり、状況に合わない心身の状態を自分の意思ではコントロールできないことにより、学校生活や社会生活に適応できなくなる場合もあります。また、児童生徒本人は困難さを感じているにもかかわらず、その困難さが行動として顕在化しないため、一見すると学校生活や社会生活に適応できているように見えてしまう場合もあります。

 

特別支援学級

自閉症・情緒障害に応じた教育的対応

自閉症やそれに類するものや心理的な要因による選択性かん黙等がある児童生徒を対象としています。
特別支援学級では、一斉指示を理解することに困難があったり、周囲の環境に対してストレスを感じてしまったりすることから、情緒的に不安定になってしまった際に、具体的な方法を通して落ち着きを取り戻すことができるよう、子供一人一人の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を検討し、適切な指導を行っています。

障害の程度

一 自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの
二 主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの
(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知)

教育課程

自閉症・情緒障害特別支援学級は、小学校、中学校の学級の一つであり、小学校、又は中学校の目的及び目標を達成していく学級です。ただし、子供の障害の状態等に応じて、特別の教育課程を編成して指導できるようにしており、各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ、例えば、苦手な聴覚刺激の調整を自ら行うことで心理的な安定を図ることや話し言葉以外のコミュニケーション手段を有効に活用して他者との意思疎通を図ること等に関する指導をしています。
また、子供の障害の状態等を考慮の上、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にし、各教科の目標や内容を下学年の教科の目標に替えるなどして、実態に応じた教育課程を編成し指導しています。

 

 

(3)どこからどこまでが自閉症、どこまでが情緒障害

 

 現在の診断基準(DSM-5)では自閉症は「自閉スペクトラム症」という診断名でカテゴライズされます。以前の診断基準である「広汎性発達障害」よりも範囲が狭くなってしまっています。

 

 「自閉スペクトラム症の特性はあるけれど診断基準は満たさない」ような自閉スペクトラム症のグレーゾーンの場合でも、学校生活や日常生活では困りごとが生じることが結構あります。

 

 また、情緒障害をどこまで含むかも議論の分かれる所だと思います。

 

 ある程度発達障害を多く見ている医師は、「情緒障害とは、周囲の環境から受けるストレスによって生じたストレス反応として状況に合わない心身の状態が持続し、それらを自分の意思ではコントロールできないことが継続している状態をいいます」という記述から「適応障害」や「不安障害」「(一部の)不登校」でも情緒障害と言えるのでは、と考えています。

 

 地域によって基準は異なるのかもしれません。

 

 自閉情緒学級に入いることを希望したり、考えているのなら、それが可能になる診断書を提出しなければならないのです。