(1)読み障害の特性への対応

 

 読み障害と診断される人も特性はそれぞれ違っています。

 特性に合った対応が必要だと思います。

 

 どのような対応が個々の特性に対して効果があるのかは、試してみてその反応をみて、次の対応を試みていく、というようなPDCAサイクル的な対応をしてみて、本人にあった支援を探っていくことになると思います。

 

(2)デイジーの使用

 

 一番基本的な対応がデイジーの使用です。

 

 読み障害の患者さんは何とか読めても、読むのに精いっぱいで内容を理解する余裕のない方も多いと思います。

 

 ですから、できるだけデイジーは使用した方がよいと思います。

 

(3)教科書やテスト用紙の拡大コピー

 

 教科書やテスト用紙を拡大することにより読みやすくなる人は、拡大コピーより対処します。

 普段の学校のテストでテスト用紙の拡大を行っているような場合は共通テストなどの入試でも問題用紙の拡大の対応をしてくれます。

 

(4)試験時間の延長

 

 大学センター試験では、読み障害の場合には試験時間の延長を行ってくれる場合があります。私の患者さんで、センター試験や早稲田大学等の各大学の入学試験で1.3倍の試験時間の延長を認められた患者さんがいました。正当な理由があればこのような受験における配慮は合理的配慮として認められるのです。そして、これらの受験時の配慮は普段の学校生活において同様の配慮をしてもらっていないと認められない可能性が高いのです。定期テストにおいてどのような配慮をしてもらえるかは学校側と相談してください。

 

(5)テスト問題の読み上げ、テスト問題のルビ

 

 読み障害の人はテスト問題を読み上げてもらったり、ルビをふってもらうことによりテスト問題の理解が改善することがあります。これらの支援がないと問題文が理解できなくて、非常に低い点数んなってしまうような場合には必要な支援だと思います。

 

(6)ADHDの合併があるために読むことに支障をきたしている時

 

 読み障害にはADHDを合併しているケースがしばしばあります。このようなケースにはADHDに対する薬物療法を行うことにより、読みが改善する場合があります。ADHDの可能性が考えられる場合は、薬物療法を併用し、読みが改善するかどうかを試してみた方がよいと思います。

 

(7)インクルDB

 

 学習障害をはじめとする発達障害において、どのような支援を行えばいいのか、学校でどのような支援を行っていただけるかの参考に、国立特別支援教育総合研究所のインクルーシブ教育システム構築支援データベース(インクルDB)の『「合理的配慮」実践事例データベース』を見てみるとよいと思います。

 

インクルーシブ教育システム構築支援データベース(インクルDB) (nise.go.jp)

 

 学校に配慮や支援をお願いしても、「無理です」「前例がありません」と言われてしまうことがしばしばあります。しかし、その学校の判断は現状における非常識かもしれないのです。インクルDBにあるような実践例ならば、「国立特別支援教育総合研究所のデータベースにあるということは、このような配慮が好ましいと考えられているからではないでしょうかと」交渉してみるとよいと思います。

 

(8)文章題が苦手な場合

 

 国語の文章題の場合、読むスピードが多少遅くても文章読解力があれば、内容を把握することができると思います。出口先生の問題集をやっておくとよいと思います。

 

 算数の文章題を解けるようになるためには読む力だけでないと思います。「考える力」が十分でないと文章題はなかなか解けません。IQが低めのお子さんは解き方について時間をかけて説明し、問題演習を繰り返す必要があると思います。