(1)成績の良かった子の不登校の別の亜型について

 

 前回の記事は、「IQが平均〜平均やや上くらいの何でも頑張るお子さん」の不登校について書きました。

 

 今回はIQが高いけれど勉強に取り組むのが苦手なタイプの不登校について書きます。

 

(2)小学校時代の成績優秀者の転落

 

 小学校時代は、周囲の子どもたちがあまり勉強しません。

 そのため、IQが高い子は「勉強ができる子」としてみんなに一目置かれることになります。

 

 しかし、中学校に入ると、地道に勉強を積み重ねる子が増えてきます。IQが高い子の勉強時間が増えないと、努力家のIQがやや高い子たちに抜かれていってしまいます。「ウサギとカメ」のウサギ状態になってしまうのです。

 

 親は「もっと勉強しなさい」と言いますが、自分としては結構やっているつもりなのです(小学校時代よりも増えていますが、優秀な成績を修めるには足りないことがほとんどです)。それなのに結果が出ない。「勉強ができる自分」をアイデンティティにしている場合は、小学校時代の輝きを失った自分に耐えられずに、頭痛や腹痛を訴えて学校を休みがちになります。受験が近づくと更に不登校のリスクが高まります。

 

(3)解決策は勉強時間を増やすことですが・・・

 

 単純に勉強時間を増やすことが解決策になります。

 

 しかし、それが彼らにはなかなかできません。

 頭では「勉強時間を増やさなければならない」と思っているのに、ゲームや動画視聴をしたくなったり、何となく勉強を始める気にならなくて、勉強時間は思うように増えないのです。そのため、自分が目標とする成績にはなかなか至らないのです。

 

(4)不注意優勢型のADHDの特性が背景にあることがあります

 

 このような勉強時間が思うように増えない背景にADHD特性がある場合があります。

 ADHDが疑われる場合は、薬物療法を試みてみる選択肢があります。

 

 薬物療法が効果がある場合は、内服前よりも集中力が増し、勉強の効率が上がり、勉強時間が増え、成績が上昇する可能性があります。本人にこれから成績が上がっていく、という期待を持たせることができるのです。

 

 このような勉強時間が増えないけれど、成績にこだわりを持っているタイプの不登校については医療機関に相談するとよいのでは、と思います。

 

(5)できれば不登校になる前に発見を

 

 できれば不登校になる前に特性の発見をしてほしいと思います。

 

 「自分としては成績を上げたいと思っているのに勉強時間が増えない」

 

 そんなケースの中に「不注意優勢型のADHD」がまぎれているのです。