(1)死にたくなければ女医を選べ?

 

 2016年12月、米国医師会の学会誌のJAMA Internal Medicineに「女性内科医が担当した入院患者は、死亡率や再入院率が低い」という調査結果が掲載されました。

 

 調査対象はメディケア(高齢者・障害者向けの公的保険)に加入している65歳以上の高齢者で、肺炎や心疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など日本でもおなじみの内科の病気で緊急入院した患者およそ130万人です。

 

 対象患者の入院後の経過と担当医の性別との関連を解析するため、メディケアに登録されたデータから病状や診療に関するデータを入手し、入院日から30日以内の死亡率(30日死亡率)と退院後の30日以内に再び入院する確率(30日再入院率)を女性医師と男性医師とで比較した結論が「女性内科医が担当した入院患者は、死亡率や再入院率が低い」だったそうです。

 

 この記事によると、一般的に女性医師に見られる次のような特徴が「女医を選べ」という結論につながったと考えられるそうです。

・診療ガイドラインなどルールの遵守率が高い
・エビデンス(科学的根拠)に沿った診療を行う
・患者とより良いコミュニケーションを取る
・専門外のことを他の専門医によく相談する

 現地のワシントンポスト紙、ウォール・ストリート・ジャーナルなどの有力一般紙がこぞって取り上げるほどの騒ぎとなり、『死にたくなければ女医を選べ!』という報道まであったといいます。

 

「死にたくなければ女医を選べ」日本人の論文が米で大反響 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

 

医大生の真面目度比較~男子vs女子、国公立vs私立、昔vs今~: 一歩一歩。再受験のち医大生。 (seachicken-med.net)

 

 

(2)日本ではどうなんでしょう?

 

 あくまでもこれはアメリカでの話です。

 

 アメリカと日本では医療制度も社会制度も家族に関する考え方も異なります。

 

 今までの日本では何となく女性の医師だと心配にあり、男性の医師が好まれていたように思われます。

 

 しかし、そのような見方が本当に妥当なのでしょうか?

 

 上記記事(医大生の真面目度比較)によると、「平成22年に医学部に入学した人のうちストレートに(留年せずに)平成28年に卒業した人の割合は、男子81.8%、女子89.4%と大きな差があります。女子の方が大学時代に真面目に勉強に取り組むようなのです。

 

 女性は妊娠・出産などにより、医師としてのキャリアが中断してしまう面があります。そのために「何となく男性医師の方が安心」という風潮が生まれてしまったのだと思います。

 

 ただし、今時の女性医師は、キャリアを中断しないように努めていますし、病院側もできるだけサポートするようにしています。

 

 ジェンダーによりキャリアが中断してしまうのは当の女性医師だけではなく、「患者である私たち自身の切実な問題である」と認識する必要があるのではないでしょうか?

 

『死にたくなければ女医が働きやすい環境を作れ!』

 

こちらの記事もご参照ください。

 

医師になりたい発達凸凹のお子さんに伝えたいこと | ADHDの小児科医が伝えたいこと (ameblo.jp)