(1)不登校と部活

 

 不登校のお子さんを多数見ていると、不登校の中学生が多い部活、少ない部活があると感じます。

 

 不登校の中学生が多い部活は「吹奏楽部」「美術部」などです。

 不登校の中学生が少ない部活は「野球部」「サッカー部」「バスケット部」などです。

 

 なぜ、「吹奏楽部」「美術部」などでは不登校が多いのでしょうか?

 

 

(2)スクールカーストの影響

 

 現在の中学校には人間関係において暗黙の上下関係が存在すると言われています。

 

 この上下関係においては、一般的に運動部が地位が高く、文化部は低いようです。

 

 運動部の子は文化部の子を下に見るような所がありますから、そのような空気を文化部の子たちは重苦しく感じてしまうのかもしれません。

 

 

(3)運動を定期的にしないことの影響

 

 うつ病の時に運動をすると症状は改善に向かうことが多く、うつ病が寛解状態にある人が定期的に運動を行っているとうつ病の再発率が低下すると言われています。

 

 運動はメンタルヘルスにプラスの影響をもたらすようです。

 

 文化部の子は定期的に運動することが少なく、このような運動のプラス面の恩恵を受けることができないことが不登校の増加に影響を与えているのかもしれません。

 

(4)吹奏楽部における濃密な人間関係

 

 吹奏楽部では下手な子がいると、全体の演奏レベルが下がってしまうので、全体演奏に参加できなかったり、厳しい指導を受けることになります。部活内の実力が低い場合のストレスが最も大きい部活の1つだと思います。

 

 逆に、下級生でも経験があったりして上手な子もいますが、そのような子に対する上級生のルサンチマン的感情はまともに受け止めるとやっかいです。

 

 吹奏楽部の濃密な人間関係は不登校のリスクを高めると思います。

 

 他にも理由があるかもしれませんが、最も不登校の多い部活が吹奏楽部だと思います。

 

 

(5)楽しみの少ない部活

 

 吹奏楽部にしろ、美術部にしろ、より高いレベルを目指すとなれうと部活動自体にあまり楽しみを感じられなくなるのかもしれません。

 

 運動部の試合に勝てた、上手にプレーできた、などの「喜び」や「楽しみ」に匹敵するものがないのかもしれません。

 

 

(6)運動が苦手な子はどうしたらいいのか?

 

 上記のように「吹奏楽部」や「美術部」には不登校になってしまう子が多いように思います。

 

 それでは、運動が苦手な子はどうしたらよいのでしょうか?

 運動が苦手な中でも何とかやれそうな運動部を選択した方がよいのでしょうか?

 それとも不登校になるリスクが高いことは承知の上で、文化部に入るとよいのでしょうか?

 

 

 (7)もっと文化部の選択肢を広げたらどうでしょうか?

 

 たいていの公立中学校にある文化部は吹奏楽部や美術部が多いようです。

 

 他の文化部は少ないので、不登校の印象に残らないだけなのかもしれませんが、「コンピューター部」「将棋部」「囲碁部」「競技かるた部」「鉄道研究部」「科学部」「英語研究部」などの部活で不登校に至る人は多くないように思います。

 

 部活には「人間関係を形成する」「部活が楽しみで学校に通う」などのメリットがあります。

 上記の部活は吹奏楽部や美術部に比べて喜びや楽しみを感じる機会が多いように思います。

 

 顧問制度とのからみがあるのかもしれませんが、不登校生徒を少しでも減らすためにも、文化部の多様性がもっとあってもよいのではないでしょうか?