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小学校3年生の夏、
僕はプールで遊んでいた。

 

 

 

水の中は楽しくて、
夢中で泳いでいた。

 

 

けれど気づけば…

 

 

 

 

 

 


深いところに入っていて、
急に足がつかなくなった。

 

 

 

必死にもがいても、
体は沈んでいく。

 

 

息が苦しくなり、
水を飲み込みながら
「このまま死ぬのか」と
頭をよぎった。

 

 

 

その瞬間、
父が水に飛び込んできた。

大きな腕で僕をつかみ、
力強く引き上げてくれた。

 

 

プールサイドに戻った時、
僕は激しく咳き込みながら
必死に息をした。

 

 

目の前には、
真剣な表情の父がいた。

 

 

しかも父は普段着の姿で飛び込んでくれた。

僕が泳ぐ条件で見守ってくれていた

 

 

その時だけは、
いつも怖い父ではなく、
僕を守る父だった。

 

 

普段の父は
感情的で怒りっぽく、
野球の試合では
失敗すれば殴られることもあった。

 

 

だから僕にとって父は
恐怖の象徴だった。

 

 

けれどプールで
命を救ってくれた父は、
たしかに頼もしかった。

 

 

その記憶は、
父に対する思いを
複雑にしている。

 

 

怖い存在でありながら、
守ってくれた存在でもある。

 

 

矛盾した感情は、
今も心に残っている。

あの日の父の姿を思い出すと、
少しだけ誇らしい気持ちにもなる。

 

 

父との関係は難しかった。
でもあの瞬間だけは、
確かに僕を守ってくれた。

 

 

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