(1)IQは知的能力の目安になりますが、限界もあります
通常IQはウェクスラー式(WISC)で測定されたIQで論じられることが多いと思いますが、知的能力を正確に測定しているわけではないと思います。ある程度の誤差や限界があります。
WISC方式の限界を知った上で、解釈する必要があると思います。
(2)WISC-IVでは4つの分野、計10個の下位検査の評価点の合計でIQが計算されます
WISC-IVでは4つの分野、計10個の下位検査の評価点の合計でIQが計算されます。
言語理解分野(言葉に関する能力)に3個、知覚推理分野(目で見て考える力)に3個、ワーキングメモリー分野(聴覚的記憶力等)に2個、処理速度分野(視覚的記憶力等)に2個の下位検査があります。
つまり、4つの分野のうち、以下のように言語理解や知覚推理の分野はワーキングメモリーや処理速度の分野の1.5倍の比重でIQの数値に影響を与えるのです。
言語理解:知覚推理:ワーキングメモリー:処理速度=3:3:2:2
状況によってどの分野の能力が最も影響が大きいかは変わってくると思います。
小学校の学習においては、ワーキングメモリー分野の影響が最も大きいと思います。
(3)IQは検査をした日の本人のやる気に大きく左右されます
IQはWISC検査を行った日の本人の検査に対するやる気に大きく左右されます。
検査に一生懸命取り組めば能力を比較的正確に反映しますが、検査を真剣にやろうとしなければ数値は低くなってしまいます。
(4)WISCは口頭で問題を教示します
WISCは口頭で問題を教示します。
そのため、低年齢では問題の意味がよくわからず、数値が低く出てしまうことがしばしばあります。
小学校に入学前のWISCでIQが60代だった子が、小学校2年生や3年生になると80代、90代になった例をしばしば経験します。年齢の低い子のIQは誤差が大きいと認識してほしいと思います。
(5)IQの数値だけで就学の判断をするのはナンセンスです
上記のような理由で、IQの数値だけで就学の判断をすることはナンセンスだと私は思っています。
しかし、残念なことに静岡市はIQの数値で機械的にどの学級を勧めるかを半ば決めているといううわさがあります。
①IQ60代なら知的の特別支援学級を勧められることが多いです。
②IQ60代なら自閉情緒の特別支援学級に入級することはできないようです。
③発達障害の病名があると、IQ70代でも知的の特別支援学級を勧められることがしばしばあります。
④発達障害の病名があると、IQ70代の場合には自閉情緒の特別支援学級に入級することができないことがあります。
⑤通級はIQが70代や60代だと通うことが出来ないようです。
IQの値だけで就学や通級の可否を決めることはナンセンスです。
上記のようなことは単なるうわさに過ぎないことを祈っています。